HOW SWEET IT IS


gorilla

Gorilla / James Taylor (1975)
Warner Bros. BS-2866 (US)
A-1.Mexico
2. Music
3. How Sweet It Is (To Be Loved By You)
4. Wandering
5. Gorilla
6. You Make It Easy

B-1, I Was a Fool To Care
2. Lighthouse
3. Angry Blues
4. Love Songs
5. Sarah Maria

Produced by Lenny Waronker and Russ Titleman

出ました、JTのAOR路線の最高傑作!プロデュースがレニー・ワロンカーとラス・タイトルマンに代わって、AORの王道としてフォークからポッ プスへと転向したJTの甘く切ない歌声が全編に流れる良質なアルバムだ。個人的に言わせてもらうと、暑い真夏、犬もグッタリ舌をハーハーさせながら涼を とっているような午後、日陰になった部屋の窓を開け風を少し感じながら、軽いアルコールを口に運んでこのアルバムを聴く、これが僕の理想のシチュ エーションだ。僕が気に入っている曲はA-4.とB-5.、両方とも気だるいバラードに仕上がっていて、聴いていると穏やかな気分になってくる。とにかく 良 質なポップスに仕上がっているこのアルバム、まだ聴いたことなく"Sweet Baby James"しか知らないという人にお勧めだ。
kettle


walk

Walking Man / James Taylor (1974)
Warner Bros. W2794 (US)
A-1. Walking Man
2. Rock 'n' Roll Is Music Now
3. Let It All Fall Down
4. Me and My Guitar
5. Daddy's Baby

B-1. Ain't No Song
2. Hello, Old Friend
3. Migration
4. The Promised Land
5. Fading Away

Produced by David Spinozza

このアルバムを最初に聴いて感じたのは、それまでのピーター・アッシャーがプロデュースしたものとは全然手触りが違うなということです。この後に続く "Gorilla" 、"In the Pocket" とよく似た歌作り、ギターワークが展開されていて、強引に引っくるめれば三部作と評してもいいと思われます。A-3.やA-5.を聴くと "Gorilla"への流れが良く分かる。今までA面ばかり聴いていたのですが、今回B面を聴いたら、チャック・ベリーの 'The Promised Land'をカヴァーしていたことにビックリ、The Bandが "Moondog Matinee"でもやっていたな、と思い出しました。'76年に出たベスト盤にA-1.が収録されているのを考えれば、このアルバム、なかなか侮れない といえるだろう。(2年程前に中古で手に入れたので、あまり聴きこんでいないことを断っておきま す。)
kettle


pocket

In the Pocket / James Taylor (1976)
Warner Bros. BS-2912 (US)
A-1. Shower the People
2. A Junkie's Lament
3. Money Machine
4. Slow Burning Love
5. Everybody Has the Blues
6. Daddy's All Gone

B-1. Woman's Gotta Have It
2. Captain Jim's Drunken Dream
3. Don't Be Sad 'Cause Your Sun Is Down
4. Nothing Like a Hundred Miles
5. Family Man
6. Golden Moments

Produced by Lenny Waronker and Russ Titleman


ワーナーの御大二人によるプロデュースが職人芸の域にまで達した'76年作品。リアルタイムではJTと言えばコレ、という位良く聴いたレコードでま ろやかな音作りが印象的でした。A-6.でのギター2本によるアンサンブルはいつもながら見事ですし、絶妙のアンサンブルを聴かせるリズム・ナンバーA- 3.などは驚くべき完成度を誇っています。
ただ今改めて聴くと気になるところもなくはなくて、ワーナー初期3枚に比べて自由度が少ない、というか、同じThe Sectionのメンバーの演奏でもスタジオ・ミュージシャン然とした雰囲気がちょっと気になるところではあります。JT節炸裂の佳曲B-3.のアレンジ 等はもうちょっとザックリした感じが欲しかったところですし、Jo Mama直系のB-5.はハジけ方がもう一つかなぁ。こういうサウンドだとBobby Womack作品での正統派ソウル風な演奏が引き立ちます。
cup


kate2

Kate Taylor (1978)
Columbia JC 35089 (US)
A-1. A Fool in Love
2. Smuggler's Song
3. Harriet Tubman
4. Stubborn Kind of Woman
5. Happy Birthday Sweet Darling

B-1. It's in His Kiss (The Shoop Shoop Song)
2. Slow and Steady
3. It's Growing
4. Tiah's Cove
5. Rodeo
6. Jason and Ida

Produced by James Taylor and Lew Hahn

ニューヨークの一流どころの心地よい演奏と流れるようなアレンジに惹かれて、当時よくターンテーブルにのったレコード。次のアルバムでもそう ですが、ぐっと速度を落とし、たゆたうようなリズムが素晴らしいマーヴィンのA-4.とか、お洒落に決めたテンプスのB-3.(スティーブ・ガッドのフィ ル・インにニンマリ)、モータウン・カヴァーのアレンジはいつもながら感心してしまいます。両方共見事にJT風になっていてLivを除く3兄弟がコーラス で参 加。ケイトさんのヴォーカルはたいした事ないのかな、と思っていたら、ティナのA-1.なんか抑えた歌い方が意外にソウルフルであったりもします。その他 ちょっと懐古的なコーラスからファンクに移り変わるA-5.と、ワルツのB-2.が、プロデュースも担当しているお兄さんの作品、本人ヴァージョンはない ので しょうか。B-5.は"LIV"からの選曲。
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gaye

Super Hits / Marvin Gaye (1970)
MOTOWN 5301ML (US)
A-1. I Heard It Through the Grapevine  2. Pride and Joy
3. The End of Our Road  4. Ain't That Peculiar
5. Stubborn Kind of Fellow
6. Can I Get a Witness
7. How Sweet It Is (To Be Loved by You)
8. That's the Way Love Is

B-1. Too Busy Thinking About My Baby  2. Chained
3. You're a Wonderful One
4. Try It Baby  5. I'll Be Doggone
6. Hitch Hike  7. You
8. Baby Don't You Do It


発売から10年以上経ってから入手したにも拘らずどういうわけか初めて聴くものばかりで逆に新鮮だったという、ちょっと不思議なベストヒット集。まあ当然 ながら楽曲自体にはあちらこちらで馴染みのものが多かったのですけれど。
冒頭の「悲しいうわさ」で最初に印象に残っているのは、CCRの"Cosmo's Factory" (1970) 収録の長尺の演奏。久しぶりに引っ張り出して聴いてみたのですが、予想以上に引き締まった良い演奏でした。同じ頃ストーンズのA-6.も聴いていたはずで すが、他の曲に紛れてほとんど憶えていませんでした。同じくストーンズのB-6.は、さてどうだったかなぁ。The Bandのライブ定番、B-8.はずっとアイズレー・ブラザースがオリジナルだと勘違いしてました。A-7.はすっきりしたJTヴァージョンよりも、自由 な節回しのKaren Daltonが印象深い。いずれにしろ、R&Bテイストの'60年代前 半の録音からファンクっぽい'69年まで、デュエット曲を全面的に省いているせいもあり、凛とした佇まいが際立つ素晴らしい選曲となっています。
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bw

Understanding / Communication (2004)
Bobby Womack
Stateside 7243 8 66079 2 8 (EU)
Understanding
1. I Can Understand It 2. Woman's Gotta Have It
3. And I Love Her 4. Got To Get You Back
5. Simple Man 6. Ruby Dean
7. Thing Called Love
8. Sweet Caroline (Good Times Never Seemed So Good)
9. Harry Hippie

Communication
10. Communication 11. Come L'Amore
12. Fire And Rain 13. (If You Don't Want My Love)
Give It Back
14. Monologue / Close To You, (They Long To Be)
15. Everything Is Beautiful
16. That's The Way I Feel About Cha
17. Yield Not To Temptation


"Everybody Loves To Cha Cha Cha"のカヴァーとか、アート・ガーファンクルとのデュエットで有名な"Wonderful World"の名演とか、JTはサム・クックの作品も好んで採り上げています。で、サム・クックの愛弟子と言われているらしいボビー・ウォーマック、 このCDには'71年と'72年の2作品が収録されていますが、JTファンにはお誂え向きにJTがカヴァーした2.と、逆にJTをカヴァーした12.を一 緒に聴く事が出来ます。サラリとしたJTヴァージョンとは違って2.のオリジナルは粘っこいリズムが特徴的、押しの強いベースが際立っています。また 12.ではリズム感覚が原曲のソウル・ムードをいっそう引き立てているようです。マッスルショールズ他南部での録音ですが、10.はかなり異質でスライの 「暴動」に入っていてもおかしくないような強烈ファンク。その「暴動」にはボビー自身 も参加していたのだそうですね。ガラガラ声でこわもてのオッサンみたいなイメージのボビーさん、端正なサムとは似てもにつかない雰囲気ですが、6.を聴く と、なるほどそーか、と納得してしまいました。コレ、CCCDなのが玉にキズ。
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alex

Dinnertime / Alex Taylor (1972)
CAPRICORN CP 0101 (US)
A-1. Change Your Sexy Ways
2. Let's Burn Down The Cornfield
3. Comin' Back To You
4. Four Days Gone

B-1. Payday
2. Who's Been Talkin'
3. Who Will The Next Fool Be
4. From Buick Six 


Produced by Johnny Sandlin



チャックやボイヤー等キャプリコーンのスタッフが脇を固め、マッスルショールズで録音された、一番上のお兄さんの2作目。まるで兄弟のように(笑)似通っ た資質を 持つJTとLivの二人とは違い、お兄さんは、そう、デルバート・マクリントンみたいに硬質な歌声の持ち主、このレコードのスワンプ・サウンドにもピタリ ハマっています。それにしても迫力のある演奏陣は見事(特にオルガン好きには堪らない)で、スティルス作A-4.のような南部とは関係なさそうな曲も見事 に本来の魅力が引き出されています。B-3.はボイヤー作品でBoyer & Taltonの'74年のアルバムにも収録。Amazing Rythum Acesのヴァージョンも懐かしいB-3.、ここではブルージーに渋く演奏されています。Dylan作B-4.のコーラス隊のクレジットが 'The Jackson Highway Refugee Singers' となっているのが笑えました。
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nonukes

NO NUKES
THE MUSE CONCERT FOR A NON-NUCLEAR FUTURE (1979)
ASYLUM ML-801 (US)
A-1. Dependin' on You 2. Runaway
3. Angel from Montgomery 4. Plutonium Is Forever
5. Power

B-1. Times They Are A-Changin' 2. Cathedral
3. Crow on the Cradle 4. Before the Deluge

C-1. Lotta Love 2. Little Sister
3. Woman 4. We Almost Lost Detroit
5. Get Together

D-1. You Can't Change That 2. Once You Get Started
3. Captain Jim's Drunken Dream 4. Honey Don't Leave L.A.
5. Mockingbird

E-1. Heart of the Night 2. Cry to Me
3. Stay 4. Devil with a Blue Dress Medley

F-1. You Don't Have to Cry 2. Long Time Gone
3. Teach Your Children 4. Takin' It to the Streets

Produced by MUSE, Inc. by Jackson Browne, Graham Nash, John Hall, and Bonnie Raitt.

近頃よく、地球温暖化対策は日本の進んだ省エネ技術を活用して云々、といった話が出てきますが、一方でこの国の自然エネルギーの利用率はかなり低 いレベルにとどまっているという話も聞きます。直下で地震が起こり、施設内での火災、放射能漏れなどのトラブルが連日のように報道されている柏崎刈羽原発 がストップしているためにCO2の排出量が増えそうだ、とか、京都議定書の約束を達成できそうもない、といった報道もなされています。エコだなんだと騒い でも、結局この「美しい国の進んだ省エネ技術」というのは、「恐ろしくハイリスクな上に稼働率も上がらない原発」だけ、というような何とも意味不明、非現 実的な結論になってしまっているようです。
さてこのレコードは、スリーマイル島の原発事故の後ですからもう30年近く前、1979年9月に行われ、反原発と持続可能なエネルギーへの転換を提唱した コンサートの実況録音盤。同じコンサートの映画版では当時の新曲、'The River'も聴けるスプリングスティーンの演奏はハイライトのひとつ、メガトン級のE-4.の迫力には本当にぶったまげたものです。ジョン・ホールのA -4.はカリプソ風、A-5.はコンサートのテーマソングのような感じになっています。もちろんJTも大活躍で、メイン・パートのD-3.〜D-5.の 他、A-5., B-1., F-4.等の演奏にも参加しています。
ちなみに、付属のパンフレットには原発にまつわる様々な問題点が指摘されていますが、今日に至っても何一つ解決したものはありません。特に廃棄物の処理 に関しては当時の状況からから一歩も進んでいない(ということは、日に日に悪くなっていく)ことに愕然としてしまいました。
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muse

THE MUSE CONCERT / NO NUKES (1980)
VIDEOARTS JAPAN VALJ-3158 (LD)


OCTOBER ROAD
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