MUSIC FROM BIG BROWN


mcg3

LO & BEHOLD / COULSON, DEAN, McGUINNESS, FLINT (1972)
SIRE SAS 7405 (US)
A-1. Eternal Circle
2. Lo and Behold
3. Let Me Die in My Footsteps
4. Open the Door, Homer
5. Lay Down Your Weary Tune

B-1. Don't You Tell Henry
2. Get Your Rocks Off
3. Death of Emmett Till
4. Odds and Ends
5. Sign on the Cross

Produced by MANFRED MANN


米国盤はメンバーの連名になってますが、これがマッギネス・フリントの3作目ですね。全曲ボブ・ディランの作品、彼自身の演奏では当時なかなか聴けなかっ た楽曲で占められております。ま ず印象に残るのはやはりウッドストック隠遁生活時代のA-2.やB-4.、地下室直系のルースなグルーヴを再現しています。トロンボーンなどを使用して ちょっとコミカルに仕上げたB-1.でも、"The Basement Tapes"の面白ジャケットを思い出させてくれました。その他の曲では、B-5.でのサザン・ソウル風味のギター・ワークも良いですし、シカゴ・ブルー ス〜ストーンズを想起させるB-3.も迫力あり。両方ともディラン自身の演奏では未だに聴いたことがないなぁ。聴いたことがないといえばB-3.もそうな んです が、フォーク系の楽曲に関しては(後に聴けるようになったディランの演奏に素晴らしいものが多いこともあって)バンド編成で演るにはちょっと厳しいかも、 という気もします。そういうわけで、演奏の出来に多少のばらつきはあるわけですが、原曲の良さを損なわないように律儀にまとめられた作品集となっていま す。
cup


basement

The Basement Tapes / Bob Dylan & the Band (1975)
CBS SONY 120〜121 (JP)
A-1. Odds and Ends 2. Orange Juice Blues (Blues for Breakfast)   
3. Million Dollar Bash 4. Yazoo Street Scandal   
5. Goin' to Acapulco 6. Katie's Been Gone   

B-1. Lo and Behold  2. Bessie Smith   
3. Clothes Line Saga 4. Apple Suckling Tree   
5. Please, Mrs. Henry 6. Tears of Rage   

C-1. Too Much of Nothing 2. Yea! Heavy and a Bottle of Bread   
3. Ain't No More Cane 4. Crash on the Levee (Down in the Flood)   
5. Ruben Remus 6. Tiny Montgomery   

D-1. You Ain't Goin' Nowhere 2. Don't Ya Tell Henry   
3. Nothing Was Delivered  4. Open the Door, Homer   
5. Long Distance Operator    6. This Wheel's on Fire

Produced by Bob Dylan & the Band


このアルバムでのディランは相変わらずのディラン節で適当に聴き流してもいいのだが、ザ・バンドの連中の演奏、ヴォーカルに関しては(両者サウンドはかな り異なるものの)'68年に出る"Music From Big Pink"の予告篇、実験場となっているといえる。実際記憶に残る曲は、ロバートソン/マニュエルによる'Katie's Been Gone'、ダンコ/ロバートソンの'Bessie Smith'、ディラン/マニュエルの'Tears Of Rage'、ディラン/ダンコの'This Wheel On Fire'等、ザ・バンドの絡んだものが非常に素晴らしい出来になっている。今回久しぶりに取り出して聴いたのだが、昔と印象がだいぶ変わって、音質がこ んなに良かったのか、チャチなテレコで録ったにしてはいい音しているな、というのが素直な感想だ。レコードがあんまりノイズが少ないので、当時そんなに 何回も 聴いた訳ではないのだろう。もう一回頭を白紙にして何回かこのレコードを聴いてみようと思う。
kettle


mann

MANFRED MANN HIT RECORDS 1966 -1969
FONTANA PRICE 66 (1988 UK)
A-1. Mighty Quinn (Quinn the Eskimo)
2. So Long Dad
3. My Name Is Jack
4. Up the Junction
5. Fox on the Run
6. Each Others Company
7. Ragamuffin Man

B-1. Just Like a Woman
2. "B" Side
3. Semi-Detached Suburban Mr. James
4. It's So Easy Falling
5. Ha! Ha! Said the Clown
6. Funniest Gig
7. Sweet Pea


トム・マッギネスが在籍していたマンフレッド・マン、渋くてモッドなR&Bバンドとして知られていた頃からディラン作品を採り上げていましたが、 こ ちらフォンタナ時代のシングル中心の編集盤にも2曲、ご存知'68年初頭のヒット曲であるA-1.は地下室時代の(当時は未発表)曲、R&B感覚 を ベースにかっこ良く演奏 されていますが、イントロのフルートがなかなかファンキーな味わいです。後に発表されたいかにも地下室的なディラン/ザ・バンドのまったりとした雰囲気と はだいぶ趣が 違っています。同じく'68年、ムーンライダースのカヴァーでも知られるA-3.はジョン・サイモンの作品、ミュージカルかなんかに使われそうなちょっと 変わった曲調が印象に残ります。主人公のジャック、オリジナルの歌詞では水兵さんじゃなかったんですね、知らなかった・・・ディランのまったり感とジョ ン・サイモンの知的な雰囲気、ウッドストックの音楽家たちの持つ資質の両面性に当時から着目していたこのバンド、今思うとなかなかに鋭いものが あります。
その他の曲はいかにもロンドン・サイケ、コーラスを多用した明るい雰囲気を持った曲が並びます。そんな中、B-2.でのグッと黒っぽいテイストも捨てが たい。廉価盤ながら音質も申し分なく、聴き応えのある作品集でした。
cup


procol

SHINE ON BRIGHTLY/ PROCOL HARUM (1968)
 
A&M SP 4151 (US)
A-1. Quite Rightly So
2. Shine on Brightly
3. Skip Softly (My Moonbeams)
4. Wish Me Well
5. Rambling On

B-1. Magdalene (My Regal Zonophone)
2. In Held Twas in I

Produced by DENNY CORDELL


"Blonde on Blonde"に影響を受けたプロコル・ハルムのファースト・アルバムが、今度は「ビッグ・ピンク」に影響を与えた、というようなことがジャケットに載っ て いる、こちらプロコル・ハルムのセカンド・アルバム(米国盤)、リズムの骨格と重さが最もザ・バンド的だな、と勝手に思っている一枚です。2キーボードと いうバンド編 成 といい、オルガニストのマッド・サイエンティスト風佇まい(ガースとマシュー・フィッシャーの風貌自体はだいぶ違いますけど)といい、共通項の多い両者で す が、ノスタルジーの音楽表現、という部分 でも重なっているような気がします。
このアルバムはオリジナル・メンバーの求心力が最高潮に達していた頃の作品らしく、音の迫力という点では'60年代屈指のアルバム、といえるかもしれませ ん。組曲風な長尺B-2.でも構成力が見事、途中に出てくるサーカスっぽいオルガンはガース風かな。続くマシューの歌声に絡む天啓のようなギターも素晴ら しい。兎に角ロビンのギターは絶好調、全編に亘って冴えまくっております。ちなみにA-3.はアルバム発表の数年後、何故かラジオでよくかかっていたのを 思い出しました。
cup


andwella

People's People / Andwella  (1971) 
DUNHILL DS-50105 (US)
A-1. She Taught Me To Love
2. Saint Bartholomew
3. The World Of Angelique
4. Mississippi Water
5. I've Got My Own

B-1. Are You Ready
2. Four Days In September
3. Lazy Days
4. People's People
5. Behind The Painted Screen
6. All In You

Produced by PHIL GILLIN
CD : VIVID VSCD-731 (1998 JP)

英国出身のこのバンド、全曲ヴォーカルをとり、ギター、ピアノ、オルガンを弾くリーダーのデイブ・ルイスのワンマン・バンドといっても過言ではないだろ う。全曲が彼のペンによるもので、ちょっと甘い同じような曲調が半分位を占める、メロディ・メーカーとしてもルイスの才能はただ者ではないという感じを抱 かせる。A-3.、B-3.、B-6.などはアコースティックなサウンドで、これらシンプルな演奏を聴いていると、シンガー・ソングライターが作るような 曲だ な、と思わないでもない。
アルバム全体の印象は米国スワンプの英国版といってもいいと思うのだが、リヴォンを除いて4人ともカナダ出身であるザ・バンドと比較すると、甘いだけでは なくキリッとした英国の香りを放つアンドウェラ、無骨そのものの不器用な音作りとなっているカナダ、という風で、 同じ米国の音楽に対する姿勢でも捉え方が随分と違うものだという感じがする。
kettle

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