MORRIS ON


morris

Morris On (1972)
ISLAND HELP 5 (UK)
A-1. Morris Call
2. Greensleeves
3. The Nutting Girl
4. Old Woman Tossed Up In A Basket / Shepherds' Hey / Trunkles
5. Staines Morris
6. Lads A'Bunchum / Young Collins

B-1. Vandals Of Hammerwich
2. Willow Tree / Bean Setting / Shooting
3. I'll Go And 'List For A Sailor
4. Princess Royal
5. Cuckoo's Nest
6. Morris Off

Produced by JOHN WOOD


ハッチングス、マタックス、トンプソンのフェアポート組にフィドルのバリー・ドランスフィールド、アコーディオンのジョン・カークパトリックの5人の連名 で、ダンス・チューンの現代化に本格的に取り組んだ記念碑的アルバム、メンバーのコスプレ・ジャケも楽しいが、とりわけハッチングスのイメージを決定づけ たフライングVを掲げた勇姿は今でも爆笑です。メジャーのダンス曲が多く、全編大活躍するアコーディオンの音色の明るさもあり、くっきりとして明解なサウ ン ドが何よりも印象的なのですが、リズム隊が前面に出てくる曲ではロック的グルーヴが強く感じられ、この点リンディスファーンののどかな雰囲気とは一線を画 すると もいえそうです。ヴォーカル中心の曲が3曲、ゲスト参加のシャーリー・コリンズの歌声が冴え渡るA-5.のアレンジはフェアポートのライブ録音をブラシ・ アップした も のでしょうか。B-5.は他の曲では控えめなリチャード・トンプソンのギター中心のアレンジで、スティーライ譲りのヘヴィーなロックに仕上げられていま す。実用的なダンス・ミュージックとして作られたのかどうかは分かりかねますが、A-6.にはスティック・ダンスを演ずるダンサーらしきクレジットもあ り、パーカッ シブな鳴りものも入り、なかなかに楽し気です。
cup


son

  SON OF MORRIS ON (1976)
HARVEST (EMI) 72438 29861 2 6 (1994 UK)
1. Winster Processional 2. Monck's March
3. Old Hog or None 4. As I was Going To Banbury
5. The Happy Man Fieldtown Processonal/Glorshers
6. Bob and Joan 7. Bob $ John 8. Ladies of Pleasure
9. Bring Your Fiddle  10. Jockey to the Fair/ Room for the Cuckolds
11. Saturday Night 12. Roasted Woman/ Rigs Of Marlow/Getting Upstairs
13. Ye Wild Morris/The Wild Morris 14. The Postman's Knock
15. Ring O' Bells 16. The Gallant Hussar
17. Bonnets So Blue 18. Old Hog or None (reprise)

19. Y'Acre of Land  20. Cotswold Tune


Produced by ASHLEY HUTCHINGS


ニルソンのアルバム・タイトルに引っ掛けた「モリス・オン」の続編、今回はマーティン・カーシー、サイモン・ニコルら大人数の連名のクレジットになってお ります。ワルツ曲16.などではシャーリー・コリンズの心和む歌声が聴けるものの、よりダンス・ミュージックに特化した選曲になっているようです。とは いっても、ジャケットに'THIS RECORD TO BE PLAYED LOUD'とストーンズみたいなメッセージがある通り、"The Compleat Dancing Master"のシリーズよりはロック・テイストが強いような感じで、フィドルとベースが全体をグイグイ引っ張る10.とかデイブ・マタックスが頑張る 14.、あるいは15.でのサイモンのエレクトリック・ギターのフランジャーのかかった音色など、ハッチングスの生み出した独創的なサウンドが聴き取れま す。Curtals、Taborといった読み方も分からない古楽器(管楽器?)のクレジットも見受けられますが、マーティンのアコースティック・ギターを 生かした8.や、彼の明るいヴォーカルも聴ける14.あたりのちょっとファンキーな印象がこのアルバムならでは、かもしれません。
cup


kicking

Kickin' Up the Sawdust/ Ashley Hutchings Production (1977) 
HARVEST (EMI) SHSP4073 (UK)
1. La Russe
2. Buttered Peas
3. Hullichan Jig
4. Waves Of Joy
5. Heel-And-Toe Polka (The Belfast Polka)
6. Tavern In The Town
7. Double Quadrille
8. Jumping Joan
9. Dorest Four-Hand Reel
10. Hornpipes
11. Speed The Plough
12. Cumberland Square Eight







ハッチングスのダンス三部作の3作目がこのアルバム、前2作とは違って語りの入らない音楽だけのレコードで、使用楽器も前作とは違ってエレクトリック・ ベース、ドラムス、エレキ・ギターなどで、メロディは全てアコーディオンが担当している。曲調もポルカやホーン・パイプ、リールといったメジャーなものが 採り上げられ、前作のシンプルさに対し元に戻って分かりやすい内容となっている。マイケル・ジャクソンのダンスは凄いけれど、最近のダンスはなかなか普通 の人が踊れるようなものではなく、ハッチングスが追い求めたような昔のフォーク・ダンスの方が私としては親しみやすいような気がする。アルバム・ジャケッ トの裏には各曲のダンス・フォームが詳しく載っていて、ここで回って、とか、男性が相手の手を取り、とか、音楽ではなく踊りの方に彼の興味が注がれている ようでもあり、まるでダンス教室の先生になったみたいだ。
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village

Hark the Village Wait / Steeleye Span (1971)
  SHANACHIE 79052 (1991 US)
1. A Calling-On Song
2. The Blacksmith
3. Fisherman's Wife
4. Blackleg Miner
5. Dark-Eyed Sailor
6. Copshawholme Fair
7. All Things Are Quite Silent
8. The Hills Of Greenmore
9. My Johnny Was A Shoemaker
10. Lowlands Of Holland
11. Twa Corbies
12. One Night As I Lay On My Bed

Produced by Sandy Robertson, Steeleye Span
and September Production Ltd.


ジェリー・コンウェイとデイブ・マタックスのドラムスをサポート・メンバーに録音されたスティーライのデビュー盤。全編を伝承曲で固めハッチングスのト ラッド指向の起点となった作品ながら、明らかに聴きやすく仕上がっていて、柔らかくくすんだ表情が垣間見えるのも、次回作以降のドラムレス・サウンドがい かに強烈であったかの反証になるのかもしれません。ウッズ夫妻が参加した唯一のアルバムでもあり、イアン・マッコール絡みの3.や、テリー・ウッズの豪快 な歌声が聴ける8.など、アイルランド、スコットランド由来の曲も選ばれています。清楚で華やかなマディ・プライアとは好対照の素朴なヴォーカルを聴かせ るゲイ・ウッズの存在も見逃せないところで、コンサーティナのひなびた音色も印象深い5.の歌声や、二人で歌う童歌風9.などはひときわ印象に残ります。 テリー・ウッズはバンジョーやマンドーラも操り活躍、演奏に変化をもたらしています。
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tenman

Ten Man Mop Or Mr. Reservoir Butler Rides Again / Steeleye Span (1971)
  Chrysalis CHR 1088 (1976 US)
A-1. Gower Wassail
2. Jigs: Paddy Clancey's Jig/Willie Clancy's Fancy
3. Four Nights Drunk
4. When I Was On Horseback

B-1. Marrowbones
2. Captain Coulston
3. Reels: Dowd's Favourite/10 Float/The Morning Dew
4. Wee Weaver
5. Skewball

Produced by Sandy Robertson
EUCD : SANCTUARY CMDDD781 "The Lark In The Morning" (2003)

"Please to See the King"によって唯一無二の幽玄世界を創出したスティーライの黄金期メンバーが間を置かずに発表したサード・アルバム。伝承曲を採り上げている点は不変 ですが、前作での実験的ともいえるようなス リリングな展開とは少々趣を異にしているよう。'Lovely On The Water'にも匹敵するマディ・プライアの名唱が聴けるA-4.は、間奏のミュートされたマンドリンの音色に象徴されるように情感を抑えた流れるような 演奏に仕上げられていますし、やはりマディのヴォーカルによるB-2.はロック感覚で聴きやすい感じです。一方で高低2本のギターの間合い(テレキャスと マスタング?)が絶妙なコントラストを奏でるA-1.や、ファズ・ギターの重たいリズムPPMスタイルの曲調に割り込むB-5.などはスティーライならで はのサウンドです。マーティン・カーシーのフィドルを口真似しているみたいな低音を引き延ばすような独特の唱法は何時聴いても刺激的ですが、フィドルとの 共演曲B-4.でのマディの歌声もマーティンとそっくりな節回しで思わずニンマリしてしまいました。
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