3614 JACKSON HIGHWAY


3614
マッ スルショールズ・サウンド・スタジオは、1969年4月に元棺桶倉庫だったビルを改造して設立されました。このスタジオの中心となったのは、Roger Hawkins(ドラムス)、Jimmy Johnson(ギター), David Hood(ベース), Barry Beckett(キーボード)ら地元アラバマのミュージシャン達です。


2005年2月に惜しくも閉鎖されてしまったそうですが、数多くのミュージシャンがここを訪れ、Eddie Hinton、Duane Allman、Wayne Perkins、Pete Carrといったセッションメンを加えた布陣でレコーディングが行われました。
ここでは'70年代の録音を中心にいくつかを御紹介。
Jimmy Johnsonmusic.com


atkins

PATCHOULI / BEN ATKINS (1971)
ENTERPRISE ENS-1021 (US)
A-1. I LOVE THIS SONG
2. CROSS MY MIND
3. SHINE ON
4. HOLDING ON TO FRIENDS
5. SMOKESTACK LIGHTNIN' / BRIGHTER SIDE OF IT ALL

B-1. SOLID GROUND
2. THAT BRINGS ME DOWN
3. A LONG WAY TO GO
4. WOULD I BE BETTER GONE?
5. GOOD TIME ARE COMING

PRODUCED BY BOBBY MANUEL


アラバマに生まれ長いキャリアを誇るシンガーのアルバム。 伊集院光を思わせる?風貌からはちょっと想像できない抑制の効いた粘り腰の素晴らしいソウル・シンギングが楽しめます。マッスルショールズの基本ともいう べきゴスペル/サザン・ソウルタッチの骨太のリズム物が主体ですが、アコースティック・ギターの音色を生かした温かいサウンドも盛り込まれているのが、こ のアルバムの印象をより強いものにしているようです。ラストでの盛り上がりは圧巻。
Dan Penn, Jimmy JohnsonらによるA-1.だけは少しカントリーがかっています。Duck Dunn, Al jacksonも参加。
BIG BEN ATKINS
cup


fritts

PRONE TO LEAN / DONNIE FRITTS
(1974)
ATLANTIC SD 18117 (US)
A-1. THREE HUNDRED POUNDS OF HONGRY
2. WINNER TAKE ALL
3. WHEN WE'RE  ON THE ROAD
4. WHATCHA GONNA DO
5. YOU'RE GONNA LOVE YOURSELF (IN THE MORNING)
6. I'VE GOT TO FEEL IT

B-1. SUMPIN' FUNKY GOING ON
2. JESSE CAULEY SINGS THE BLUES
3. MY FRIEND
4. PRONE TO LEAN
5. WE HAD IT ALL
6. RAINBOW ROAD

PRODUCED BY KRIS KRISTOFFERSON & JERRY WEXLER

CD : ATLANTIC AMCY-2605 (1998 JP)

主役によって様々な表情を見せるマッスルショールズの音作りではありますが、通底しているのは音の隙間を生かしたアンサンブルの妙、タイトなリズム、あと楽器の豊かな音色(特にキーボード)と言えるでしょうか。
で、これは、かつてフリップサイド・フリッツ(シングルB面専門だった)とも呼ばれたマッスルショールズ黎明期のソングライター、ドニー・フリッツの名作ファーストアルバムです。
cup

20年ぶり位にこのアルバムを聴いた。昔このレコードのB面をよく聴いていたけど、やっぱりB面は素晴らしい。そして場所は違うが、Bobby Charlesのウッドストック録音に何となく似ているな、という感想を抱いた。それはバックがどうとかプロデュースがどうとかいうのではなく、「歌心」 という点で両者相通ずるものがあるということ。ラストの曲は、Steve Goodmanのカバーで知ったもので、本当に良い曲だ。
kettle


goldberg

BARRY GOLDBERG (1974)
ATCO SD 7040 (US)
A-1. STORMY WEATHER COWBOY
2. SHADY HOTEL
3. IT'S NOT THE SPOTLIGHT
4. SILVER MOON
5. MINSTREL SHOW

B-1. (I'VE GOT TO USE MY) IMAGINATION
2. ORANGE COUNTY BUS
3. SHE WAS SUCH A LADY
4. BIG CITY WOMAN
5. DUSTY COUNTRY

PRODUCED BY BOB DYLAN & JERRY WEXLER


1965年のニューポート事件の際にはディランのバックバンドの一員でもあった人物ですが、飄々としていて人なつっこいヴォーカルとメロディが印象的な名作を、マッスルショールズでものにしています。バックの演奏は多彩、華やかで、Harrison Calloway 、Harvey Thompsonらによるホーンセクションも大活躍。'It's not the Spotlight'は翌年ロッド・ステュワートで有名になりましたし、共作者であるGerry Goffinの歌でも知られています。ベストトラックは迷うところですが、テックスメックス風レゲエ調(無国籍風)のB-4.か、Rodgerのハイハッ トさばきが目立っているB-1.(グラディス・ナイトでお馴染み)あたり。B-3.のおセンチなメロディも捨て難い。
プロデューサーのディランも楽しげにバックコーラスやっています。
cup


meltim

Starting All Over Again / MEL & TIM (1972)
STAX STS-3007 (US)
A-1. Don't Mess With My Money, My Honey or My Woman
2.Starting All over Again
3.I May Not Be What You Want
4.Carry Me
5.Free for All

B-1. Heaven Knows
2. Wrap It Up
3. What's Your Name?
4. I'm Your Puppet
5. Too Much Wheelin' and Dealin'

PRODUCED BY BARRY BECKETT, ROGER HAWKINS


MG's消滅以来、STAXレコードの録音の多くはマッスルショールズに外注されていたようですが、こちらもそんな一枚でしょうか。Sam& Dave(B-2.でカバーしてます)のダイナマイトな感じ、というよりも丁寧な歌いぶりが好印象のソウルデュオです。どの曲もまとまりが良く、ホーンや ストリングスも交えた華やかで明るい仕上がりです。女性コーラスとの掛け合いも楽しい。
静かに始まり徐々に盛り上がるA-2.や、Duck Dunnのベースラインが心地よいA-4.は圧巻ですが、Dan PennとSpooner Oldhamの作品B-4.では、マッスルショールズ・リズム・セクションの真骨頂が堪能できます。ドリーミーなB-3.もグー。
cup


ronee

welcome / ronee blakley (1975)
Warner Bros. BS 2890 (US)
A-1. American Beauty
2. I Was Born to Love You (Naci Para Amarte)
3. Please
4. Young Man
5. Idaho Home
6. She Lays It onthe Line

B-1. Nobody's Bride
2. If I Saw You in the Morning
3. Tapedeck
4. Need a New Sun Rising
5. Locked Behind My True Love's Door
6. Welcome

PRODUCED BY JERRY WEXLER

Dylanのローリング・サンダー・レビューにも参加していた女性シンガー/ソングライターの2nd。美人なので女優さんでもあります(出演作のアルトマン監督作品 「ナッシュビル」は見直せなかったので、ホラーの「エルム街の悪夢」を観てみたら、お〜出てる出てる、主人公のお母さん役でした)。マッスルショールズとしては珍しくカントリーを演ってます。いつも通りタイ トなバッキングには、ソウルマンEddie Hintonも参加しています。歌声はリンダ・ロンシュタットとマリア・マルダーの中間のような雰囲気で、全曲自身の手になる楽曲がカントリーのイディオムを利用しつつも個性的な感覚で素晴らしく、ほんのりメキシカンな香りも 好印象です。
cup


boz

BOZ SCAGGS (1969)
ATLANTIC P-4712A (1976 JP)

A-1. I'm Easy
2. I'll Be Long Gone
3. Another Day (Another Letter)
4. Now You're Gone
5. Finding Her
6. Look What I Got

B-1. Waiting For A Train
2. Loan Me A Dime
3. Sweet Release
 
PRODUCED BY BOZ SCAGGS, JANN WENNER & MARLIN GREEN
mytime

My Time / Boz Scaggs (1972)
COLUMBIA KC 31384 (US)

A-1. Dinah Flo
2.Slowly in the West
3.Full-Lock Power Slide
4.Old Time Lovin'
5.Might Have to Cry

B-1. Hello My Lover
2. Freedom for the Stallion
3. He's a Fool for You
4. We're Gonna Roll
5. My Time

PRODUCED BY ROY HALEE and BOZ SCAGGS

男も惚れるボズの艶やかな歌声とマッスルショールズとの相性はバッチリでした。'69年のファーストはマッスルショールズを代表するものとなりまし たが、豊穣なサウンドに包まれての真摯な歌声はThe Bandの諸作にも匹敵する美しさを持っています。Fenton Robinson作品'Loan me a dime'でのDuane Allmanだけでなく、A-3.などでのJimmy Johnsonのギタープレーも聴き逃せないところです。ブルーヨーデルも気持ち良いJimmie RodgersのB-1.も泣かせます。
"My Time"では、冒頭の'Dinaf Flo'を初めとして、この音数の少なさにしてこの奥行きは何?、という感じです。以後の作品ではこの感じを再現するために相当手間をかけていることを思 うとやはり圧倒的です。さらに二人のキーボードの適度に甘い音色が歌声を盛り上げています。4曲のシスコ録音も含みますが、いずれも良い曲多し。
cup


nix

In God We Trust / Don Nix (1970)
SHELTER BT-5357 (1979 JP)

A-1. In God We Trust
2. Golden Mansions
3. I'll Fly Away
4. He Never Lived a Day Without Jesus
5. Nero My God to Thee

B-1. Amos Park
2. Long Way to Nowhere
3. Iuka
4. Will the Circle Be Unbroken
5. I've Tried (Trucker's Lament)
 

PRODUCED AND ARRANGED BY DON NIX
nix2

LIVING BY THE DAYS / DON NIX (1971)
ELEKTRA AMCY-2609 (1998 JP)

A-1. The Shape I'm in
2. Olena
3. I Saw The Light
4. She Don't Want a Lover (She Just Need a Friend)
5. Living by the Days
6. Going Back to Iuka
7. Three Angels
8. Mary Louise
9. My Train's Done Come and Gone

PRODUCED AND ARRANGED BY DON NIX



メンフィス生まれでSTAXレコードとも関係の深いDon Nixですが、ソロキャリアの出発はマッスルショールズでした。この1stと2ndではゴスペル・ロックともいうべき、いかにも南部的な音楽を志向しています。が、ポップスフィールドでの経験からか時折スウィートなメロディが立ち現れるのもこの人の特徴。
いつもよりルーズで重たいリズムとBarry Becketのキーボードとの絡みが素晴らしい1st、メロディラインが印象的な2ndと、いずれも甲乙付け難い名作です。バックアップ・メンバーには、 Marline Greene(エンジニア兼任)、Jeanie Greene(大活躍)らの他、2ndには高校の同級生Duck Dunnや夫人となるClaudia Lennearなども参加しています。
cup


jgreen

MARY CALLED JEANIE GREENE / JEANIE GREENE (1971)
ELEKTRA EKS-74103 (US)
A-1. YES I DO UNDERSTTAND
2. YOU KNOW WHO YOU ARE
3. PUT YOUR GOOD ON THE LINE
4. THANK GOD HE CAME
5. LIKE A ROAD LEADING HOME
6. SWAZILAND REMEMBERED

B-1. JOA-BIM
2. MIGHTY TIME
3. MAGDALENE'S MEDLEY
4. PRE-RECOGNITION
5. ONLY THE CHILDREN KNOW
6. PETER PUT AWAY YOUR SWORD
7. GOING HOME

PRODUCED BY DON NIX

ジャケットの真ん中に窓が開いていて、中を引っこ抜くとイエス様(だか何だか)が現れたりするし、裏ジャケは空に向かって両手を広げているジーニーさん だったりするので、ヴィジュアル的にはちょっと引いてしまうところもあるのですが内容は良好。ゴスペル色濃厚ですが緩急のあるヴォーカルは意外としっとり していたり。ピアノを中心としたアレンジも良く練られています(ロジャーのタンバリンがカッコ良い)。A-4.はDon NixとDan Penn、A-3.はDonnie FrittsとArthur Alexander、それぞれの書き下ろし。アフリカっぽい演奏も入ってたりします。
B-6.の一節にある「剣によって生きようとする者は剣によって滅ぶ」には全く同感です。
cup

FAME, QUINVY
02 TOP
HOME