5cc + 5cc


bends

Deceptive Bends / 10cc (1977)
mercury 6310 502 (GER)
A-1. Good Morning Judge
2. Things We Do for Love
3. Marriage Bureau Rendezvous
4. People in Love
5. Modern Man Blues

B-1. Honeymoon with 'B' Troop
2. I Bought A Flat Guitar Tutor
3. You've Got a Cold
4. Feel The Benefit

Produced by Eric Stewart and Graham Gouldman

四人そろった10ccももちろん悪くはないのですが、ゴドリー&クリームのアヴァンギャルドというか、ぶっちゃけ、フレディさん的雰囲気が少々鼻に つ いて(言い掛かりに近い見解ではあります)、何やら落ち着かないときもあったりするのも事実。グールドマンのファンとしては、やはり5ccになってか らのアルバムの方が親近感があります。
さて先の二人が抜けてからの初アルバム、B面にオリジナル10ccの名残があるものの、ヒット曲のA-2.のコーラス・ワークやB-4.のイントロ などからも明らかなように、全体としてはビートルズのホワイト・アルバムあるいはアビー・ロードのホッコリ感の70年代後半的再現、といった印象でしょう か。A-4. などに聴かれるエリックの雰囲気はそのまんまポール、ですし、B-5.でのグールドマンは控えめなジョンの役回りをこなしているような感じです。グールド マンがヴォーカルをとるA-3.は印象的なメロディの導入部からポール的サビに至る変化のある構成で完成度も高い。二人が抜けた分、残りの二人が四人分働 いて造り上げた傑作アルバムでありました。
cup


bloody

BLOODY TOURISTS / 10cc (1978)
Polydor PD-1-6161 (US)
A-1. Dreadlock Holiday
2. For You And I
3. Take These Chains
4. Shock on the Tube (Don't Want Love)
5. Last Night
6. The Anonymous Alcoholic

B-1. Reds In My Bed
2. Life Line
3. Tokyo
4. Old Mister Time
5. From Rochdale To Ocho Rios
6. Everything You Wanted to Know About!!!! (Exclamation Marks)

Produced by Eric Stewart and Graham Gouldman

旅行中にカツアゲに遭い、レゲエのリズムに乗せて「レゲエは嫌いだ」、「ジャマイカは嫌いだ」と叫ぶ冒頭曲には(お馴染みヒプノシスによるジャケットセン ス共々)大笑い ですが、同じくブラディ(とはいかないまでも)旅行者のトホホな心情を綴ったB-1.(今度は共産圏に迷い込んだ)も、ちょっとバッド・フィンガーっぽく て良いですね。エリック/グールドマン・ラインになって2作目のスタジオ録音は、A-6.のようなルーズな英国ロックを基本線に、所々ウエスト・コースト 風ありAORありラテン・フレーヴァーありと、さながら70年代ロック絵巻物の如き見事な作品となりました。前作ほど直接的ではありませんが、ビートルズ 的 ホッコリ感も随所に散りばめられています。導入部が"A Day in the Life"を思わせるB-2.に入るリード・ギターの音色なんかはいかにも、という雰囲気でしょう。
一番最初に入手したアルバムということで多少贔屓目ではありますが、10ccの最高作はやはりコレ、ではないでしょうかね。ち なみにA-1.の邦題は「トロピカル・ラブ」だそうでして、もう一度大爆笑できるシカケとなっております。
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ost

THE ORIGINAL SOUNDTRACK / 10cc (1975)
mercury PHCR-4417 (1998 JP)
1. Une Nuit A Paris (Part 1)
   The Same Night In Paris (Part 2)
   Later The Same Night In Paris (Part 2)
2. I'm Not in Love
3. Blackmail
4. Second Sitting for the Last Supper
5. Brand New Day
6. Flying Junk
7. Life Is a Minestrone
8. Film of My Love

9. Channel Swimmer
10. Good News

Produced by 10cc


廉価盤のCDで既に所有していたにもかかわらず、わざわざ国内盤CDを入手した理由はただ一つ、ボーナス・トラックとして収録、シングルのB面だった名 曲中の名曲"Channel Swimmer"でした。独特の浮遊感と哀愁を湛えたメロディ・ラインは正にグールドマンの真骨頂ですが、主人公がどのような理由でイギリス海峡を泳いで いるのかが気になる歌詞も魅力的、後にムーンライダースのこれまた名曲「スイマー」を生んだことでも忘れられない、奇跡のような珠玉の一曲です。
さて本編のほうですが、ゴドリー&クリームによる調子の良いヒット曲7.を聴いていて、この頃の10ccって、ビートルズよりもビーチボーイズだったん だぁ、と改めて思い出しました。冒頭の組曲こそ、ちょっと面倒くさい、って感じですが、ギズモが活躍する3.とかグールドマンが歌い上げる8.とか、ゴド リー&クリームの曲も意外と悪くないじゃん。全員が共作したハードな4.(サビのメロディが秀逸)とか、ルーズなリズムにグールドマンのマジカルなメロ ディ がピタリはまった6.なんか最高の出来。おっと、時代を越えたメガ・ヒット、2.が収録されているアルバムでもありました。
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mb

LOOK HEAR? / 10cc (1980)
mercury 9102 505 (UK)
A-1. One Two Five
2. Welcome To The World
3. How'm I Ever Gonna Say Goodbye
4. Don't Send We Back
5. I Took You Home

B-1. It Doesn't Matter At All
2. Dressed To Kill
3. Lovers Anonymous
4. I Hate To Eat Alone
5. Strange Lover
6. L.A. Inflatable

Produced by 10cc

オマケに付いているやたらとデカい羊のポスターが鬱陶しくも印象的な'80年の作品。ザ・バンドでいうと"ISLAND"のような、まぁ、残り物には福が あ る、的なアルバムでしょうか。凝りに凝った作風が特徴の彼らでしたが、ここではシンプルなバンド・サウンドに徹していて、エリック/グールドマン以外のメ ンバーの楽曲も交えつつ、楽しいアルバムに仕上がっています。相変わらず二人のソングライティングは冴えわたっていて、惚れ惚れするような美しいメロディ のエリック作品、A-5.やB-1.などは、以前にも増して(音の感じやアレンジなども含めて)バッド・フィンガー・テイストが強くなった感があります。 哀愁漂う隠れた名品B-4.はグールドマンの単独作品、良いです。変化に富んだ典型的10ccサウンドはB-3.、B-5.あたりで聴くことが出来ます。 所々パロディ的にアメリカン・ロック的要素が付加されているのが、1980年という微妙な時期を象徴しているようでもあります。
cup


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