WALTZING FOR DREAMERS


hokey

Hokey Pokey / Richard & Linda Thompson (1974)
ISLAND ILPS 9305 (US)
A-1. Hokey Pokey ( The Ice Cream Song )
2. I'll Regret It All In The Morning
3. Smiffy's Glass Eye
4. The Egypt Room
5. Never Again

B-1. Georgie On A Spree
2. Old Man Inside A Young Man
3. The Sun Never Shines On The Poor
4. A Heart Needs A Home
5. Mole In A Hole

Produced by JOHN WOOD and SIMON NICOL

ヴィクトリア期のロンドンの街角、お祭りか何かで人々が沢山集まっているイラストと骨董的なデザインのレコードを、今は亡きレコード店「スミヤ」のディス プレイで見かけて即購入したのは、まだフェアポートのレコードは持っていなくてリチャード・トンプソンの名前もぼんやりと覚えているだけだった頃でした。 このイラスト、よく見ると一人一人が手にアイスクリームを持っているんですが、ちょっと見ただけでは分からなかったり、中を開くと載っている歌詞のデザイ ンも当時のブロードサイド・バラッドめいていたりと、なかなかに凝っていて面白い。このアルバムで初めてリンダさんの歌声に接した訳ですが、A-5.や名 曲B-4.などの落ち着きのある歌声は素晴らしく、さすがサンディ・デニーが絶賛するだけのことはあります。女声ヴォーカルを得たことでリチャードの作る 曲も童 謡っぽいものやアラビア風、東欧風と幅がぐっと広がった感じ、歌詞の内容はともかくも他のアルバムに比べてサウンド的に柔らかい印象が残るのは、プロ デュースに名を連ねているサイモン・ニコルの資質でしょうか。歌詞と言えばタイトル曲、わざわざアイスクリームの歌と記されていて演奏も楽し気なのです が、後半になると何やら怪し気な言葉も出てきたりして一筋縄ではいきません。
cup


back

Backwoods / Gay & Terry Woods (1975)
  Hugo-Montes HMPCD-012 (UK)
A-1. I Missed You
2. The Hymn
3. Dublin Town
4. The Fair
5. Side Tracked
6. Thinking of You
7. Second Hand Sale
8. Sorry Friend
9. Winter Poem
10. Dunlavin Green

Produced by Tony Atkins



初めてこの夫妻の音源を聴いたのが、英国フォークの米国配給レーベル、Antilesのサンプラー盤に入っていた「タイム・イズ。ライト」という曲、なか なかいい曲なのだが、何より夫のテリーの歌声にノックアウトされた覚えがある。少しかすれた声質で何とも言えない抑揚のある歌い方は一度聴いたらすぐ分か る特質を持っていた。そしてこのアルバムだが全10曲中テリーの歌声が聴けるのは4曲、もうちょっと聴きたかった気がするのだが奥さんのヴォーカルも結構 い けるのでそこは我慢しよう。このアルバム、エレクトリックトラッドに分類されてはいるが、基本的にはテリーのアコースティックギターとゲイのダルシマーが 中心の音、テリーが最初に参加したSweeney's Menのアルバムを聴いても分かるようにアコースティック感覚が随所に聴ける佳作のアルバムだ。
kettle


brightkights
 
  I Want To See The Bright Lights Tonight / Richard & Linda Thompson (1974)
ISLAND IPLS 9266 (UK)
A-1. When I Get To The Border
2. The Calvary Cross
3. Withered And Died
4. I Want To See The Bright Lights Tonight
5. Down Where The Drunkards Roll

B-1. We Sing Hallelujah
2. Has He Got A Friend For Me?
3. The Little Beggar Girl
4. The End Of The Rainbow
5. The Great Valerio

Produced by RICHARD THOMPSON and JOHN WOOD
CD : CARTHAGE CGCD 4407 (1983)

このアルバムに関しては後追いで、発売後随分経ってから手に入れた。この後に出た2枚にすっかり入れ込んでいたため、あまり思い入れもなく今回聴き直すま で何回も聴いた覚えはないのですが、リチャードの巧みなギターワークとヴォーカルの力強さ、リンダの確かな歌声等やはり質が高く当時としては群を抜くもの があります。上記のゲイ&テリー・ウッズ夫妻と比べてもトンプソン夫妻の方が上をいっているようです。ウッズ夫妻がアコースティック的なのに対して、トン プソン夫妻のこのアルバムはエレクトリックな響きが強いという違いがありますが、いずれにしろこのアルバムを皮切りに"Hokey Pokey"、"Pour Down Like Silver"と、74年から75年にかけて3枚もの強力な作品を残しているのもたいしたものです。
kettle


linda

Fashionably Late / Linda Thompson (2002)
ROUNDER (P-VINE) PCD-23468 (JP)
1. Dear Mary
2. Miss Murray
3. All I See
4. Nine Stone Rig
5. No Telling
6. Evona Darling
7. The Banks of the Clyde
8. Weary Life
9. Paint and Powder Beauty
10. Dear Old Man of Mine

11. Nursery Rhyme of Innocent and Experience

Produced by
EDWARD HABER


随分前に出たリンダさんのソロ・デビュー作はかなり残念な感じだったので、これも数年間スルーしていたのですが、聴いてビックリ、ヴァン・ダイク・パーク スなどアメリカ勢の他、フェアポートの面々はもちろんブリティッシュ・フォーク界の総力を結集したかのような充実作であります。ほとんどの曲が(息子さん との共作も含めて)自作曲、リチャードの曲作りの影響が感じられるものもありますが、どれも完成度が高く、声の病気だったことが信じられないほどの優れた ヴォーカル・アルバムです。リチャードは1.でヴォーカルとギターを担当、軽やかなコーラスが心和む1曲。ダニー・トンプソンが加わる4.はペンタングル のアコースティックなスタイル、9.はちょっと趣が変わっていて、マーティン・カーシーのギターに小編成のストリングスが絡むオールド・タイミーな逸品で すが、ロバート・カービー編曲のストリングスの音色がえも言われぬムード、ちなみにミックスはジョン・ウッドが担当です。2.や5.ではケイト・ラズビー のキュートなヴォーカルも聴けて、新しい世代の息吹も感じられます。
cup


darling

Daring Adventures / Richard Thompson (1986) 
POLYDOR 422 829 728-1 Y-1 (US)
A-1. Bone Through Her Nose
2. Valerie
3. Missie How You Let Me Down
4. Dead Man's Handle
5. Long Dead Love
6. Lover's Lane

B-1. Nearly in Love
2. Jennie
3. Baby Talk
4. Cash Down Never Never
5. How Will I Ever Be Simple Again
6. Al Bowlly's in Heaven

Produced by MITCHELL FROOM



90年代にかけてプロデューサーを務めることとなるミッチェル・フルームとのコンビによる第1作。ジェリー・シェフやジム・ケルトナーなどアメリカ勢を加 えての手堅いプロデュースの元、ヴァラエティに富んだ名曲名演が並んだ秀作となっています(あまり売れなかったみたいですが)。フェアポート以来のリス ナーにとっては、後の名曲"Waltzing's For Dreamers"を思わせるアコースティックなB-5.とか、マンドリンとフィドルによるリフレインがアイリッシュ・ムードを醸し出すA-3.に先ず反 応してしまいますが、RTお得意のロカビリー・ナンバーA-2.のクネクネ・ギターの途中にトラッドなダンス・チューンが挿入されている辺りも聴き逃せま せん。A-4.は12弦があしらわれたイントロのギターが印象的な哀愁のフォーク・ロック、歌詞の内容は分かりませんが曲だけ聴くとヒットしそうな感じも あるんですがねぇ。あとビックリなのがB面冒頭、コレが曲調、演奏ともムーンライダーズそのものでして、歌詞を日本語にして「マニア・マニエラ」あたりに 放り込んでも違和感がないくらいでした。戦前に活躍したらしい英国のシンガーの名前をタイトルにしたB-6.、ケルトナーのブラシが心地よく4ビートを奏 でながらアルバムは幕を閉じます。
cup

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