DOWN IN DIXIELAND

アラン・パーカー監督の映画「エンゼルハート」にはニューオリンズ、ルイジアナの風物詩、ブードゥーの儀式に始まって、エヴァンジェリン、ガンボ の大鍋(オクラって日本語じゃなかったのね)、 ザリガニ、クリオール・フレンチ、文字通りのデキシーチキンまでが織り込まれていて、バイヨー・ムード満点な内容ですが、劇中にはドクタージョンの演奏も 挿入されていました。この監督は確か英国人だったように記憶していますが、そんな異邦人の視点を持ちながら数多くのミュージシャンは各人各様のやり方で ニューオリンズへの憧憬を表現しています。

america

Discover America / Van Dyke Parks (1972)
WARNER BROS. P-4525W (JP)
A-1. Jack Palance
2. Introduction
3. Bing Crosby
4. Steelband Music
5. Four Mills Brothers
6. Be Careful
7. John Jones
8. FDR in Trinidad
9. Sweet Trinidad

B-1. Occapella

2. Sailin' Shoes
3. Riverboat
4. Ode to Tobago
5. Your Own Comes First
6. G-Man Hoover
7. Stars and Stripes Forever

ジャケットには2台のバス、トリニダード行きとハリウッド行き。アラン・トゥーサンの2曲が象徴するように始発点はやはりニューオリンズでしょうか。トリ ニダードとニューオリンズは元々同じクリオールの文化圏だったという話もあるので、なるほど・ザ・ワールドな感じです。
ご 存知マイティ・スパローの歌声で始まり、ほぼ全編に亙って引用されるカリプソの批評性を借りてアメリカを見つめ直すといった内容ですが、コミカルで皮肉っ ぽ いのに何故か優雅でお洒落、なカリプソ創成期のサウンドをうまく消化して聴かせてくれます。ストリングスの見事さは特筆モノでパークスのふにゃふにゃ声と 良くマッチしてますね。ちなみにA-5.のストリングス、Kinksの'Holiday Romance'と雰囲気がよく似ているような気がしますが。
このレコードには著作権の支払いに関するパークスのコメントが添付されているのですが、その割に何故か各曲の作者のクレジットが不明確。'87年の EDSEL盤CDに至っては多くの曲がパークス作と間違って表記されていたりして、コレはちょいといただけません。
A-3., A-5.はThe Lion、ライ・クーダーもやっているA-8.はAtilla The Hun(作者はFritz Maclean)、B-6.はSir Lancelot、B-4.はLoad Kitchenerがオリジナルだそうです。
cup


dixie

Dixie Chicken / Little Feat (1973)
WARNER BROS. BS 2686 (US)
A-1. Dixie Chicken
2. Two Trains
3. Roll Um Easy
4. On Your Way Down
5. Kiss It Off

B-1. Fool Yourself
2. Walkin' All Night
3. Fat Man in the Bathtub
4. Juliette
5. Lafayette Railroad

PRODUCED BY LOWELL GEORGE

最初に聴いた時先ず印象に残ったのは、A-1.でのピアノの調子っぱずれな感じ、それと好対照にブルージーなA-4.でした。ニューオリンズど うこうといったことは全く知らない頃だったので、これがアラン・トゥーサンかぁ、よく分からないけどなんか奥深いぞ、などと感心しながら聴いていたよう な・・・。今聴いてもオルガンの響きやコーラスの入り具合も絶妙で、トゥーサンよりもトゥーサン節が効いた好演です。久しぶりにLPをシコシコ掃除してか けてみたのですが、A-3.で聴けるアコギの乾いた空気感など、なかなかCDでは味わえないなぁ、と思いました。
cup


moon

Moondog Matinee / The Band (1973)
CAPITOL SW-11214 (CA)
A-1. Ain't Got No Home
2. Holy Cow
3. Share Your Love
4. Mystery Train
5. Third Man Theme

B-. Promised Land
2. Great Pretender
3. I'm Ready
4. Saved
5. Change Is Gonna Come

PRODUCED BY THE BAND

今朝起きて何気なくこのレコードのジャケットを見たら、あ〜らびっくり、昨日書いた原稿中のMOONDOGのGをCと間違えていたのだ。おかしいと 思ったんだよな。(中)ジャケには微妙なGが表記されているのでお間違いなく。さて音楽の方は問題なしのR&Bカヴァー大会で思いっきり楽しめる サウ ンドに仕上がっている。ただ僕の音楽的嗜好はフォーク系のサウンドなので南部R&Bのレコードはほとんど持っていない。このアルバムの収録曲について もほとんど聴いたことがないため、この原稿を書くのもあんまり適任じゃないかもしれない。しかし原曲を知らなくてもこのアルバムは確かに楽しい。軽快な ロックンロールからバラードまで聴く者を惹き付ける御機嫌なレコードだ。
kettle


tom

Small Change / Tom Waits (1976)
ASYLUM 7E-1078 (US)
A-1. Tom Traubert's Blues
2. Step Right Up
3. Jitterbug Boy
4. I Wish I Was in New Orleans
5. Piano Has Been Drinking (Not Me)

B-1. Invitation to the Blues
2. Pasties and a G-String
3. Bad Liver and a Broken Heart
4. One That Got Away
5. Small Change
6. I Can't Wait to Get off Work

PRODUCTION AND SOUND BY BONES HOWE

セカンドラインもディキシーランドも出てこないのですが、 このアルバムには'I Wish I Was in New Orleans'という曲が入っています。ピアノとストリングスをバックに友人達と過ごしたニューオリンズでの日々が(あの破鐘のような声で)センチメン タルに 歌われているのですが、そのステレオタイプな言葉の印象が、「俺じゃなくピアノが酔っぱらってるのさ」と歌われるA-5.での自虐気味なユーモアとも相 俟って古い映画のワンシーンのよう な情景を生み出します。米国人にとってもニューオリンズはやはり遥かなる夢の都、憧れの対象なのでしょうか。
このアルバム、2チャン一発録りだとは知りませんでした。
cup


morrison

A Period of Transition / Van Morrison (1977)
WARNER BROS. BS 2987 (US)
A-1. You Gotta Make It Through the World
2. It Fills You Up
3. The Eternal Kansas City

B-1. Joyous Sound
2. Flamingos Fly
3. Heavy Connection
4. Cold Wind in August
 
PRODUCED BY VAN MORRISON and MAC REBENNACK

「狂気」に進んだ"Veedon Freece"を'74年に発表して以来3年ぶりに出したこのアルバムは、この翌年'78年に発表した非常にポップな"Wavelength"(当時一世 を風靡していたノーマン・シーフのジャケット写真にもびっくりしたが)との間でヴァンにとっては捨て石的なアルバムだな、というのが、このアルバムに関す る僕の考えだ。邦題に「変遷の終わり」と名付けられたこのアルバムは、当時のヴァンの動向に何かあったのかという物議をかもしたが、ピリオドを打つものは 何もなかったと今になってうなづける。
ヴァンとMac RebennackことDr. Johnの共同プロデュースで、ドクターはAll Keyboardsとクレジットされている。特にA面の3曲は言葉よりもサウンドの流れを重視していてドクターの意見が通った感じだが格別ニューオリンズ 風とい うわけではない。B面の4曲もA面ほどではないがサウンド的には同様だ。B-4.が一番気に入っている曲である。
kettle
DOCTOR & PROFESSOR

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