I CAN'T TURN YOU LOOSE


stax

The Stax/Volt Revue, Volume One : Live in London (1967)
ATLANTIC SD7721 (CANADA)
A-1. Green Onions
2. Philly Dog
3. If I Had a Hammer
4. Knock on Wood
5. Shake

B-1. Yesterday
2. B-A-B-Y
3. I Take What I Want
4. When Something Is Wrong With My Baby
5. Hold On! I'm Comin'

RECORDING SUPERVISION : TOM DOWD


演奏ももちろんですが、呼び込みのフレーズがいちいちカッコいいロンドン・ライブ。スタックスのスタジオが空になってしまうほどの豪華メンバーが集い、歌 う様は何とも言いようのない興奮状態であります。クールな中にも高揚感を湛えるMG'sのA-1.はいかにも英国人好みの演奏ですが、全編を通して活躍す るMG'sおよびウェイン・ジャクソンらホーン・セクションの面々と、各アクターの一体感は素晴らしいものがあります。エディーフロイドのA-4.も、ス ティーブのコードワークが冴え わたり、お約束のブレイクも入っての大サービス、紅一点カーラ・トーマスが意外と渋い喉を披露するB面冒頭2曲も良いですが、続くサム&デイブは両人とも 全力でソウルの神髄を聴かせます。B-4.は完璧といってよく、一期一会の絶頂期を記録しています。オーティスはパリでの単独アルバムがあるので、ここは 予告篇ですかね。続編のVol.2、オーティスの3枚セットで楽しみたいものです。録音に関わっているトム・ダウドのライブ音源をコンパクトに仕上 げる卓越した編集能力には、いつもながら感心してしまいます。
cup


history

HISTORY OF OTIS REDDING (1967)
ATLANTIC SD 33-261 (US)
A-1. I've Been Loving You Too Long
2. Try a Little Tenderness
3. These Arms of Mine
4. Pain in My Heart
5. My Lover's Prayer
6. Fa-Fa-Fa-Fa-Fa (Sad Song)

B-1. Respect
2. Satisfaction
3. Mr. Pitiful
4. Security
5. I Can't Turn You Loose
6. Shake



A-2.を知ったのは実はオーティスの歌ではなく、スリー・ドッグ・ナイトのライブ映像でした。それでも当時はビックリしたものでしたが、彼等のベスト 盤CD収録のスタジオ・ヴァージョンを改めて聴くと、まぁ悪くはないのですが、身もフタもないコピー演奏で、変幻自在にテクニックを駆使するオーティス・ ヴァージョンの後に発表してしまう勇気というか、無謀さには恐れ入るしかありません。'67年の発表ということは、このレコードは当初VOLTレーベルで 発売 されたものでしょうか、そのせいかどうか分かりませんが、B-1.の歌い出しの瞬発力や、B-5.でのホーンのリフ等、他のレコードで聴くよりも歯切れの 良 いサウンドが印象に残ります。偽ステの4曲以外はステレオ収録、今回A-6.のあまりの緩い演奏に、こんな遅いテンポだったかな、と感じ入りました。B- 2.のクレジットにNick Jaggerとあるのは、ワザとかな(笑)
cup


please

PLEASE / RC SUCCESSION (1980)
Kitty 28MK 0008 (JP)
A-1. ダーリン・ミシン
2. トランジスタ・ラジオ
3. モーニング・コールをよろしく
4. たとえばこんなラヴ・ソング
5. DDはCCライダー
6. Sweet Soul Music

B-1. ぼくはタオル
2. ミスター・TVプロデューサー
3. いい事ばかりは ありゃしない
4. あきれて物も言えない
5. 体操しようよ

PRODUCED BY ICHIRO MAEDA & RC SUCCESSION



5人のメンバーが固まり、名曲、ヒット曲満載で送り出されたアルバムではありましたが、ライブの勢いが感じられない、シングルやら定番 曲を入れるのはどうなのよ、等々(ファンの身勝手な意見が多分に含まれているようにも思いますが)、当時の評価は決して芳しいものではなかったような気が します。こうした評価は今でも都市伝説の如く広く流布しているみたいで、私なども永らくそうしたイメージを持っていたのですが、今聴くと、あれ?結構イイ んじゃない?、と思う人も少なくないはず。何といっても曲の出来が抜群で、B-2.やB-5.あたりで感じられるユーモアや軽みはステージでは聴けないテ イストで したし、逆にちょっと毒気をふりかけたような得意パターンのB-1.やB-4.では意外に も当時の熱気が蘇ってきます。B-4.の前ふりだった「ミディアム・テンポのソウル・ナンバー」も懐かしく思い出されますね。ライブ定番曲では、確かにリ ズム・セ クションの音に膨らみが足りないような気もしますが、例えば'80年代特有のギスギスしていて大げさな音像に比べると、はるかにフツーで、聴き易いかもし れ ません。
cup

miller

Full House / Frankie Miller (1977)
Chrysalis CHR1128 (UK)
A-1. Be Good To Yourself
2. The Doodle Song
3. Jealous Guy
4. Searching
5. Love Letters

B-1. Take Good Care Of Yourself
2. Down The Honky Tonk
3. This Love Of Mine
4. Let The Candlelight Shine
5. (Ill Never) Live In Vain

PRODUCED BY CHRIS THOMAS


オーティスの奥様から絶賛されたという噂もあるスコティッシュ・ソウルマンのこちらは4枚目、メンフィス・ホーンズの面々が素晴らしいB-3.等を聴く と、 確かにオーティス作品のカヴァーかと勘違いしてしまいそうです。サザン・ソウル風味のB-1.あたりも同様ですが、全体的にはボトムの安定した質感を 持った、クリス・トーマスらしい正統派英国ロック作品。アンディ・フレイザーが作ったA-1.はベース・ラインやヴォーカル・スタイルがモロFREE、 ジョン・レノンの名曲A-3.のピアノはゲイリー・ブルッカーみたいで、プロコル・ハルム独特の雰囲気が持ち込まれています。またスタンダード・ナンバー をロック化したA-5.のアレンジには本当に舌を巻くばかり、歌声も絶品であります。この時期のミラー作品は甲乙つけ難くどれも魅力満載ですが、ディラン とスタックスが合わさったような前作 "THE ROCK"と本アルバムは、彼のキャリアの中でもひときわ光り輝くものとなっています。
cup


eddie2

I've Never Found A Girl / Eddie Floyd (1969)
STAX STA 2002 (US)
A-1. Bring It on Home to Me
2. Never Give You Up
3. Girl I Love You
4. Hobo
5. I Need You Woman
6. I've Never Found a Girl (To Love Me Like You Do)

7. I'll Take Her
8. Slip Away
9. I'm Just the Kind of Fool
10. Water
11. Sweet Things You Do

PRODUCER : STEVE CROPPER

この頃ともなるとスタックスのサウンドにも若干の変化が現れ、まぁエンジニアとかが代わったりしているせいもあるかもしれませんが、ベースやドラムスが心 持ち奥に引っ込み、サウンド全体でグルーヴを作り出しているような感じになっているような気がします。コーラスやホーンの音色が明るくなって、滑らかな聴 き心地になりました。フィリー・サウンドやモータウンの影響もあるかもしれませんが、エディー・フロイドの場合、元々それほどディープなシンガーではなさ そ うなので、「グルーヴィン」の雰囲気を踏襲したA-6.(何故かここでも「夏の日の恋」のメロディが挿入される)などはとても洗練された印象です。もちろ んB-3.やB-4.あたりの純正メンフィス・サウンドも健在、プロデューサーでもあるクロッパーのギターも大活躍で、随所に南部的なふくよかさも織り込 まれております。
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border

Borderline / Ry Cooder (1980)
Warner Bros. BSK 3489 (US)
A-1. 634-5789 (Soulsville, U.S.A.)
2. Speedo
3. Why Don't You Try Me
4. Down in the Boondocks
5. Johnny Porter

B-1. Way We Make a Broken Heart
2. Crazy 'Bout an Automobile (Every Woman I Know)
3. Girls from Texas
4. Borderline
5. Never Make Your Move Too Soon

PRODUCED BY RY COODER

Steve Cropper / Eddie Floyd作による'634-5789'、「寂しいときには僕に電話をかけてよ、テレフォン・ナンバー、634-5789だよ」みたいな歌詞だと思うが、 軽快なリズムに乗って歌われ、A面最初の曲としては理想的な形として、このアルバムの印象を決定している。ライ・クーダーのキャリアにおいては、私にとっ てこのアルバムは途中経過的なもので、あまり聴いてはいなかったのだが、今回聴き直してみて、A-1.の他A-2., A-4., B-2.など小粒ではあってもピリッとした佳曲が入っていて、やはりただ者ではないな、と恐れ入った次第だ。'79年発表の前作"Bop Till You Drop"では世界初のデジタル・レコーディングが行われていて、このアルバムにも3M DIGITAL SYSTEMというクレジットがあるのだが、両者共に音質はクリアーなものの、奥行き感がなく薄っぺらいサウンドがどうも気にかかる。とはいえ、十分に及 第点のつけられるアルバムだと思う。
kettle

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