GREASE BAND


grease2

Amazing Grease / The Grease Band (1975)
CHARLY CR 30166 (1979 UK)
A-1.New Morning
2. Reminiscing
3. Pont Ardawe Hop
4. Dwoogie

B-1. Blue Monday
2. Mandolin Song
3. Honky Tonk Angels
4. Rock 'N' Roll Rodeo

Produced by THE GREASE BAND & BOB POTTER


ロンドンのオリンピック・スタジオとアイランド・スタジオで録音されたグリース・バンドの2作目、というか一時期ヘンリー・マッカロクがウィングスに加入 したりしていたので、ひょっとすると再結成盤というのかもしれません。いつもの4人にクリス・ステイントン(この人はメンバーではないのだろうか?)を加 えた演奏は時を経ても不変、他のセッションの時よりもドラムとベースがさらに野太く、スワンプの臭みもより強力になっている印象です。マンドリンを中心に 据えたB-2.などはその典型で、ストーンズのサウンドをよりワイルド&ルースに展開したような曲。サックスも交えてのA-3.はかなり弛めのセッション 風インスト、この前後の曲はいずれもソウル/ファンクの影響下にあるような雰囲気ですが、A-4.はほとんど1コードで進行する変わり種、一発録り的瞬発 力を優先したのかヴォーカルがオフ気味なのが特色のアルバムですが、唯一コーラスも格好良くアレンジされたA-1.、先ほどレーベルのクレジットを見て ディランのあの曲のカヴァーと初めて認識、聴き比べるとそれほどアレンジも変えていないみたいなのですが、購入後数十年全く気付かないとは、いやはや不覚 でありました^^
cup


spooky
 
  The Last Puff / Spooky Tooth (1970)
Repertoire REPUK 1073 (2005 UK)
1. I Am the Walrus
2. The Wrong Time
3. Something to Say
4. Nobody There at All
5. Down River
6. Son of Your Father
7. The Last Puff

8. Son of Your Father 9. I've Got Enough Heartache
10. I Am the Walrus 11. Hangman Hang My Shell on a Tree

Produced by CHRIS STAINTON and CHRIS BLACKWEL

数ヶ月前、某大手通販サイトでこのレーベルの半額セールをやっていたので、スプーキー・トゥースのアルバムを3枚とエリック・バードンを1枚まとめ買い。 で、スプーキー・トゥースといえばハード・ロックのイメージが強いグループとして記憶していましたが、初期にはシングルで'The Weight'をカヴァーする等、必ずしもハード・ロック一辺倒という訳でもないようでして、このアルバムではグリース・バンド関係の3人、クリス・ステ イントン(クリス・ブラックウェルと共にプロデューサーとしても参加)、ヘンリー・マッカロク、アラン・スペナーを迎え、最初の2曲を除くとスワンプ/ゴ スペル路線にシフトした演奏が多く聴かれます。印象的なイントロで始まる3. はジョー・コッカーの作品、ゴスペル・コーラスを交えた変化のあるアレンジが妙、ベースが唸りスライドが絡む4.は最もグリース・バンド的でしょうか。 5.や7.ではステイントンのキーボードさばきが聴きどころ。エルトン・ジョン自身のヴァージョンも南部っぽい雰囲気だった6.も良いですが、同曲のモ ノ・ヴァージョン8.の方はより一体感が感じられる迫力のミックス。ジョン・レノンの名曲もやはりモノ、10.の方に軍配が上がります。リミックス・エン ジニアとしてグリン・ジョーンズも参加、総じてバランス、音質が良い。
cup


grease1

THE GREASE BAND (1971)
LINE OLLP 5005 AS (1983 W, GER)
A-1. My Baby Left Me
2. Mistake No Doubt
3. Let It Be Gone
4. Willie And The Pig
5. Laughed At The Judge

B-1. All I Wanna Do
2. To The Lord
3. Jessie James
4. Down Home Momma
5. The Visitor

Produced by THE GREASE BAND, CHRIS STAINTON and NIGEL THOMAS


レスター・フラットのライブ盤やクラレンス・ホワイトのアコースティック・ギターなんかをこのところずっと聴いていたので、久しぶりにエレクトリックな音 を聴いた気がする。このグリース・バンド、名は体を表すという言葉通りで、ヴォーカルもギターもネットリと湿り気のあるサウンドを展開していて、特にヘン リー・マッカロクは分かりづらいメロディと歌い方。アルバム・ジャケットもヒシャゲているが、サウンドの方も相当屈折してひねくれていて、B面の1曲目等 は暗い密室でうごめいているような感じを受ける。一方B-2.やB-3.はグリース・バンド作とクレジットされているものの米国のフォーク・ソングで、こ ち らは分かり易い、まるでザ・バンドのようだ。米国南部の土の香りが確かに感じられるサウンド、質の高いアルバムだと思う。
kettle


joe

With a Little Help From My Friends / Joe Cocker (1969) 
A&M CD 3106 (US)
1. Feeling Alright
2. Bye Bye Blackbird
3. Change In Louise
4. Marjorine
5. Just Like A Woman
6. Do I Still Figure In Your Life?
7. Sandpaper Cadillac
8. Don't Let Me Be Misunderstood
9. With A Little Help From My Friends
10. I Shall Be Released

Produced by DENNY CORDELL


結構なトンデモジャケなんでLPサイズだと購入意欲がわかず、CDで購入後もあまり聴いていなかったのですが、これはなかなかの名作です。有名曲のカ ヴァーに混ざってオリジナルが3曲ほど入っていますが、クリス・ステイントンとヘンリー・マッカロクを従えたザ・バンド+ゴスペル風な3.、「サージェン ト・ペパーズ」あたりの雰囲気漂うアレンジの小曲4.、クリスのオルガン、ジミー・ペイジのギターがモロにプロコル・ハルム/ロビン・トロワーな7.、と どれもよく練られていて、この辺デニー・コーデルのセンスが感じられます。プロコル・ハルムといえばプロデューサーが同じこともあるのか、随所で2キー ボードのコンビネーションの妙が楽し めるのも、オルガン好きとしてはありがたい。BJ、ペイジ、クリス、マシュー・フィッシャーの布陣という5.はピアノのリフが美しく、星の数ほどありそう なカヴァーの中でも珠玉の逸品かと思われます。スワンプ・ブームの火付け役的な1.が一番米国風なファンキー・ゴスペル、どの曲も良い出来なので、ウッド ストックの映像でみんなの度肝を抜いたアレンジの9.は慣れのせいか割と普通に聴こえてしまいました。
cup


mariannne

Rich Kid Blues / Marianne Faithfull (1985)
  CASTLE CCSLP 107 (UK)
A-1. Rich Kid Blues 2. Long Black Veil
3. Sad Lisa 4. It's All Over Now Baby Blue
5. Southern Butterfly 6. Chords Of Fame

B-1. Visions Of Johanna 2. It Takes A Lot To Laugh It Takes A Train To Cry
3. Beware Of The Darkness 4. Corrine Corrina
5. Mud Slide Slim 6. Crazy Lady Blues

C-1. All I Wanna Do In Life 2. I'll Be Your Baby Tonight
3. Wait For Me Down By The River 4. That Was The Day (Nashville)
5. This Time 6. The Way You Want Me To Be

D-1. Dreamin' My Dreams 2. Wrong Road Again
3. Fairy Tale Hero 4. Vanilla O'Lay
5. Lady Madelaine 6. Hony Tonk Angels



モルヒネお姉さんことマリアンヌ・フェイスフル、アイランド移籍までの70年代録音は発表形態がややこしくて困るのですが、このアルバムのCD面は NEMSで発表された曲の(多分)3回めの発表。3回とも微妙に選曲が異なっているのでここでも全部が聴ける訳ではないみたいですが、グリース・バンドが 全編サポートしているらしく、重心の低いリズム隊とカントリー・タッチの選曲が大変好ましい印象をもたらしています。かつてのイングランド・フォークの妖 精的なイメージとは全く異なるハスキーな歌声は時に切々と時には投げやりにファンの心を掻き乱してくれます。アイルランドでチャート・インしたというD- 1.をはじめカントリー・ワルツが多めなのが特色ですが、アコーディオン入りのC-3.などはエミルー・ハリス/ザ・バンドの「エヴァンジェリン」を彷彿 させる曲調。カントリーとは言ってもスライドが絡んでの重低音が迫力のA-1.なんかではスワンプ臭さを醸し出し、60年代からよく採り上げていたジャッ キー・デシャノン作品B-4.やホーンが前面に出たA-5.ではポップな軽やかさもあります。12弦(多分)のストロークから始まるB-5.は「ワイル ド・ホーシズ」をおもわせるしっとりした名曲。
ついでながら、AB面は'71年録音でこのアルバムで初めて発表されたアイテム。
cup


roger

First Album / Roger Morris (1972)
  HUX 068 (2005 UK)
1. Taken for Granted
2. Vigil
3. Golightly's Almanac
4. Showdown
5. All My Riches
6. The Trail of Tears
7. Northern Star
8. Livin' on Memories
9. Poor Lucy
10. First Snow
11. Let the Four Winds Blow
12. Idaho

13. Mississippi Story 14. Down the Meadow
15. The Number 1 Need 16. Copenhagen Moon

Produced by KEITH WEST, KEN BURGESS

空想的南部音楽の最高峰、と言ってしまいましょうか、ザ・バンドの音に迫ったグループはそれこそ沢山ありますが、ソロ・アーティストで曲作りまでもこなし てしまった例はあまりないかもしれません。といってもこの人の声はアンディ・フェアウェザー・ロウに少し似ていてリチャードやリヴォンのようではないわけ で必ずしも「ソックリさん」という訳ではなく、やはりこのアルバムの肝は曲の良さとアレンジ、それとリズム感覚でしょうか。5.とか11.でのドラム等は 全くのリヴォン風、叩いているのはグリース・バンドのブルース・ローランズさんかしら。アコーディオンが印象的でちょっとゴスペルっぽくもある1.のファ ルセットでのハモりなども良い感じ。英国産南部音楽というと(例えばブリンズリーみたいに)どこかに端正な上品さが残っているものですが、このロンドン録 音盤にはザラリとした大雑把さというかスケール感も同居していて、何も言われなければナッシュビルかどこかで録られたものと勘違いしてしまうかも。今世紀 に入ってからこんな音に出会えるとは、CD化に大感謝です。
cup

22TOP
HOME