SEVENTY ONE


mud

Mud Slide Slim And the Blue Horizon / James Taylor (1971)
Warner Bros. BS-2561 (US)
A-1. Love Has Brought Me Around
2. You've Got A Friend
3. Places In My Past
4. Riding On A Railroad
5. Soldiers
6. Mud Slide Slim

B-1. Hey Mister, That's Me Up On The Jukebox
2. You Can Close Your Eyes
3. Machine Gun Kelly
4. Long Ago and Far Away
5. Let Me Ride
6. Highway Song
7. Isn't It Nice To Be Home Again

Produced by Peter Asher

シンガー・ソングライターという言葉の響きがまだ珍しかった頃、たまたま聴いたFMラジオでエルトン・ジョンとJTの特集をやっていて、そこでこのアルバ ムの何曲かを聴いたのが最初。おそらくアルバムが発売さ れた頃で、最初は少し大人向けの音楽かな、といった印象でしたが、カセット・テレコで録音し繰り返し聴いているうちに耳にすぅっと馴染んで行くように入っ てきた のでした。その少し前、メラニーの歌うCarolina In My Mind'(友人に借りたベストに入っていた)が好きだったことも、ジェームス・テイラーの名前を近しいものに感じたきっかけかもしれません。
The Sectionの3人にキャロル・キングを加え、まとまりを見せつつもけっこうラフなヘッド・アレンジが聴けるという意味では前作を上回るグルーヴが感じ られます。土臭さとファンキーさを併せ 持ったA-6.の演奏などはバンドの力量が発揮された名演、ジャム風になる後半の各楽器の絡み、特にJTのギター・ソロのタイミングなどは圧巻です。それ にしても ベスト盤かと思ってしまうような名曲の数々、A-2.、B-4.にはジョニ・ミッチェルのコーラス、A-1.、B-5にはメンフィス・ホーンズの面々が華 を添 えています。ダニー・コーチマーのB-3.はぐっと速度を落としたカヴァー、2本のギターの絡みが素晴らしい。そういえば吉田拓郎氏がこのジャケットと同 じ格好をしてテレビに写っていたのを思い出しました。
cup


mama2

J IS FOR JUMP / JO MAMA (1971)
Atlantic SD-8288 (US)
A-1. Keep On Truckin'
2. Back On The Street Again
3. Smackwater Jack
4. If I Had A Billion Dollars
5. My Long Time
6. When The Lights Are Way Down Low

B-1. Love Is Blind
2. 3 A.M. In L.A.
3. Sweet And Slow
4. Have You Ever Been to Pittsburgh?
5. Sho 'Bout To Drive Me Wild

Producer: Albhy Galuten, Tom   Dowd


JTやCarole Kingのメガ・ヒットでシンガー・ソングライター・ブームに沸いた1971年、彼らのバッキングでも活躍していたAbigale Haness, Danny Kortchmar, Charles Larkey, Ralph Schuckett, Joel O'Brienといった布陣で作られたJo Mamaのセカンド・アルバムもやはり同じ'71年の発表でした。前作ではポップなコーラスも披露していた彼らでしたが、ここではR&B寄りに色 彩を統一、若干落ち着いた雰囲気を醸し出しています。A面にはキング 作品A-3.に代表される小粋でファンキーな曲が並び、B面になると若干ブルージーに迫ります。Abigale Hanessのヴォーカルとピアノ・ソロがお洒落なB-3.はちょっとマリア・マルダーな感じ。"One Man Dog"でJTによってカヴァーされるA-2.はThe Band風ロックで、これだけはちょっと異色かもしれません。各面最後の曲のクレジットには、ドクター・ジョンの名前も見えます。
cup


sweet

Sweet Baby James / James Taylor (1970)
Warner Bros. P-8001W (1971 JP)
A-1. Sweet Baby James
2. Lo and Behold
3. Sunny Skies
4. Steamroller
5. Country Road
6. Oh, Susannah

B-1. Fire and Rain
2. Blossom
3. Anywhere Like Heaven
4. Oh Baby, Don't You Loose Your Lip On Me
5. Suite For 20G
 
Produced by Peter Asher

S&Gのアルバム "Bridge Over Troubled Water"のタイトル曲と 'The Boxer'、ポール・サイモンの "There Gose Rhymin' Simon" の'Kodachrome' と 'American Tune' 等々、A-1.とB-1.が強力に耳に飛び込んでくるアルバムとして、この"Sweet Baby James" も挙げられる。'Sweet Baby James' と 'Fire and Rain'、この2曲を聴くだけでもう天下を取ったようなものだ。彼の甥のために書かれたA-1.の歌詞を読むと、'Deep green and blues are the colors I choose, Won't you let me go down in my dreams, And rocka bye sweet baby James'と歌っていて子守歌だと分かる。穏やかな河の流れに乗っているような何とも心和むメロディは夜寝る前に聴きたくなる名曲。B-1.はJT の名前を全米に広めたヒット曲で僕が語るまでもないものだが、JTの青春が鮮やかに語られる当時のアメリカ版青春ソングの代表例といって良いだろう。
kettle


chu1

ありがとう / 小坂忠 (1971)
Alfa ALCA-31 (1990 JP)
1. からす
2. どろんこまつり
3. 冬・春・夏
4. 機関車
5. ありがとう
6. 春が来た
7. 夕暮れほたる
8. みちくさ
9. いなか道 

プロデューサー ミッキー・カーチス



カントリー志向の歌詞やサウンドの背後に、ロック=ハード・ロックだった時代の渾沌とした影が微妙に感じられる1971年の作品。シンプルというか、あっ けらかんとした歌詞だけをとっても、ちょっと強引な方向転換のイメージを強く感じてしまうのですが。いずれにしろ、冒頭から聴こえるアコースティック・ギ ターはもう完全に"Sweet Baby James"の雰囲気、ギターの種類もギブソンの同じモデルだそうですね。アルバム「ほうろう」で再演される「機関車」が当時よくラジオでかかっていまし た が、ここでは細野さんのマンドリンをフューチャーしたカントリーヴァージョン。その細野さんの曲が3曲収録されている事から見ても同年発表の「風街」と対 をなすアルバムといえそう。ピアノ・ベースの強烈なグルーヴにハードなギターが絡む「どろんこまつり」のアレンジは秀逸、「夏なんです」に曲調が似ていま す。名曲「ありがとう」のヴォーカルはどう聴いても細野さん本人ですね。
cup


liv

Liv / Livingstone Taylor (1971)
Capricorn VICTOR SWX-6278 (1976 JP)
A-1. Get Out Of Bed
2. May I Stay Around
3. Open Up Your Eyes
4. Gentleman
5. Easy Prey

B-1. Be That Way
2. Truck Driving Man
3. Mom, Dad
4. On Broadway
5. Caroline
6. I Just Can't Be Lonesome No More

Produced by John Landau

清々しい緑の芝生の上に足を伸ばしてゆったりと椅子に腰掛けている写真を見て思わずジャケ買いし、Livを初めて知ったのがこのセカンド・アルバ ムだ。中に入っていた歌詞カードも緑色で印刷されていて洒落た作りに感動したものだ。A面の1曲目、サビで 'Get up get up get out of bed /  And let sunshine fill your head' と続く歌詞は春の朝、起きる時にずっと聴いてきた。このアルバムもA面だけしか聴いてこなかったのだが、B面(これを書くにあたって聴いてみた)はA- 1.と同じくアップテンポで元気が出る音作りの 'Caroline' が聴ける。
Livのアルバムを聴くたびにいつも思うんだけど、英語の発音が感覚的に角張っているというかスムーズじゃなくて、ロビー・ロバートソンのギターのような 歌い方といったらいいのか、そういう風に聞こえるのは僕だけだろうか。
kettle


kate1

Sister Kate / Kate Taylor (1971)
Cotilion SD 9045 (US)
A-1. Home Again
2. Ballad of a Well Known Gun
3. Be That Way
4. Handbags and Gladrags
5. You Can Close Your Eyes
6. Look at Granny Run Run

B-1. Where You Lead
2. White Lightning
3. Country Comfort
4. Lo and Behold / Jesus is Just All Right
5. Do I Still Figure in Your Life
6. Sweet Honesty

Produced by Peter Asher

あんまり作曲をしないケイトさんなのでカヴァーが多いのですが、ジャケットで着ているジーンズの肌触りを思わせるおおらかで飾らない雰囲気を持っ た好アルバム。ツボを押さえたR&B寄りの楽曲を若干ラフに楽しく演奏しているのは(アレンジ、演奏に大活躍の)キャロル。キングを始めとした豪華な布 陣。その キャロル作品A-1.やスワンプ風味のA-2.、またモータウンなB-1.などはKate with Jo Mamaといった按配で乗りの良い演奏を聴かせています。クーチのギターもタップリ。一方、ライ・クーダーもやっていたA-6.はThe SectionにJTと メンフィス・ホーンズが加わった演奏、クーチのギターがスティーブ・クロッパー風で可笑しい。もちろんケイトさんのからっと乾いた歌声も大変魅力的です。
cup


one

One Man Dog / James Taylor (1972)
Warner Bros. BS-2660 (US)
A-1. One Man Parade
2. Nobody But You
3. Chili Dog
4. Fool For You
5. Instrumental I
6. New Tune
7. Back On the Street Again
8. Don't Let Me Be Lonely Tonight
 
B-1. Woh, Don't You Know
2. One Morning In May
3. Instrumental II
4. Someone
5. Hymn 6. Fanfare
7. Little David 8 Mescalito
9. Dance 10. Jig

Produced by Peter Asher

1973年の初来日、当初は前年の秋に予定されていてチケットを入手していたのですが、どういうわけか延期になってしまい諸事情により泣く泣く払い戻した ために行く事が叶わず、未だに悔しい思いをしています。
で、この'72年のアルバム、短い曲が並んでいるので全体の印象が掴みにくく、ついつい流して聴いてしまうのですが、なかなかに完成度の高い作品でありま す。B-5.から始まるメドレーがあったり、ポール・マッカトニー的なメロディのA-6.が入ったりしているせいか、アビーロード的雰囲気も多少感じられ ます。"Mud Slide Slim" の続編のように聞こえてしまうのですが、前作のラフな感じが幾分影を潜め、意外とカチッとした細かいアレンジが施されているようにも感じられてきました。 この点では次作以降、あるいはクーチのソロとの繋がりで考えたほうがしっくりくるのかもしれません。冒頭のラテン・リズムにはちょっとビックリしますが、 2本のギターの絡みが絶妙なA-2.、アコースティック主体に衣替えしたJo MamaのA-7.、リンダ・ロンシュタットとのデュエットが美しいカントリー・スタイルB-2.などなど魅力的な曲が多い。
cup



CAROLINA IN MY MIND
08TOP
HOME