STRAWBERRY ALARM CLOCK


hms

Hms Donovan (1971)
DAWN DNLD 4001 (UK)
A-1. The Walrus and the Carpenter 2. Jabberwocky
3. The Seller of Stars 4. Lost Time
5. The Little White Road 6. The Star

B-1. Coulter's Candy 2. The Road
3. Things To Wear 4. The Owl and the Pussycat
5. Homesickness 6. Fishes In Love
7. Mr. Wind 8. Wynken Blynken and Nod

C-1. Celia of the Seals 2. The Pee Song
3. The Voyage of the Moon 4. The Unicorn
5. Lord Of The Dance 6. Little Ben
7. Can Ye Dance

D-1. In An Old- Fashioned Picture Book 2. The Song of Wandering Aengus
3. A Funny Man 4. Lord of The Reedy River
5. Henry Martin 6. Queen Mab
7. La Moora

Produced by DONOVAN
UKCD : BGO BGOCD372 (1997)

月と星のサウンド・ホールの生ギター一本で満員の武道館の観客を圧倒したという伝説が残っているドノヴァン、このアルバムを聴くと、なるほどね、納得せず にはいられない。冒頭、9分ほどのサウンド・コラージュのような曲を除くとほとんど生ギター一本で歌われる本作、郷愁を帯びていてどこかで聴いたような曲 が並んでいて、英国人が聴けば自分の子供時代の甘く、ノスタルジックな思い出が蘇ってくるんじゃないか。
御伽噺をずっと聞いているようなこのアルバムは、ドノヴァンのキャリアの中では異彩を放つものだろう。英国の伝説や昔話に良く登場してくるElf(小さな 妖精)や動物があしらわれたジャケットを見ると、メルヘンの世界だなぁ、と思わず子供チックになるのは仕方のないこと、後にも先にもこんなアルバムはお目 にかかれない、誰に も真似のできない貴重な作品である。
kettle


hurdy

Hurdy Gurdy Man / Donovan(1968)
EPIC BN 26420 (US)
A-1. Hurdy Gurdy Man
2. Peregrine
3. The Entertaining Of A Shy Girl
4. As I Recall It
5. Get Thy Bearings
6. Hi It's Been A Long Time
7. West Indian Lady

B-1. Jennifer Juniper
2. The River Song
3. Tangier
4. A Sunny Day
5. The Sun Is A Very Magic Fellow
6. Teas

Produced by MICKIE MOST


このアルバム発表の数年後、つげ義春原作「紅い花」のドラマ版がNHKで放送されたのですが、その中の船が川をさかのぼるシーンでB-2.が印象的に使わ れていました。アコギとタブラの演奏で幻想的に歌われるこの曲、改めて聴くとシンプルなメロディでとても短いのですが、天然ヴィブラートのドノヴァンの ヴォーカルの魅力が良く分かるものです。同様にヴォーカルが技巧的なタイトル・ソングでは後のツェッペリンの面々がサイドを固めているらしく、サイケなギ ターとド派手なドラムスが呪術的なムードを醸し出しております。続くA-2.はハーディ・ガーディらしき音色で始まりますが、トラッドともインド風ともつ かない怪し気な曲、アフリカ、アラブ風なB-3.やナンチャッテ・ラテン・ムードのA-7.共々いかがわしさ満点。一方"HMS〜"に入っていてもおかし くないB-5.からは持ち味のひとつである童謡風メロディが聴こえます。イントロのピアノが可愛いA-6.も同傾向ですが、ストーンズの'She's A Rainbow'を思わせるアレンジはジョン・ポール・ジョーンズの仕事ですかね。
cup


baraba

Barabajagal / Donovan (1969)
EPIC BN 26481 (US)
A-1. Barabajagal
2. Superlungs My Supergirl
3. Where Is She
4. Happiness Runs
5. I Love My Shirt

B-1. Love Song
2. To Susan on the West Coast Waiting
3. Atlantis
4. Trudi
5. Pamela Jo

Produced by MICKIE MOST


ウチにあるドノヴァンのレコードはどれも70年代の終わりから80年代にかけて購入したものですが、当時は誰もドノヴァンなんて聴かなかったのか、ほとん どが タ バコ一箱分位の値段でした。そんなこんなでこのアルバムも滅多に聴かなかったのですが、意外にも今聴いた方が面白さが分かるような内容となっています。い つ の間にかサイケ色が薄まり、コンパクトにまとまった佳曲が並んでいますが、A-1.はジェフ・ベック・グループ、レズリー・ダンカン、スージー・クアトロ を 配したクールなファンク、いかにもロン・ウッドなベースが今更ながら面白い。B-4.もジェフ・ベック・グループですが、こちらはちょっとレゲェが混ざっ ているようです。ピアノに乗せて剽軽に歌われる「僕の好きなシャツ」とか囁きヴォーカルが懐かしい「西海岸で待っているスーザンに」などは有名ですが、軽 やかなラテン・テイストのB-1.やポップなマイナー・ロックのA-2.などは隠れた名曲かもしれません。
cup


essence

Essence to Essence / Donovan (1974)
EPIC E 32800 (US)
A-1. Operating Manual for Spaceship Earth
2. Lazy Daze
3. Life Goes On
4. There Is an Ocean
5. Dignity of Man

B-1. Yellow Star
2. Divine Daze of Deathless Delight
3. Boy for Every Girl
4. Saint Valentine's Angel
5. Life Is a Merry-Go-Round
6. Sailing Homeward

Produced by ANDREW OLDHAM

初めて買ったドノヴァンのアルバムは確かコレ。アメリカではちょっこし売れたようですが、もちろんしっかりカット・アウトが入っています。プロデュースは アンドリュー・オールダム(これまた怪し気)ながら、内容は鮮やかなクリーン・ヒットで、夢見る少年的キャラと美メロに、適度にレイド・バックした70年 代 サウンドがうまく溶け合って、万華鏡的ポップアルバムとなりました。少しスワンピーなリズムとサイケなサビのメロディのコントラストが面白いA-1.、お 馴染みのビブラートがカントリーぽいサウンドと同居するA-2.、フレンチ・ポップスを思わせるA-3.、「ラレーニア」風な美メロのA-4.と、A面は 印 象深い曲が続きます。タイトになったレゲェで始まるB面も引き続き美メロ満載ですが、アコースティック・ギターの硬めの音色が甘さを上手く中和しているよ うです。B-5.ではビブラート付きコーラスを配していて、これは良いアイデアだ。
cup


dead

Grateful Dead (1971)
WARNER BROS. P-5042〜3 (JP)
A-1. Bertha
2. Mama Tried
3. Big Railroad Blues
4. Playing In The Band

B-1. The Other One

C-1. Me & My Uncle
2. Big Boss Man
3. Me & Bobby McGee
4. Johnny B. Goode

D-1. Wharf Rat
2. Not Fade Away/Goin' Down The Road Feeling Bad


1971年にウインターランドやフィルモア・イーストなどで録音されたライブ・アルバム、デッドのライブ・アルバムはどれもオープン・エア、太陽の下で演 奏されているような開放感が感じられますが、それは空に向かって放たれるようなリードギターの乾いた音色のせいかもしれません。A-1.など代表曲も収録 されているのであまり気にしていなかったのですが、改めて選曲を眺めてみると、カヴァー曲それもR&Rやカントリーの結構 ベタなカヴァーが多いことに気付きます。マール・ハガードのA-2.ではリズム隊のコンビネーションがデッドならでは、とてもカントリーには思えません。 最後の面のメドレーではジャングル・ビートに切れ込んでくるギターのスリリングな感じがたまりません。疾走感と緩やかさが同居しているような演奏が聴ける B-3.、当時話題の曲をサクッと採り上げてしまう軽やかさもデッドらしい。この曲、発表当時も指摘されていたのですが、ボブ・ウィア(「フィルモア・ラ スト・デイズ」を見ると、クールでカッコいい)は 'Freedom is just another word for nothing left to lose'の歌詞を何回か'nothing left to do'と替え歌しているんですね。
cup


dukes1

25 O'Clock / Dukes Of Stratosphear  (1985)
VIRGIN WOW 1 (UK)

A-1. 25 O'Clock 2. Bike Ride to the Moon
3. My Love Explodes
B-1. What in the World??... 2. Your Gold Dress
3. Mole from the Ministry

Produced by JOHN LECKIE AND THE DUKES
dukes2

Psonic Psunspot / Dukes Of Stratosphear (1987)
VIRGIN VP2440 (UK)

A-1. Vanishing Girl 2. Have You Seen Jackie?
3. Little Lighthouse 4. You're a Good Man Albert Brown (Curse You Red Barrel)
5. Collideascope
B-1. You're My Drug 2. Shiny Cage
3. Brainiac's Daughter 4. The Affiliated
5. Pale and Precious

Produced by JOHN LECKIE AND THE DUKES

フォークルが変名でサイケ路線に走ったように、十数年の時を経てXTCも成層圏公爵名義で引用と英国風ユーモア満載のアルバムを作りました。パロディは時 を経るほど本物よりもさらに作り込みがないと成立しないようにも思われますが、エレクトリック・プルーンズと「黒くぬれ」をベースとしピンク・フロイドや らドアーズネタを織り込んだ'25 O'Clock' を筆頭として、相当しつこいというか、適度なやり過ぎ感覚が十分なタイム・スリップ効果を生んでいます。ミニ・アルバム風体裁のファーストはこってり感を ギュウギュウに詰め込んだ感じでアングラ・サイケ・テイスト、A-1.と同傾向のA-3.は「幻の10年」かな。当然ビートルズ・ネタにも事欠かず、B面 には「リボルヴァー」的雰囲気も漂い、B-3.ではポールそっくりなヴォーカルも披露されてます。2枚目はフル・アルバム、いかにもXTC、といった普通 の?曲も混ざっておりますが、ポップで明るめの楽曲が並んでいて、ビートルズ・ネタはさらに磨きが かかってきます。冒頭は「ラバー・ソウル」仕様の「ライオンは寝ている」みたいですが、一番の出来は'I'm Only Sleeping'をサージェント・ペパーズ風に展開したようなB-2.、ここでのヴォーカルもジョンそっくり。そっくりといえば続くB-3.のメロ ディ、コーラスなどポール本人が作ったと言われても信じるようなレベルです。A-4.なんかは「アビー・ロード」とキンクスの合わせ技。ラストの曲はブラ イア ン/ビーチボーイズ・ネタ、「スマイル」完成版にそのまま入っていそうです。
cup


sometthing

Something Else by the Kinks (1967)
  PRT NSPL 18193 (UK)
A-1. David Watts
2. Death Of A Clown
3. Two Sisters
4. No Return
5. Harry Rag
6. Tin Soldier Man
7. Situation Vacant

B-1. Love Me Till The Sun Shines
2. Lazy Old Sun
3. Afternoon Tea
4. Funny Face
5. End Of The Season
6. Waterloo Sunset

Produced by RAY DAVIES
MONO CD : ESSENTIAL ESM CD 480 (UK 1998)
STEREO CD : CASTLE CLACD 159 (FRANCE 1989)

'Every day I look at the world from my window'、永遠の名曲B-6.の一節ですが、なるほど'my window'かぁ、この曲の歌詞をちゃんと読んだのは初めてだったのですが、ここにはスウィンギング・ロンドンの喧騒から一人遠く離れて夕陽を見つめる 孤高の作家の姿があるようです(単純にひねくれていただけ、かもしれませんが)。いずれにしろ、オルガンの厚みのあるサウンドが耳に残るB-1.など弟 ディヴィスの曲を除くと、サウンド的にも典型的なロック調は影を潜めていて、ジャムのカヴァーで有名曲の仲間入りをした「デヴィッド・ワッツ」にしても、 かけ声とかコーラスはなんか垢抜けていない、というか、一筋縄でいかない雰囲気です。このアルバム以降のレイ・デイヴィスはトータル・アルバム、ソープ・ オペラに執心していくことになりますが、A-6.のホーンのトボケた味わいと正調キンクス節、音楽劇の一幕に騒々しく歌われるようなA-5.、哀愁漂うA -3.など、キンクスの「何かちょっと違う感じ」は明らかにこのアルバムのサウンドがベースになっています。一般の人々のごく普通の日常に題材を得た歌 詞 の内容にしても、ロンドンに住んでいないとニュアンスが分からないとも云われていて、当時の若者の指向とはかけ離れた真逆の方向だったでしょう。ドラムの ビート「リボルヴァー」の影響が垣間見えるプチ・サイケなB-2.などは付き合い程度のご愛嬌かもしれません。
cup

20TOP
HOME