What Do Pretty Girls Do ?



Part Iでは英国フォークのシンガーを採り上げたので、こちらではそれ以外の音楽家をランダムに挙げてみました。



kirsty

desperate character / Kirsty MacColl (1981)
Polydor  POLS 1035 (UK)

A-1. Clock Gose Round
2. See That Girl
3. There's A Guy Works Down The Chip Shop Swears He's Elvis
4. Teenager In Love
5. Mexican Sofa
6. Until The NIght

B-1. Falling For Faces
2. Just One Look
3. The Real Ripper
4. Hard To Believe
5. He Thinks I Still Care
6. There's A Guy Works Down The Chip Shop Swears He's Elvis (country version)

Produced by BAZZA for LOOSE END PRODUCTIONS


Part 1で紹介されているAnne Briggs、彼女を見出したのがEwan MacCollというフォークシンガーなんですが、Kirstyはその娘さん。アイルランド系赤毛の美人。

というようなことは後で知ったことで、'83年頃、英国のコメディエンヌ、Tracy Ullmanの大ヒット曲'They don't know'(夢見るトレーシー)を聴いて、こんなメロディ作る人って、いったい誰?、ということで、気になる名前だったところ、ある日中古盤で偶然見つけ 入 手したのがこれ。

Stiffレーベルから先の'They don't know'でデビューした後、ポリドールに移籍してリリースした1stアルバムです。ここではシンプルなパワーポップ中心に展開されていますが、後の多彩 な 展 開を予感させるラテンタッチの曲も織りまぜるなど、遅れてきたパブロックの趣もあります。そういえば、Nick LoweのStiffシングルと音の感じがよく似ているな、と思ったらこのレコード(クレジットにはないのですが)Nick Lowe本人のプロデュースなのだそうです。マージービートの香りがほんのり漂うメロ ディセンスはいつもながら秀逸です。当時まだ20才そこそこのお嬢さんなので、ヴォーカルが粗削りなのは否めませんが、楽しいアルバムです。それにしても お酒が強そう・・・・

この後'87年、アイリッシュ・トラッド・パンクPoguesとの'Fairytale Of New York'で名唱を披露(そういえばトラッド声だ)。Virginから多彩なアルバムを発表するも、2000年12月 メキシコにてモーター・ボートに轢 かれて惜しくも他界。享年 41,無念。



karala

RESTLESS NIGHTS / Karla Bonoff (1979)
Columbia JC 35799 (US)

A-1.Trouble Again
2.Restless Nights
3.Letter
4.When You Walk in the Room
5.Only a Fool

B-1.Baby Don't Go
2.Never Stop Her Heart
3.Loving You
4.The Water Is Wide

Produced by Kenny Edwards

ジャケットデザインはKOSHなるデザインチームが手がけているが、何やら物語性を感じさせる一連の作品の一枚。
カーラ・ボノフ自身ももちろん優秀なソングライターであり、L. Ronstdatにも多くの楽曲を提供していますが、自作以外の2曲も注目。Jackie De Shannonの ペンになる'When You Walk in the Room'、The Searchersのヒットで知られている名曲ですが、ここでは作者本人がバックアップ・ヴォーカルで参加していて、とても楽しい出来となっています。ボス もライブでやってたりするスタンダードですが、この曲はやっぱり女性ヴォーカルで聴きたいものです。
もう1曲、アイリッシュ・トラッドの'The Water is Wide'は、 The Weaversのメンバーから直接教えてもらったという。Garth Hudsonのアコーディオン、James Taylorのヴォーカルとギターのバックアップを得て、えもいわれぬ美しい仕上がりになってます。(この曲、PART Iで紹介されたJune Taborの録音で、正調?を聴くことができる。)
全体に'70年代後半のLA産レコードの典型のような音づくりではありますが、このアルバムには独特のシットリ感が漂って いてやはり特別でしょう。

ちなみにベスト盤CD、ALL MY LIFE (SONY SICP 8021)には、2曲共収録されています。



linda

Not A Little Girl Anymore / Linda Lewis (1975)
 ARISTA AL 4047 (US)
)
A-1. (Remember The Days Of) The Old Schoolyard
2. Its In His Kiss
3. This Time Ill Be Sweeter
4. Rock and Roller Coaster
5. Not A Little Girl Anymore

B-1. Love Where Are You Now
2. My Grandaddy Could Reggae
3. I Do My Best To Impress
4. May You Never
5. Love, Love, Love

Produced by Jim Cregan, Tony Silvester and Bert deCoteaux



リプリーズ時代の諸作でのブッとび具合の評判が高いジャマイカ出身の英国人天才シンガー/ソングライター。アリスタでのこのアルバムは、レコード会社の意 向が反映されたのか自身の作品は少なめで、サウンドもソウルっぽい味付けがなされている分、天衣無縫な感じは若干後退しています。とはいえ、自作のA-4 やB-2では(アルバムタイトルに反して)カワイさ全開、B-3あたりでは新しい魅力も聴かせてくれます。自作以外ではJohn MartynのB-4がハマってます。A-3もフツーに好き。ニューヨークとロンドン(アップルスタジオ)での録音。
この人、とにかく音域が広く、いろんな声が出るので、プロデューサーが色んなことをやらせてしまい、この後数作は意図不明なものもあるのですが、コレは捨 てがたいです。
アルバムラストの曲は、ザ・タイガースの同名曲にインスパイヤーされたのかしら?(なわけないか)




ellie

Let It Be Written, Let It Be Sung / Ellie Greenwitch (1973)
Verve V6 5091 (US)
A-1.Maybe I Know
2.Wait 'Til My Bobby Gets Home
3.(Today I Met) The Boy I'mGonna Marry
4.And Then He Kissed Me
5.If You Loved Me Once
6.Be My Baby

B-1.What Good Is I Love You?
2.Chapel of Love
3.I Can Hear Music
4.Goodnight Baby-Baby I Love You
5.Gettin' Together
6.River Deep-Mountain High

Produced by Ellie Greenwitch in association with Steve Tudanger and Steve Feldman

CD : POLYDOR POCP-2555 (JP 1997)
COMPILATION CD : RAVEN RVCD-84 ( AUSTRALIA 1999)

スペクターサウンド黄金期を彩った豪華絢爛な超名曲を中心に作者自らカバーしたアルバムで すが、むしろ印象は控えめで、都会的な趣味の良さが光る素晴らしい作 品となっています。ニューヨークのセッションメンによる鉄壁の演奏もさることながら、リズムアレンジ及びコーラスワークの見事さには、もう感心するしかあ りま せん。中でもラテンタッチの'And Then He Kissed Me'やワル ツで聴かせる'Be My Baby'あたりは秀逸。当時あまり売れなかったというのが嘘みたいです。

エリーさんはたいへん魅力的な声の持ち主なのですが、フロントに立ったレコードはあまり多くないようで、どっちかというとバックアップヴォーカル等、裏方 での仕事が多いようです。シンディ・ローパーの「ハイスクールはダンステリア」のコーラスはエリーさんだそうです。



rita

The Lady's Not For Sale / Rita Coolidge (1972)
A&M SP-4370 (US)

A-1.My Crew
2.Fever
3.Bird On The Wire
4.I'll Be Your Baby Tonight
5.A Woman Left Lonely

B-1.
Whiskey Whiskey
2.Everybody Loves A Winner
3.Donut Man
4.Inside Of Me
5.The Lady's Not For Sale

Produced David Anderle, A Willow Production


今まで紹介された人は、ソングライター的資質を持っていますが、Rita Coolidgeは純粋なシンガー。70年代当時は、何か歌を作らないと一段低く見られがちな風潮もありましたが、今思えばとても偏狭な聴き方をしていた ものだ、と反省することしきり。

豪華ゲスト陣多数の1st、少しラフめがカッコいい2ndと、この時代のアルバムはどれも甲乙つけがたい出来ですが、ここでは芳醇なバーボンのようなサウ ンドが魅力の3枚目をセレクト。
当時流行のスワンプ・ロック(通称LAスワンプ)の範疇に入りますが、ゴスペル風味は押さえ気 味で、全編スローな曲調で 固められ、統一感があります。

演奏陣ではMike Utleyのオルガンが全編通して素晴らしい。Bernie Leadonのギターも控えめながら手堅い。Dan Penn, Dylan, Marc Benno, Lenard Cohenらの楽曲を見事に消化して、大切に歌っています。

彼女は歌を作ることは少ないようですが、クラプトンの'Layla'、(クレジットされていませんが)後半部分の作曲には彼女が関わっているよう です。「いつかE.C.に電話して文句言ってやろうかしら。でも、しないでしょうねぇ。」みたいな本人の弁。太っ腹です。
Text by cypress002

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