パラソルさして


hosono

HOSONO HOUSE / 細野晴臣ソロ・アルバム (1973)
BELLWOOD OFL-10
A-1. ろっかばいまいべいびい
2. 僕は一寸
3. CHOO CHOO ガタゴト
4. 終りの季節
5. 冬越え

B-1. パーティー
2. 福は内 鬼は外
3. 住所不定無職低収入
4. 恋は桃色
5. 薔薇と野獣
6. 相合傘


Engineers ; KINJI YOSHINO, MASAKI NOMURA
Remix Engineer ; KINJI YOSHINO
Produced by; HARUOMI HOSONO


自宅録音つながりということで、A-3.などはJTの"One Man Dog"のどれかの曲に一瞬似ていたりしますが、そこはご愛嬌、粘り腰のリズム隊といい、芯のある各楽器の音質といい、普通のスタジオでもなかなか録れない ような硬質でファンキーな音作りに当時は驚いたものでした。"Tommorow's Hits Today!"と表記されているように、何がすごいのか正直良く分からなかった部分もあるのですが、アラン・トゥーサンがアレンジしたかのようなホーン・セクショ ン(実際は吉野さんのアレンジ)が聴けるA-5.("Rock of Ages"経由かな)とか後のトロピカル・シリーズにつながる感じのA-4.やB-2.など、改めてなるほど、とすんなり飲み込めたりもします。カント リーロック風なA-2.やB-5.は当時からするりと心に染み込んで心和みました。
船のマークのベルウッド・ロゴもSPレコードを模した内袋も素晴らしすぎるアートワークは、WORK SHOP MU!の手によるものです。
cup


dylan

きのうの思い出に別れをつげるんだもの/ザ・ディランII (1972)
URC URG-4010
A-1. 君の窓から
2. 子供達の朝
3. その時
4. 君をおもいうかべ
5. 男らしいってわかるかい

B-1. プカプカ(みなみの不演不唱(ぶるうす))
2.さみしがりや
3. 君はきままに
4. うそつきあくま
5. サーカスにはピエロが
6. 満鉄小唄

技術:
吉野金次
制作:アート音楽出版

大塚まさじのスケールの大きな歌声が堪能できる傑作ファースト・アルバム。入手したのが発売後数年後だったせいでサウンド的にはあまり印象に残っ ていなかったのですが、随所に小技が効いていて今頃になってニンマリとしています。録音が「風街ろまん」のすぐ後71年11月〜12月となっていることも あるのか、JT風ギターにオルガンが絡んでくるA-4.はまんま「風をあつめて」のサウンド展開。そう思って聴くとB-3.は「ももんが」風にも聞こえて しまいます。
ドラム(特にバスドラ)を強調したメリハリある音作りはやはりザ・バンド風、ピアノのしっとりした音色も彩りを添えます。超有名曲のB-1.はホンキート ンクなピアノソロを加えたゆったりヴァージョン、良いです。思わず一緒に口ずさんでしまうB-5.で感動的に大円団、かと思いきや、SPのノイズの彼方か ら聞こえてくるのはノー・クレジットの「満鉄小唄」、昭和初期の軍歌の替え歌だそうですが、本当に雨が降っているかのように余韻を残しつつしんみりと終ります。
cup


kyozo

街行き村行き/西岡恭蔵 (1973)
BELLWOOD SKM-7012 (1979)
A-1. 村の村長さん
2. 春一番
3. どぶろく源さん
4. パラソルさして
5. ひまわり村の通り雨

B-1. 飾り窓の君
2. 海ほうずき吹き
3. うらない師のバラード
4. 朝の散歩道
5. 街行き村行き                 

ENGINEERS : 吉野金次、野村正樹、松本裕
PRODUCER : 細野晴臣

細野さんプロデュースによる和風カントリー・ロックの名品。後のムーンライダースの面々がバックを固めているためか英国的な丸っこいサウンドと朴 訥ながら味のある歌声が印象的で、大瀧詠一のアルバムにも共通するような肌触りを感じます。とはいえアコースティックギターのイントロが素晴らしいB- 4.やB-2.はJTの影響大ですし、歌詞の面でのはっぴいえんどの影響の大きさが感じられるA-4.は「夏なんです」的でしょうか。リズムギターが「相 合傘」を思わせるB-1.やA-5.あたりでは、その後の展開を予感させるように(エーストーンの?)リズム・ボックスが使用されてもいます。それにしても名 曲が多いなぁ。
cup


minami

南正人 ファーストアルバム (1973)
BELLWOOD BZCS-9041 (2005)
1. いやな長雨
2. 午前4時10分前
3. 紫陽花
4. ア・ウィーク
5. 愛のふきだまり
6. ブギ
7. 五月の雨
8. 家へ帰ろう
9. レイジィー・ブルー    
 

プロデューサー : 寺本幸司、篠崎伸之、キャラメル・ママ
ミキシング:
吉野金次、野村正樹


柔らかいトーンのギター一本で歌われる気怠いブルースの間に挟まれる7曲で、キャラメル・ママの豪放といっても良いくらいラフな演奏を聴くことが 出来ます。いかにも南正人らしい2.、ビック・ピンク直系の3.や7.、ほとんどジャムセッションな4.、ちょっとはっぴいえんどを思わせるゆったりした 5.など色合いは様々ですが、鳥の鳴き声やちょっとしたノイズも入っていたりして自宅録音らしい気のおけない親密さみたいなものも伝わってきます。7.で はちょっとだけ洗練されたセンスも顔をのぞかせます。最近はテレビでも時々見かけるリリィさんの声が全然変わっていないのにビックリ。
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sunset

SUNSET GANG/久保田麻琴 (1974)
SHOWBOAT  3A-2002
A-1. たそがれのメイク・ラヴ・カンパニー
2. 小舟の旅
3. ルイジアナ・ママ
4. 河を下って
5. サンセット・サンセット

B-1. いとしのマリー
2. しけもく暮らし
3. 帰っておくれ
4. バン・バン・バン
5. 夕焼けブルース

Produced by 吉野金次+久保田麻琴
Engineer : 吉野金次

夕焼け楽団、まるで体の中から染み出てくるようなレイジーなリズム感覚は本国アメリカでも滅多にお目にかかれないとお思いますが、そこにB-4. なんかをいとも簡単にボ・ディドリー・ビートに料理してしまう卓越したなセンスと、細野さんや妹尾さんといった豪華ゲストを加えたこのアルバムは正に鬼に 金棒、といったところでしょう。もちろん吉野さんもプロデュースにアレンジにと大活躍です。
気怠くも美しいブルースナンバー、A-1.のアコースティックなアレンジだけでも腰がふにゃふにゃとなりますが、A-2.ではケンチャンのサイケデリッ ク・チャンキー・ギターが右に左にゆらゆら揺れて心地良いことこの上もありません。A-3.では細野さんがドラムで登場、綺麗どころのコーラスも交えての 楽しいカヴァー、等々これほどのアルバムの後に、究極ともいうべき「ハワイ・チャンプルー」が出てくるのですから、もうたまりまセブン、ですね。
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misora

み空/金延幸子 (1972)
avex io IOCD-40012 (2002)
1. み空
2. あなたから遠くへ 
3. かげろう
4. 時にまかせて
5. 空はふきげん
6. おまえのほしいのは何
7. 青い魚
8. 雪が降れば(ようこさんにささげる)
9. 道行き
10. はやぶさと私
11. 春一番の風は激しく

MIXING : 吉野金次
PRODUCER : 秦政明/アート音楽出版


日本版ジョニ・ミッチェルといった趣の、まるで今作られて歌われたかのような瑞々しさと朴訥さを併せ持つ魅力的な作品です。昔「愚」というグループの歌をラジオで聴いて気に入っていたのですが、そのヴォーカルの人だったとは全然知らなかったです。
7.なんかもう完全にStray Gatorsだったりして、CSNYとかJTといった同時期の西海岸風な音ですが、それ以上に歌詞の面では松本隆の影響下にあるようでして、大瀧作曲の5. なんかはもうそのまんまはっぴいえんど。シングル盤では大瀧プロデュースだった4.は、スライドも交えた細野のアレンジによるアルバム・ヴァージョンが収 録されています。
cup

こがらし・えれじぃ
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