WITCHSEASON


fotheringay

FOTHERINGAY (1970)
HANNIBAL HNBL 4426 (1987 UK)
A-1. Nothing More
2. The Sea
3. The Ballad of Ned Kelly
4. Winter Winds
5. Peace in the End

B-1. The Way I Feel
2. The Pond and the Stream
3. Too Much of Nothing
4. Banks of the Nile

Produced by JOE BOYD
UKCD : FLEDG'LING FLED 3044 (2004)

ニック・ドレイク、ヴァシュティ・バニヤンと同時期、1970年前後の作品群の一枚、英国に渡ったジョー・ボイドが旬なアーティストを積極的にプロデュー ス していた時代である。サイケデリックな赤が眼にとびこんでくるイラストのジャケットの表裏に反して、アルバムの中身はモノトーン、フェアポートの諸作の延 長線上にあるアルバムだと思う。後に結婚することとなるサンディ・デニーとトレヴァー・ルーカス中心の夫婦バンドで二人が創った曲が並んでいるが、変わっ た ところではB-1.がゴードン・ライトフットのカヴァーで、これはジョー・ボイドの勧めで加わったのかもしれない。"Leige & Leaf"に入っている'Reynardine'と同じようなスローなバラッドのB-4.は、歌手の力量を示すのにちょうど良い楽曲でサンディーの好むス タイルだ。そんなに凄いというわけではないが、このアルバムには聴くに値する音楽が収められている。
kettle


vashti

Just Another Diamond Day / VASHTI BUNYAN (1970)
Spinney 001CD (UK)
1. Just Another Diamond Day 2. Glow Worms
3. Lily Pond 4. Timothy Grub
5. Where I Like to Stand 6. Swallow Song
7. Window Over the Bay 8. Rose Hip November
9. Come Wind Come Rain 10. Hebridean Sun
11. Rainbow River 12. Trawlerman's Song
13. Jog Along Bess 14. Iris's Song for Us

15. Love Song
16. I'd Like to Walk Around in Your Mind
17. Winter Is Blue
18. Iris's Song for Us [Version 2]


Produced by JOE BOYD


トム・ウェイツのデビュー前のデモ・テープやライブを聴いてみると、やっぱり何かが足りない。正式に発表されたアルバムからするとやはりデモはデモで、目 を付けたプロデューサは真価を見抜き、これはこうしたら行けるかなというような先を見据えたヴィジョンをしっかり持っているんだな、と思わされたのだが、 こ のヴァシュティのアルバムも同様で、ジョー・ボイドはともすると単調に流れてしまいそうな彼女の曲を、抑制の利いたシンプルなアレンジで、しかも曲によっ て手を替え品を替えいろいろな楽器を使いながら「静」の世界を演出している。とても素晴らしい才能を持ったプロデューサーだと言える。彼はニック・ドレ イクのセカンド・アルバムもプロデュースしているのだが、こちらはオーバー・プロデュースだと当時のファンからはヒンシュクを買ったものだった。ヴァシュ ティのこのアルバムはドレイクのファーストと共通する雰囲気で構成されている。
kettle


julie

Julie Covington (1978)
VIRGIN V2107 (UK)
A-1. (I Want to See The) Bright Lights
2. By the Time It Gets Dark
3. Sip the Wine
4. How
5. Barbara's Song

B-1. Little Bit More
2. Let Me Make Something in Your Life
3. I Can't Dance
4. The Kick Inside
5. Dead Weight
6. Dancing in the Dark

Produced by JOE BOYD and JOHN WOOD

こちらはニック・ドレイク等とは対極にあるようなヴァラエティに富んだポップ寄りの作風、そういった意味ではジョー・ボイド作品の中では異色の作品といえ るかもしれません。主役のジュリーさんの本業は女優さんらしく、時々ヴォーカルが一本調子になるところがあったりしますが、その素人っぽいところが魅力で もありまして、ジョン・カークパトリックのケイジャン風アコーディオンにのせて軽快に歌われるB-3.なんかは元気よく頑張っています。アンディ・フェア ウェザー・ロウのB-6.もほのぼの路線でなかなかの出来。演奏陣はニューマック/ウィークスのリズム隊にリチャード・トンプソン、ニール・ラーセンを加 えたバンドが基本形で、ポップ寄りといえども手抜きはなくプロデューサー共々きっちり仕事をしている印象です。トンプソンの代表曲A-1.などは華やかな ア レンジがなされていてオリジナルとはまた違った趣があります。サンディ・デニーのA-2.や続くA-3.ではゲストのスティービー・ウィンウッドのオルガ ン がさり気なく目立っております。クルト・ワイルのA-5.もアコーディオン入りですが、こちらはプロコル・ハルム風。
cup


martin

Stormbringer / John & Beverkey Martyn (1970)
ISLAND IMCD 131 (1991 US)
1. Go Out & Get It
2. Can't Get the One I Want
3. Stormbringer
4. Sweet Honesty
5. Woodstock
6. John the Baptist
7. Ocean
8. Traffic-Light Lady
9. Tomorrow Time
10. Would You Believe Me

Produced by JOE BOYD

ジョーボイドが見出してアイランド・レコードに送り込んだジョン・マーティンと、奥さんのビヴァリーによるウッドストック録音盤。ジョン・マーティンとい う名前は他のレコードのクレジット等で見かけてはいましたが、最近までどんな人なのか全く知りませんでした。野原で寄り添う二人をとらえたジャケットの色 合いがそのまま内容を表しているような、深い陰影に富んだ傑作となりました。ウッドストック録音でありながらアメリカの音にただ浸るのではなく絶妙の 距離感を保っている印象で、このあたりプロデューサー(およびエンジニアのジョン・ウッド)の力量が発揮されているようにも思われます。ビヴァリー作品で は、リヴォン・ヘルムがドラムスを長尺ロック作品4.における寡黙なグルーヴは他に比べるものがないほど印象的、ストリングスがまるで英国録音のような気 品を感じさせる2.も素晴らしい。ヒョロッとした声のジョンですが、3. や10.等を聴くと意外にサンディ・デニーとも共通する雰囲気を醸し出します。フィンガー・ピッキングが聴ける5.や8.の英国フォーク・スタイルも良 い。
cup


pie

Pottery Pie / Geoff & Maria Muldaur (1969)
REPRISE RS 6350 (US)
1. Catch It
2. I'll Be Your Baby Tonight
3. New Orleans Hopscop Blues
4. Trails, Troubles, Tribulations
5. Prairie Lullabye
6. Guide Me, O Great Jehovah

B-1. Me and My Chauffeur Blues
2. Brazil
3. Georgia on My Mind
4. Death Letter Blues

Produced by JOE BOYD


ニック・ドレイク、ヴァシュティ、フォザリンゲイなどなど、この時期のジョー・ボイドは正に八面六臂の活躍である。ただこのレコード、ジェフ・マルダーの 歌唱法が私の性分に合わないのだ。名盤と言われる"Is Having a Wonderful Time" も最近やっと聴いたのだが、あのちりめんヴィブラートがどうも気になって彼の歌が私の興味をそそるという訳にはなかなかいかない。しかしそのハンディを 乗り越えてこのアルバムのB面は大したものだと思う。「ブラジル」は確かオリジナルはボサノヴァの曲だったような気がするが、軽快なギターのフィンガー・ ピッキングに始まり口笛でメロディを吹きながら歌に入っていく所なんぞは、日曜日の晴れた午前中に流すと最高だろう。そしてマリアがヴォーカルのB-3. はエイモスの技が光る名曲中の名曲、ノスタルジックなヴォーカルが曲の良さをさらに際立たせている。
kettle

history

  The History of Fairport Convention (1972)
ISLAND ICD 4 (UK)
A-1. Meet on the Ledge 2. Fotheringay
3. Mr. Lacey 4. Book Song
5. Sailor's Life

B-1. Si Tu Dois Partir 2. Who Knows Where the Time Goes?
3. Matty Groves 4. Crazy Man Michael

C-1. Medley: The Lark in the Morning/Rakish Paddy/Foxhunter's Jig/Toss the Feathers
2. Now Be Thankful 3. Walk Awhile
4. Sloth 5. Bonny Black Hare

D-1. Angel Delight 2. Bridge over the River Ash
3. John Lee 4. Breakfast in Mayfair
5. Hanging Song 6. Hen's March/The Four Poster Bed

Produced by JOE BOYD, JOHN WOOD, FAIRPORT, SIMON NICOL, TREVOR LUCAS


お馴染みのファミリー・ツリーがあしらわれたフェアポートのアイランド編集ベスト盤。ト ラッドや長尺曲を積極的にチョイスした英国らしい重厚な内容です(同じ1972年に米国A&Mからも編集盤"Fairport Chronicles" (SP-6016)が出ていますが、そちらはメンバーのオリジナル作品とディラン等のカヴァーを重点的に扱った別内容となってい ます)。2曲を除きセカンドから年代順に並んでいますが、イアン・マシューズが静かに歌い始め、サンディに取って代わるA-1.はベスト盤としては最高の 始まり方でしょう。トラッドのA-5.を含めてサイケッデリック・サイドとでも呼びたいA面ですが、A-1.やA-3.のコーラスなんかはジェファーソ ン・ エアプレインみたい。ジャケット内側にあるジョン・ウッドのコメントに、"Leige & Leaf"以前のハッチングスはフォーク寄りの人ではなかった、みたいなことが書かれていますが、やはりサイケな人だったのでしょうか。そしてB面はもう サンディ・オン・ステージ、何かが降りてきたかのような素晴らしい歌声が堪能できます。名演B-3.でのデイブ・マタックスの驚愕のドラミングも聴きどこ ろ。そのマタックスも引き続き大活躍のヘビー・ロック・サイドのC面、C-3., C-4.は新宿厚生年金の演奏(メンバーは違っていましたが)を思い出します。メンバーが少なくなってしまった最後の面では隠れ名曲のB-4.があったり して「頑張れサイモン」サイドとでも名付けたいものです。
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