BEARSVILLE


borderline

SWEET DREAMS AND QUIET DESIRES / Borderline (1973)
AVALANCHE AV-LA016-F (US)
A-1 HANDSOME MOLLY
2  MARBLE EYES
3  DON'T KNOW WHERE I'M GOING
4  GOOD WOMAN'S LOVE
5  PLEASE HELP ME FORGET
6  THE DISTANCE

B-1 DRAGONFLY
2. SWEET DREAMS
3. CLINCH MOUNTAIN
4  MARILALA
5  AS LONG AS IT'S YOU AND ME

Produced by JIM ROONEY and JON GERSHEN


David Gershen、Jon Gershen、Jim Rooney、この3人が集まって結成されたボーダーライン、このアルバムのプロデュースはルーニーとジョン、2人の名義になっていて、良質なサウンドが 展開されるいいアル バムだ。私はこのアルバムのA面が大好きで何回も聴き込んだ覚えがある。とりわけジム・ルーニーがリード・ヴォーカルをとるA-1., A-4., A-6.がお気に入り、3曲共に軽快なアップ・テンポでカントリー・タッチの曲なのだが、日曜日の朝起きて何か聴こうかと云う時には決まってこのA面をか けたものだ。ジム・ルーニーのソロ・アルバムはLPを1枚とCDを1枚所有していて何回か聴いてみたのだがあんまり良いとも思えない。ボーダーラインのよ うに共同名義で出したりする方が彼の特質を良く引き出しているようにも思える。B-3.もルーニーのヴォーカル、これもいい曲だ。
kettle


beth

  NEW MOON RISING / KAREN BETH (1975)
BUDDAH BDDS 5631 (US)
A-1. Desert
2. The Jester
3. Flying
4. What To Do
5. New Moon Rising
6. Too Much Control

B-1. Bird Of Song
2. Living In The Country
3. The Water's On The Rise
4. Come With Me
5. Outsider Blues
6. It Ain't The Bad

Produced by JOHN SIMON

カレン・ダルトンのアルバムと参加メンバーが一部重複してはいるものの、こちらのカレンさんのレコードは素朴なジョニ・ミッチェル、といった趣きの癒し系 アコースティッ ク作品。タイトなリズムにクールなアコースティック・ギターとフルートが乗っかる冒頭曲からして、プロデューサー及び編曲担当でもあるジョン・サイモンの 都会的で知的なセンスが垣間見えますが、リズムやホーンの使い方がちょっとミュージカル風でもあるB-3.に伺える洒落っ気などもこの人ならでは。一方 で、ダンス曲に 歌を乗せたようなB-4.とかフィドルとギターでしっとりと仕上げたB-1.など、カレンさん自作曲の多くはカントリーやフォークに根ざした穏やかな印象 を持っていて、都会と田舎の中間地点、ベアズヴィル・スタジオのポジショニングのなせる技というべきか、両方がうまく調和した作品といえるかもしれませ ん。突出して出来の良い曲がある訳ではないのですが、ふわっとした気分に浸りたいときに引っ張り出して聴いています。
cup


tim

Tim Moore (1974) 
Mooncrest Crest16 (UK)
A-1. A Fool Like You
2. Second Avenue
3. Charmer
4. Sister Lilac
5. High Feeling

B-1. I Can Almost See The Light
2. Love Enough
3. Aviation Man
4. When You Close Your Eyes
5. I'll Be Your Time

Produced by NICK JAMESON


何しろこのシンガー・ソングライターの一番有名な曲はベイ・シティ・ローラーズの「ロックン・ロール・ラブレター」ですからねぇ、髭面率の異常に高いウッ ドストッカーの中にあって、いかにも草食男子光線を放つジャケットにも 微妙な違和感を覚えてしまいますが、その実態は素晴らしいメロディが満載のアルバムなのであります。同じ美メロ系でもエリック・カズがゴスペル系とすれ ば、ティム・ムーアは少しブルー・アイド・ソウルがかったAOR、といった印象でしょうか。フィリー・ソウル丸出しのA-3.や、メロディの覚え易いミ ディ アム・テンポのA-1.、B-5.なんかは大ヒットしてもおかしくなかったかも。A-2.はアート・ガーファンクルに採り上げられスマッシュ・ヒットを記 録したそうですが、ピアノ中心にした都会的な感性はちょっとビリー・ジョエルを思 い出してしまいました。アルバム中一番の美メロは、といえばA-4.、クラシカルなストリングスとハープシコードにウットリしてしまいます。B-3.だけ は、ベアズヴィル・スタジオ独特の硬質なロックですが、その他の曲でも ポール・バターフィールド関係の作品で名前を見かけるニック・ジェイムソンがプロデュースを担当しているだけあって、甘さに流れない芯の通った演奏が聴か れます。ティム・ムーア自身もメロディ楽器のほとんどを担当、マルチ・プレイヤーとして活躍しています。
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elec

Electric Dirt / Levon Helm (2009)
  Dirt Farmer (Vanguard) 79861-2 (US)
1. Tennessee Jed
2. Move Along Train
3. Growing Trade
4. Golden Bird
5. Stuff You Gotta Watch
6. White Dove
7. King Fish
8. You Can't Lose What You Ain't Never Had
9. When I Go Away
10. Heaven's Pearls
11. I Wish I Knew How It Would Feel to be Free

Produced by LARRY CAMBELL

ウッドストックの自身のスタジオで録音された充実盤。順調にライブ活動も行っているようで病気療養中だったのが嘘みたい、ヴォーカルだけでなく全曲にわ たってリヴォンのドラムスが聴けるのも嬉しい限りです。1曲目はちょっとかすれた声で歌われるデッドのカヴァー、アコギのリフに絡むホーン・アレンジに広 がりが感じられ、ジェリー・ガルシアさんも大喜びの快演となっています。ホーンと云えばランディー・ニューマンの7. でのディキシーランドなアレンジはアラン・トゥーサンが担当、同じくトゥーサンのアレンジによる11.では大瀧さんの「楽しい夜更かし」が思い出されまし た。そしてマディ・ウォーターズの作品が2曲、5.はアコーディオン入りで「ウッドストック・アルバム」の雰囲気、8.ではマンドリンが入ってシンプルに 演奏 されています。引きずるようなドラミングが面白い2.はゴスペルで、娘のエイミーさん(お母さんはリビー・タイタス)も交えてもろにステイプル・ムード。 トラウム兄弟のヴァージョンではブルーグラ スのようなスタイ ルで演奏されていた4.はアイリッシュ風かな、フィドルとベースが切々としたヴォーカルを盛り上げています。ブルースでもカントリーでもゴスペルでも、リ ヴォンの歌い回し は全くぶれることはなく、不変の輝きを放ち続けます。
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rem

Out of Time / R.E.M. (1991)
  Warner Bros. 9 26496-2 (US)
1. Radio Song
2. Losing My Religion
3. Low
4. Near Wild Heaven
5. Endgame
6. Shiny Happy People
7. Belong
8. Half A World Away
9. Texarkana
10. Country Feedback
11. Me In Honey

Produced by SCOTT LITT & R.E.M.

ワーナー移籍後2作目、ベーシックな録音はベアズヴィル・スタジオで行われています。ちなみにこのスタジオ、現在は閉鎖されてしまったとのことで、残念至 極。アコースティック楽器の割合が高いこと、突っかかるようなスピード感が 後退し、クールで落ち着いた印象があるのはベアズヴィル録音の効果なのかもしれません。特にアコースティック・ギターの硬めの音色はスタジオの特性かし ら。いかにもR.E.M.っぽい曲調の2.や9.においても従来のエレクトリックなリズム・ギターが不在でスピードも緩め、マンドリンやアコースティッ ク・ギターが目立っています。マイケルのヴォーカルとオルガンに、メロトロンのようなストリングスが絡むドアーズ・テイストの3.とか、60'sサイケを 踏襲したコーラスが懐か しいフォーク・ロックの4.なんかを聴いていると、格別ウッドストックを意識した、というようなことでもないようですが。発表とほぼ同時に入手して良く聴 いていたアルバムでしたが、ちょうど最新の音楽とか情報などに疎くなり始めた頃でもあったため、本作が全米1位になったことはつい最近まで知りませんでし た。そういえばベアズヴィル録音のレコードがベストセラーになったという話はあまり聞きませんね。
cup


dalton

In My Own Time / Karen Dalton (1971)
  Paramount PAS-6008 (US)
A-1. Something On Your Mind
2. When a Man Loves a Woman
3. In My Own Dream
4. Katie Cruel
5. How Sweet It Is

B-1. In a Station
2. Take Me
3. Same Old Man
4. One Night Of Love
5. Are You Leaving For the Country

Produced by HARVEY BROOKS

Buried Alive in the Blues、歌入れの前にジャニスが他界してしまい、演奏のみがアルバムに収められている曲のタイトル、後のベター・ディズの歌入りヴァージョンでも知ら れていますが、カレン・ダルトンの本作品を聴いているとど うしても 思い出してしまう言葉です。といっても、この作品にはいわゆるブルース然とした演奏はほとんど収められていないわけですが、唯一無二のしわがれ声と茫漠と した歌い回しはブ ルースそのものを体現しているとしか言い ようのないものであり、ジャニスのバック・バンドを務めたフル・ティルト・ブギ・バンドの 面々やエイモス・ギャレットの香り立つような演奏と、漂うようなヴォーカルとの微妙な隙間が生み出す絶妙な間合いは、数あるウッドストック産 アルバムの中にあっても異彩を放ち続けています。オルガンを取っ払ったサザン・ソウルのA-2.、スティール・ギターを加えてカントリー風に料理された マーヴィン・ゲイのA-5.、うねるようなベ−スとオ ルガンの深みある音色が素晴らしいB-1.など、何度となく聴いた有名曲も原曲を忘れてしまうほどに全く別の世界が構築されています。ディノ・ヴァレンチ のペンになるA-1.などフェアポートみたいなイントロで始まりますが、そういえばB-3.はイアン・マシューズも採り上げていたトラッド曲でした。
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