JACK THE LAD


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Old Straight Track / Jack the Lad (1974)
VIRGIN CASCD 1094 (1992 UK)
1. Oakey Strike Evictions
2. Jolly Beggar
3. Third Millenium
4. Weary Whaling Grounds
5. Fingal the Giant
6. King's Favorites
7. Peggy (Overseas With a Soldier)
8. Buy Broom Buzzems
9. De Havilland's Mistake
10. Old Straight Track
11. Wurm

12. Home Sweet Home

13. Big Ocean Liner

Produced by HUGH MURPHY

レコードはA面の1曲目が勝負、そんなことが言えるのがこのアルバム。フィドルのイントロが始まると、もうこれこそエレクトリック・トラッドと言わんばか りに勢いのあるヴォーカルが聴こえてくる。しかしだ、2曲目になるとそれがトーン・ダウンしてくる、ここがよく解らない。これ以降トラッドなのにトラッド らしくない曲が続いていくのが不思議なのだ。フェアポートやスティーライ・スパンが一段落して、エレクトリック・トラッドが沈静化しつつあったこの時代に 出てきたこのバンドの意義は大したものだと思う。しかし、もっとトラッドを前面に押し出した方が、より凄いアルバムになったかな、とも思う。'Wurm' は8分にも及ぶ大作でアルバム最後の曲としてふさわしい良く出来た作品。1曲目と最後の曲でこのアルバムは成り立っている。
kettle


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It's Jack the Lad / Jack the Lad (1974)
VIRGIN CASCD 1085 (1992 UK)
1. Boilermaker Blues
2. Back On The Road Again
3. Plain Dealing
4. Fast Lane Driver
5. Turning Into Winter
6. Why I Can't Be Satified
7. Song Without A Band
8. Rosalie
9. Promised Land
10. Corny Pastiche Medley
(Black cock of wickham/Chief o'neill's favourite/Golden rivet
/Staten island/Cook in the kitchen)
11. Lying On The Water

12. One More Dance

13. Make Me Happy

Produced by HUGH MURPHY


リンディスファーンから分派したこのバンドのデビュー作。改めて聴いてみて、このバンドは何がやりたくて結成されたのか、ちょっと解らないな、と云うのが 正直なところだ。アラン・ハルと別れなくてもこのくらいは出来る様な気もするのだが、エレクトリック・トラッドをやりたいと云うのなら、フェアポートみた いにトラッドを取り扱うべきものじゃないかな?その証拠に、アルバムの最後を飾る'Corny Pastiche Medley'(4曲のトラッド・メドレー)、それに歌詞付きのオリジナル曲'Lying On The Water'計5曲のメドレーは、マンドリンの弾けたフィル・インから、唸るフィドル、アコーディオン、バンジョーと、それこそ一曲入魂の珠玉の作品に仕 上がっている。この8分間のエレクトリック・トラッドは、このアルバムの白眉とも言えるもので、その後に続くボーナス・トラックは無くてもいいような、そ んな完成度を誇っている。
kettle


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Rough Diamonds / Jack the Lad (1975)
VIRGIN CASCD 1110 (1992 UK)
1. Rocking Chair
2. Smokers Coughin'
3. Captain Grant
4. My Friend the Drink
5. Letter from France
6. Gentlemen Soldier
7. Gardener of Eden
8. One for the Boy
9. Beachcomber
10. Ballad of Winston O'Flaherty
11. Jackie Lusive

12. Draught Genius
13. Baby Let Me Take You Home


Produced by SIMON NICOL


こちらの3作目は、ちょうどファーストとセカンドの中間、トラッドとオリジナル曲がバランスよく収まった内容。サイモン・ニコルがプロデュースを担当した 効果でしょうか、音がずいぶんと整理されてよくまとまっているという印象です。フェアポートの影響も随所に感じられますね。とはいえ、トラッド曲にレ ゲェ・ビートをかぶせた10.とか、調子の良いアコーディオンが楽しい6.の冒頭が R&Rなコーラスだったりと、やんちゃな雰囲気は相変わらず。
リンディスファーンの時にはあまり目立たなかったサイモン・カウの曲作りもなかなかのもので、ビートルズ風、というかポールの曲をリンゴが歌っているよう な雰囲気が漂います。メリー・ホプキンの"Good-bye" を思い出す7.のメロディは秀逸でした。
cup


pipe

Pipedream / Alan Hull (1973)
EMI/VIRGIN CASCDR 1069 (2005 EU)
1. Breakfast 2. Justanothersadsong
3. Money Game 4. STD 0632
5. United States of Mind 6. Country Gentleman's Wife
7. Numbers (Travelling Band) 8. For the Bairns
9. Drug Song 10. Song for a Windmill
11. Blue Murder 12. I Hate to See You Cry

13. Drinking Song  14. One Off Pat
15. Down On The Underground
16. Gin And Tonics All Round
17. One More Bottle Of Wine
18. Dan The Plan

Produced by MICKEY SWEENEY and ALAN HULL


ギターまたはピアノだけで歌われる6.あるいは12.に代表されるような歌うことへの初期衝動と、ある種実験室的な深みのあるサウンドが絶妙に 合致した類い稀なる傑作ファースト・ソロ・アルバム、このアルバムを聴くにあたっては、リンディスファーンのアラン・ハル、という事実はとりあえず一度忘 れた方が良いか もしれません。まぁリズム・ギターの感じとか、独特のメロディ・ラインなど、ちょこちょことリンディスファーン的イディオムが顔を出すことはあるのです が、全 体の雰囲気は、ビートルズのホワイト・アルバムの味わいに近い内省的な英国ロック、といった佇まいでしょうか。2.でのギターの音色などはちょっと 'Revolution'思い出したりしますし、アコースティックとエレキ・ギターの音色のバランスが素晴らしい9.などもジョン・レノン的な感じです。 とはいえヨーロッパ風哀愁路線のイン スト曲あり、リズミカルな曲調ありと変化に富んだ曲作りのおかげで窮屈な感じが全くしないのも、いい感じです。加えて本CDでは暖かい音質がとても聴き易 く、この点でもヘビー・ローテーションに耐えうる作品となっています。
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happy

Happy Daze / Lindisfarne (1974)
WARNER BROS. K46284 (UK)
A-1. Tonight 
2.  In your head
3.  River
4.  You put the laff on me
5.  No need to tell me
6.  Juiced up to lose

B-1.  Dealer's Choice    
2.  Nellie
3.  The man down there.
4.  Gin and Tonix all around
5.  Tomorrow    


Produced by EDWARD OFFORD, LINDISFARNE


アラン・ハルとレイ・ジャクソンがメンバーを補充して作った新生リンディスファーンの2作目。スカッとヌケの良い音作りで随分とロッ ク寄りの印象。ホーン・セクションを導入したA-1.とかリズムを強調したB-1.なんかを聴くと、(Jack The Ladの「ほのぼのフォークダンス路線」に対して)こちらのリンディスファーンはファンキー路線、みたいなことになるんでしょうか。サウンド的にも楽曲的 にも振り幅が大きくなった印象があります。それと、次々にヴォーカルが交代するA-2.やリチャ−ド・マニュエルの声色かと思ってしまうA-6.等、ザ・ バンドの影響も顕著で、ホーン・セクションの導入などもなるほど、とうなづけます。
一方で英国的な叙情性も健在、アラン・ハルはA-3.やB-5.で相変わらずいい味を出していますし、二人がヴォーカルをとるB-3.もそちらの路線。ど ういうわけかCDになっていないみたいなので忘れがちですが、なかなかの良作でした。
cup


roll

ROLL ON. RUBY / Lindisfarne (1974)
ELEKTRA EKS-75077 (US)
A-1. Taking Care Of Business
2. North Country Boy
3. Steppenwolf
4. Nobody Loves You Anymore
5. When The War Is Over

B-1. Moonshine
2. Lazy
3. Roll On River
4. Toe The Line
5. Goodbye

Produced by ROY T. BAKER and LINDISFARNE

こちらは新生リンディスファーンの1作目。いつも以上に豪快に歌い放つアランの歌声が素晴らしいA- 1.を聴いて、意外といけるんではないの、と思わせるのですが、あまり芳しくない評判の通り、だんだんとトーン・ダウンしていくのが残念なアルバム。ソ ロ・ アルバムの方に精力を使い果たしたのか、アランの曲が4曲と少なめなのも災いしているようです。熟れていない演奏を補おうと中途半端に凡庸なストリングス を入れたりしたのも却って裏目に出てしまった感じ。オリジナル・リンディスファーンの楽しさを受け継いだカントリー・ロックのB-4.と、再編後の展開を 予想させる曲想が新しいB-2.が水準以上の出来かな。最も重要な曲と思われるA-5.でも後半のアレンジに難があるのが、残念。
cup

100 MILES TO LIVERPOOL
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