Boots of Spanish Leather


sylvia

Northern Journey / Ian & Sylvia (1964)
VANGUARD VSD-79154 (US)
A-1. You Were on My Mind
2. Moonshine Can
3. The Jealous Lover
4. Four Rode By
5. Brave Wolfe
6. Nova Scotia Farewell

B-1. Someday Soon
2. Little Beggarman
3. Texas Rangers
4. The Ghost Lover
5. Captain Woodstock's Courtship
6. Green Valley
7. Swing Down, Chariot


カナダのフォーク・デュオのアルバム、中古盤屋でジャケットを見初め中身も分からず購入してみたのですが、随分とトラッド寄りの演奏スタイルなのに驚い てしまいました。オリジナルのB-1.こそ「風は激しく」風のモダン・フォークですが、他の曲ではゴツゴツとした豪快な男性ヴォーカルが耳に残ります。A -6.のタイトルにあるカナダ南東部ノヴァ・スコシアはスコットランド/アイルランドとの結びつきが強い地域らしいので、もしかしたらそちら系統の歌い方 なのかもしれ ません。一方(ジャケット裏にぎっしりと書かれている解説に依れば)マーダー・バラッドの流れを汲むA-3.は女声ヴォーカル、いかにもイングラン ド的なマイナー・メロディにフォーク・ギターが絡む美しい作 品で す。A-2.ではトラッド風の曲調にブルーグラス風なマンドリンが出てきたり、アイルランドのダンス・チュ−ンみたいなギターが聴こえるB-2.など など、色んな地域の音楽が自然に溶け合ったような趣、後に活動を共にすることとなるウッドストック系の音楽家たちとの接点も垣間見えるようです。
cup


border

The Border of Heaven / Connie Dover (2000)
TAYLOR PARK MUSIC TPMD-0401 (US)
1. Blessing
2. Sweet Betsy from Pike
3. I Am Going to the West
4. Streets of Laredo (The Sailor Cut Down in His Prime)
5. Lord Franklin
6. Spailpin Fanach
7. Last Night by the River
8. Water Is Wide
9. Wondrous Love
10. Winter's Night
11. My Dearest Dear
12. Brother Green


"Somebody"の出来があまりにも良かったので、通販専門店のカタログにこのアルバムを見つけて、即注文して手に入れた。副題に'Celtic Musuc on the American Frontier'とあり、非常に分かり易くこのアルバムを説明してくれている。驚いたことにアーロの"Son of the Wind"にも収録の'Streets of Laredo'(4曲目)と'Gal I Left Behind'(6曲目、タイトル、歌詞は違う)の2曲がこちらにも入っていて、"Somebody"を聴いたときに感じたアーロのアルバムとの共通項は やはり正しかった、と改めて思った。
"Somebody"はインストが2曲入っていたので上手い具合にバランスがとれていて、一気に全曲を聴かせるパワーと統一感があったから、このアルバム も、と期待したのだが、全12曲ヴォーカル入りで、ちょっとつらい所もあり前者には少し届かない。しかし自身のオリジナルも2曲あり、良いメロディの曲が 目白押しの好アルバムだと思う。
kettle


dylan3

The Times They Are A-Changin' / Bob Dylan (1963)
Columbia PC 8905 (US)
A-1. The Times They Are A-Changin'
2. Ballad of Hollis Brown
3. With God on Our Side
4. One Too Many Mornings
5. North Country Blues

B-1. Only a Pawn in Their Game
2. Boots of Spanish Leather
3. When the Ship Comes In
4. The Lonesome Death of Hattie Carroll
5. Restless Farewell

PRODUCED BY TOM WILSON


歌に伴奏が付いていくようなA-3.は、アイルランドの歌'Patriot Game'と同じメロディを持つ曲、語るような丁寧な歌い方です。この曲を筆頭に、伝承歌の「替え歌集」とも云えるような超絶サード・アルバムがこれ。A -3.と同様、語 るように歌われるB-4.も味わい深く、怒りと悲しみの情感が静かに伝わります。歌声自体に独特のグルーヴが宿っている有名曲「時代は変わる」も、スコッ トランドの トラッドを下敷きにしているらしく、彼の地の豪放な雰囲気が漂っているようにも聴こえてきます。ディランのデビュー30周年記念コンサートにおけるクラン シー・ブラザースの誇らし気な演奏も印象深いB-3.、「北国の少女」と同じ曲調のB-2.は、歌詞の 構成が「木綿のハンカチーフ」に転用された、なんてこともありました。A-4.のタイトルは先日亡くなった忌野清志郎の名曲、'JUMP'に時を超えて読 み込まれています。
cup

steeleye

The Best of Steeleye Span (2002)
EMI 7243 5 41355 2 1 (EU)
1. Gaudette 2. Saucy Sailor
3. Jigs 4. Royal Forester
5. Dark Eyed Sailor 6. Alison Gross
7. One Misty Moisty Morning 8. Bold Poachers
9. Thomas The Rhymer 10. To Know Him Is To Love Him
11. Drink Down The Moon 12. Now We Are Six
13. New York Girls 14. Little Sir Hugh
15. Black Jack Davy 16. Hard Times Of Old England
17. Cadwith Anthem 18. Dance With Me
19. All Around My Hat




15.は'90年代になってからディランも録音している伝承歌、メロディも歌詞も随分と違うように思いますが、何故か'High-heeled shoes made of Spanish leather'という一節がしっかり残っているのが面白いところ。こちらのCDで聴けるヴァージョンはサビに男声コーラスを配した重厚な作りになってい て、ちょっとフェアポートの演奏を思わせます。この曲や2.あたりで顕著なのですが、マディ・プライアのヴォーカルは低音を引き摺るような独特の節回しが いつも耳に残ります。
スコセッシ監督の「ギャング・オブ・ニューヨーク」でも耳にした13.(新参のディカプリオが、広場でギャングの縄張りの説明を受けるシーンだったか な?)は アメリカの曲なのでしょうか、バンジョーも交えた明るい曲調で、パブみたいなところでみんなが合唱するような雰囲気です。この編集盤はハッチングスが抜け てからの曲がほとんどで、3.みたいな純イングランド的な演奏が多いようですが、トラッドなのにポップなギター・アレンジの6.とか9.があったりもし て、この辺の親しみ易さが英国で人気バンドだった所以なのでしょう。ちなみに最近大変なことになっているスペクターさんの10.は、デヴィッド・リンチの 映画に使われそうなユル〜イ作風、ちょっと気持ち悪くて、これも好きです。
cup


hobo

Hobo's Lullaby / Arlo Guthrie (1972)
REPRISE K44169 (UK)
A-1. Anytime
2. The City of New Orleans
3. Lightning Bar Blues
4. Shackles and Chains
5. 1913 Massacre
6. Somebody Turned on the Light

B-1. Ukulele Lady
2. When the Ship Comes In
3. Mapleview (20% Rag)
4. Days Are Short
5. Hobo's Lullaby

PRODUCED BY LENNY WARONKER & JOHN PILLA

CD : Warner Bros. WPCP4734 (JP)

コニー・ドーバーが19世紀アメリカン・フロンティアを歌っているとしたら、アーロ・ガスリーは20世紀のホーボー達を採り上げている、と云ったらいいか な。このアルバムと"Last of the Brooklyn Cowboys"で一躍スターの地位を獲得したアーロだが、このアルバムでは何といっても大ヒット曲'The City of New Orleans'の存在が大きいだろう。スティーヴ・グッドマンの作品だが、この曲なくしてこのアルバムは有り得なかったかもしれない。またバックの ミュー ジシャン達もスゴイ。ライ・クーダー、ニック・デカロ、ジム・ディッキンソン、ジム・ケルトナー、リンダ・ロンシュタット、クラレンス・ホワイト、その他 何十人という、よくこれほど集まったなぁ、と口をあけるしかなく、これで悪いアルバムが出来る訳がない。タイトル曲'Hobo's Lullaby'も出色の出来、1940年代の作品だが'The City of New Orleans'と共に新旧の代表的ホーボー・ソングだ。
kettle


boomer

Boomer's Story / Ry cooder (1972)
REPRISE P-8297R (JP)
B-1. Boomer's Story
2. Cherry Ball Blues
3. Crow Black Chicken
4. Ax Sweet Mama
5. Maria Elena

B-1. Dark End of the Street
2. Rally Round the Flag
3. Comin' in on a Wing and a Prayer
4. President Kennedy
5. Good Morning Mr. Railroad Man

PRODUCED BY JIM DICKINSON and LENNY WARONKER


初めて買ったライのアルバムで個人的には懐かしい。レコードに針を落として聴き進むうちに、なんて聴きづらい音楽だろう、という印象だったのだが、その原 因はライの弾くスライドのざらざらの音色だった。しかし何回か聴いているうちにボトル・ネック・ギターの良さが分かってきて、それも苦にならないほどに なった。アーロの'Hobo's Lullaby'のリリースと同じ頃にこのアルバムも発表されていることになるが、共通項も沢山ある。A-1.とB-5.がホーボー・ソングで、アーロの アルバムと同じようなコンセプトが繰り広げられている。コニー・ドーバーが歌っている世界とは少し方向性が違うが、通底する部分もあり、アーリー・アメリ カの 後半部分がこのアルバムで表現されているようにも思う。蛇足であるが、B-5.の邦訳が「おはよう、鉄道員さん」という何とも間抜けなタイトルが付けらて い るのには笑ってしまった。
kettle

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