HOBO JUNGLE


kate

Kate & Anna Mcgarrigle (1975)
Carthage CGLP 4401 (CANADA)
A-1. Kiss and Say Goodbye
2. My Town
3. Blues in D
4. Heart Like a Wheel
5. Foolish You
6. (Talk to Me Of) Mendocino

B-1. Complainte Pour Ste-Catherine
2. Tell My Sister
3. Swimming Song
4. Jigsaw Puzzle of Life
5. Go Leave
6. Travellin' on for Jesus

produced by JOE BOYD and GREG PRESTOPINO

 


リンダ・ロンシュタットが歌い、彼女のアルバムのタイトルにもなっているA-4.、とてもエレガントなメロディを持つ名曲ですが、このファースト・アルバ ムではバンジョーとオルガン主体のくすんだ色調の土臭い演奏。この曲に限らずマイナー・コードの挟み方など独特のメロディ・ラインが特徴的、マウンテン・ ミュージックやR&B、ブルースなどの米国音楽のフォーマットを踏襲したかのような演奏が多いのですが、それらの再現にとどまらず、ヨーロッパか らの移民によってもたらされた生活感のようなものが自然と滲み出てくるような演奏です。ジョー・ボイド/ジョン・ウッ ドといった英国寄りの製作陣とスティーヴ・ガッド、ラス・カンケル、ニック・デカロ・ローウェル・ジョージ等バリバリの米国勢との微妙な捻れ感覚も作用し ているのかもしれません。リズムものも面白く、ニューオリンズ・スタイルのビートにフニャッとしたメロディがのっかる冒頭曲は、ボビー・キーズのサッ クスも迫力です。フランス語で歌われるB-1.はレゲェ感覚のリズム、メロディは覚え易いですが、フィドルやホーンが複雑に絡み合うアレンジが秀逸で、や は り一筋縄ではいか ない。
cup


bruce

  BRUCE COCKBURN (1970)
True North TN-1 (US)
A-1. Going To The Country
2. Thoughts On A Rainy Afternoon
3. Together Alone
4. The Bicycle Trip
5. The Thirteenth Mountain

B-1. Musical Friends
2. Change Your Mind
3. Man Of A Thousand Faces
4. Spring Song
5. Keep It Open

Produced by Eugene Martynec

1969年12月、カナダのトロントでの録音、とクレジットにあるこのレコード、コバーンのデビュー・アルバムである。自身のピアノ伴奏によるB面の1曲 目以外はギター1本の弾き語りで、素朴でナチュラル、シンプルな音はカナダという大地に育まれた純粋な精神から生まれたものであろうか。彼の歌声は一見頼 りなさそうで、スタジオの空気にゆらゆらと漂い静かに消えてゆく水蒸気のようだ。そして彼のギターは硬質な印象、一音一音がはっきりと聴こえてきて歌声を きっちりとフォローしている。高級なカナディアン・クラブ(カナダ産のウィスキー)を暖房の効いた部屋でオン・ザ・ロックで飲みながら聴いたらいいかもし れない。ちなみに彼の初期のアルバムの中では、雪景色がモノクロで捉えられたジャケットが印象的な"High Winds White Sky"がダントツ、彼の代表作だろう。
kettle


northern

Northern Lights - Southern Cross / The Band (1975)
CAPITOL ST-11440 (US)
A-1. Forbidden Fruit
2. Hobo Jungle
3. Ophelia
4. Acadian Driftwood

B-1. Ring Your Bell
2. It Makes No Difference
3. Jupiter Hollow
4. Rags & Bones

Produced by The Band

異邦人としての視点を保ちつつ米国音楽の深層に迫りつつあったザ・バンド、リヴォンを除くメンバーの故郷にまつわる、時間的にも地理的にも壮大な物語歌が A-4.「アケイディアの流木」。アケイディア地方とは米国との国境沿い、カナダ東部の大西洋岸地域の古称ですが、元々はフランスからの移民によって開拓 された土地だそうです。3人の重厚な歌声が交差するこの歌では、土地を追われたフランス系移民の離散、流浪の旅を経て辿り着くルイジアナでの苦難が描かれ ますが、ガースの奏でるピッコロやアコーディオンの音色等、演奏的にも凛とした冬の厳しさをイメージさせます。カナダとケイジャンを象徴するようなアルバ ム・タイトルにも表れている通り、アルバム中最重要曲でありますが、リチャードの押さえ気味のヴォーカルが流浪の民の悲哀をより強く喚起するA-2.(こ ちらはジャケット写真のイメージ)も、プロローグとして絶好の位置取りにあるといえるでしょう。シンセの導入によってサウンドの見通しが良くなり、幾分都 会的になったともいえますが、B-1.などで聴けるリズムはいっそう強靭さを増した印象(おっと、この曲も3人ヴォーカル)、第3の男、リック・ダンコが 切々と訴えるB-2.も素晴らしい。
cup


ian

IAN TAMBLYN (1978)
  Cream CR-1007 (US)
A-1. Mountian Song
2. Sara Monday
3. Love Will A Way
4. Wedding In White
5. Ending Myself At Your Door


B--1. Spadina Strut
2. One of These Days
3. The Party's All on Me
4. Take Me Home
5. Blues on into the Night

PRODUCED BY TED GEROW



凍えるような雪の降る真冬の病院から帰ってきて、前の日全く眠れなかった体がストーブをつけても暖かくならず、このレコードを繰り返し聴き続けていた、そ んな個人的な思い入れがあるアルバム。ここではピアノを弾いている曲が多いのでてっきりピアノ・マンだと思っていたら、後にベスト盤を聴いたところギター を弾くギター・マンだったということが分かり驚いたものだ。長い間、彼はカナダの自然保護活動家として、それをテーマに音楽を作り、それと平行して普通の CDも出している。このレコードはとりたててスゴいところはなく、普通のシンガー・ソングライターが作ったありふれたアルバムという感じで、彼の代表作と いうわけではないと思うが、最初に書いたように私の中では特別な思いがあり忘れることの出来ないものだ。A面はSunday Morning、B面はSaturday Niteとサブ・タイトルが付いているが、B面最後は胸にジーンとくる曲になっている。
kettle


bbc

Live at the BBC / Fairport Convention (2007)
  ISLAND 9845385 (EU)
DISC 1
1. Close the Door Lightly When You Go
2. I Don't Know Where I Stand
3. Some Sweet Day 4. You Never Wanted Me
5. Nottamun Town 6. Marcie
7. Night in the City 8. Jack O'Diamonds
9. Gone Gone Gone 10. Suzanne
11. If It Feels Good, You Know It Can't Be Wrong
12. Eastern Rain 13. Fotheringay
14. I Still Miss Someone 15. Bird on the Wire
16. Tried So Hard 17. Reno Nevada
18. Book Song
19. Who Knows Where the Time Goes?


フェアポートのプロデューサー、ジョー・ボイドは早くからジョニ・ミッチェルの才能に注目していたそうで、英国での彼女のライブを積極的に開催していたよ うです。そうした繋がりからかフェアポートの初期アルバムにもジョニ・ミッチェルの作品が収録されていますが、こちらのライブでも2.、6.、7.、 12.の4曲、さらにDISC 4にも「チェルシーの朝」が収録されています。先の4曲はいずれも'68年の録音、サンディ・デニーとイアン・マシューズの2トップを中心に、フォーク・ ロック調の2.、 サン ディの重厚なヴォーカルが上品なジェファーソン・エアプレインといった感じの3.、イアンのリードでラヴィン・スプーンフルを思わせるリズミカルな7.、 プチ・サイケな12.(この曲はスタジオ録音もあり)と極めて完成度の高い録音となっています。さらにここには、やはりカナダ出身であるレナー ド・コーエンの作品 が10.、15.とカヴァーされています。60年代英国の海賊ラジオを舞台とした映画「パイレーツ・ロック」にもコーエンの歌が使われていました が、当時の英国においてもカナダのソングライター達の注目度が高まっていたことが伺えます。
cup

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