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もし仮に古今東西好感度ロック・バンド・ランキングなんてものがあったとしたら、かなり上位にランクされそうな愛すべき英国バンド「ブリンズリー・シュ ウォーツ」('70年代当時の表記は「ブリンズレー・シュワルツ」)、我々が"Silver Pistol"でその存在を知った時にはもう解散していましたが、解散後の各メンバーの活躍もありパブ・ロックを代表するグループとして知られています。
1969年にBrinsley Schwarz, Nick Lowe, Bob Andrews, Bill Rankinの4人で結成されたブリンズリーは、途中Ian Gommを加えた5人組となり、'75年3月まで活動していました。デビュー当時のトラブル等で経済的には大変だったようですが、そんな苦労をおくびにも 出さず、ソウル、カントリーからニューオリンズ、レゲェ、そしてもちろんビートルズ、マージービートまで幅広い音楽性を凝縮して、実に軽快にオシャレな演 奏を展開してくれました。
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silver

Silver Pistol / Brinsley Schwarz (1971)
UNITED ARTISTS UAS-5566 (US)
A-1. Dry Land
2. Merry Go Round
3. One More Day
4. Nightingale
5. Silver Pistol
6. The Last Time I Was Fooled

B-1. Unknown Number
2. Range War
3. Egypt
4. Niki Hokey
5. Ju Ju Man
6. Rockin' Chair

PRODUCED BY 'BRINSLEY SCHWARZ' and DAVE ROBINSON

この手の音楽には全く興味のない友達にこれを聴かせたら「これ、アメリカのバンドでしょ?」と1曲目の'Dry Land'を聴くやいなや言ったのが、もう20年以上も前のことになる。ジャケット裏のクレジットを見ると'71年8月の録音となっているが、僕の持ってい るこのアルバムはLiberty LN-10145*というやつで"Abridged Version"(短縮版)、(C), (P)が'72年と記されている。しかし僕はリアルタイムで聴いたわけではなく、リリースから大分時間が経ってから聴いたのだと思う。
今回、久方振りに引っ張り出して聴いたのだが、イアン・ゴムもニック・ロウも良い曲を書くなということを再認識した。特にA面はよく聴いた。どんなレコードでも、AB面どちらかが、よく聴く面になるのは僕だけだろうか。
このレコードを買ったのが、白血病で亡くなった友人と一緒に行ったレコード屋さんだった事を、今でも鮮明に憶えている。
(* A-2.とB-3.が未収録)
kettle


nervous

Nervous on the Road / Brinsley Schwarz (1972)
UNITED ARTISTS UAS-5647 (US)
A-1. It's Been So Long
2. Happy Doing What We're Doing
3. Surrender To The Rhythm
4. Don't Lose Your Grip On Love
5. Nervous On The Road (But Can't Stay At Home)

B-1. Feel A Little Funky
2. I Like It Like That
3. Brand New You, Brand New Me
4. Home In My Hand
5. Why, Why, Why, Why, Why


PRODUCED BY 'BRINSLEY SCHWARZ' , DAVE ROBINSON & KINGSLEY WARD


雰囲気は前作を引継ぎつつよりファンキーなビート感に溢れた傑作4th。楽曲の出来はどれも抜群で、キレの良い3人のヴォーカルと重たいリズムの絡むA-2.、 流れるようなオルガンが印象的なA-3. 、叙情的な大名曲A-4.と続くA面など聞き惚れてしまいます。クリス・ケナーのカヴァーのニューオリンズ風味やB-5.のThe Band的英国ポップスあたりは新機軸でしょうか。いずれにしろ様々な音楽の混ざり具合が楽しい作品。この辺りでバンドとしてのサウンドが一応の完成をみたかのようです。
シルバーピストルはジャケ買いでしたが、このジャケットは内容に不安を抱かせるくすんだ色調で、けっこう購入をためらった憶えがあります。
cup


brinsley

BRINSLEY SCHWARZ
CAPITOL SWBC 11869 (1978 US)

(Brinsley Schwarz 1970)
A-1. Hymn to Me
2. Shining Brightly
3. Rock and Roll Women
4. Lady Constant
B-1. What Do You Suggest?
2. Mayfly
3. Ballad of a Has Been Beauty Queen

(Despite it All 1970)
C-1. Country Girl
2. Slow One
3. Funk Angel
4. Piece of Home
D-1. Love Song
2. Starship
3. Ebury Down
4. Old Jarrow

PRODUCED BY 'BRINSLEY SCHWARZ' and DAVE ROBINSON

ちょっと戻って、こちらの1stと2ndは共にアコースティックなイメージの静かな印象のアルバムです。1stのほうは長めの曲が多いので若干印象薄めですが、個々の曲はなかなかに考えられていて、ハードロック的な演奏にモロにThe Bandなツイン・ヴォーカルが絡むB-1.なんかは聴き物でしょう。アコースティックギターとベースが素晴らしいA-1.はこれぞ英国フォークロック的な名 曲。2ndになると楽曲のクオリティが向上、アルバムの輪郭もはっきりしてきます。D-1.からはいかにもブリンズリーらしい軽快さが感じられます。カントリー風なC-1.、D-2.、この後あまり演らなくなりますね。
再発アナログ盤でお徳用ですが、例のモップ少女のジャケットがどこにも載っていないので、ちょっと寂しい。
cup


please

Please Don't Ever Change / Brinsley Schwarz (1973)
LIBERTY LLP-80973 (JP)
A-1. Hooked on Love
2. Why Do We Hurt the One We Love?
3. I Worry ('Bout You Baby)
4. Don't Ever Change
5. Home in My Hand

B-1. Play That Fast Thing

2. I Won't Make It Without You
3. Down in Mexico
4. Speedoo
5. The Version (Hypocrite)

PRODUCED BY BRINSLEY SCHWARZ and VIC MAILE

CD : EDSEL ED CD 237 (1987)

'73年発表の5作目。元々いろんな音楽の影響が混在するバンドでしたが、ここではわざと元ネタをばらすような曲作り、アレンジで洒落っ気たっぷ りの名作を作り上げました。国内盤の解説には「レゲー」と表記されているように日本ではまだ知られていなかったスカ/レゲェもやっていますが、ここでの演 奏のこなれ具合から察すると英国の街角では普通に聴かれていたのかな、とも思ってしまいます。御丁寧にもB-5.はインストだし。A-4.は英国で人気の Goffin-Kingの大名曲(ビートルズもやってた)、愛にあふれた名演を披露しています。
後追いで聴いた哀しさで「ムーンドック・マチネー」にインスパイアされた疑似カヴァーアルバムなのかな、とずっと勘違いしていましたが、この2作品はほとんど同時期の録音でした。
cup


original

NEW FAVOURITES OF BRINSLEY SCHWARZ (1974)
UNITED ARTISTS LBR 1033 (UK)
A-1. (What's So Funny 'Bout) Peace Love And Understanding
2. Ever since You're Gone
3. The Ugly Things
4. I Got The Real Thing
5. The Look Tha'ts In Your Eye Tonight

B-1. Now's The Time
2. Small Town, Big City
3. Trying To Live My Life Without You
4. I Like You, I Don't Love You
5. Down In The Dive

PRODUCED BY DAVE EDMUNDS

基本的には前作の続編っぽい作りですが、音の録り方の具合からか少し華やかな印象の最終作品です。パワーポップの名曲A-1.は説明不要です が、ホリーズのカヴァー(どこから見つけてきたのか)B-1 とA-3.あたりのマージービート風味が個人的にお気に入り。B-3.ではオーティス・クレーをこれまた軽妙にカヴァー、全然ソウルっぽくないニックの歌い方が逆に個性的です。イアン・ゴムのフィリー・サウン ドもまた格別。
1980年頃の再発盤。
cup

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