FOG ON THE TYNE


fog

Fog on the Tyne / Lindisfarne (1971)
CHARISMA CAS 1050 (UK)
A-1. Meet Me On The Corner
2. Alright On The Night
3. Uncle Sam
4. Together Forever
5. January Song

B-1. Peter Brophy Don't Care
2. City Song
3. Passing Ghosts
4. Train In G Major
5. Fog On The Tyne

Produced by BOB JOHNSTON

CD : VIRGIN CASCD 1050

Scotch Mist
No Time To Lose


映画"GOAL!"の中の台詞に「ニューカッスルではサッカーは宗教のようなものだ」という下りが出てきますが、確かに映画の中のセント・ジェームズ・ パークはまるで巨大な教会のような印象があります。イングランド北東部に位置するニューカッスルは川沿いの炭坑町、ここの大ローカルバンド、リンディス ファーンが全英第1位に輝いたセカンド・アルバムがこちら。当時'Meet Me On The Corner'は日本でも少しだけヒットしていたと思いますが、この曲の持っている英国的な人なつっこいサウンドを受け継いだ曲がA面前半に並んでいて、 A-5.からB面にかけてはアラン・ハルのシンガー・ソングライター的雰囲気を湛えた名曲がたっぷりと収録されています。ハルの歌はヨレ気味にふらついて いるようでどこか豪快、という不思議な魅力を持っていますが、彼の弾くアコースティック・ギターの音色もまた味わい深いと思います。ラストはご当地ソン グ、間奏 のマンドリンとハープによるリールが盛り上がる。CD収録の'Scotch Mist'と続けて聴くと楽しさも倍増です。ヒット・アルバムとはいっても格別変わったことをやっている訳ではなく、いつもながらのリンディスファーン、 最初の3作品はどれを聴いてもやっぱり良いですね。ちなみに(音質が幾分シャキッとしてる)米エレクトラ盤のジャケットのイラストでは、右上の教会みたい な尖塔の窓の明かりが何故か黄色く灯っているの でした。
cup


nicely

Nicely out of Tune / Lindisfarne (1970)
CHARISMA (VIRGIN) CHC 31 (UK)
A-1. Lady Eleanor
2. Road To Kingdom Come
3. Winter Song
4. Turn A Deaf Ear
5. Clear White Light (Part 2)

B-1. We Can Swing Together
2. Alan In The River With Flowers
3. Down
4. The Things I Should Have Said
5. Jackhammer Blues
6. Scarecrow Song

Produced by JOHN ANTHONY

CD : VIRGIN CASCD 1025

Knackers Yard Blues
Nothing But The Marvellous Is Beautiful

リンディスファーンの魅力は、アラン・ハルの歌声と、どうでもいいようで歌いっぱなしのコーラス・ワークにある。例えばビートルズのような斬新で計算され たものではなく、素朴で荒々しいそのコーラスは、聴く人を選ばず楽しい気分にしてくれる。このアルバムに関しては、ヒタヒタと満ちてくる波のように始まる A-1.、蒸気機関車が走っているみたいに勇壮なドラムが象徴的なA-2.、一転哀愁のあるA-3.、'Turn again, Turn again'と繰り返されるコーラスが耳に残るA-4.、とA面の4曲の流れは、思わず聴き惚れてしまうほどにリンディスファーンそのものだと思う。
Don Mcleanの"Homeless Brother"というアルバムの冒頭を飾る'Winter has me in its grip'という曲は大変アコースティックな作りで、そのタイトルの付け方も非常に上手いと思ったものだが、'Winter Song'もまた冬を歌った名曲と言えるだろう。
kettle


dingly

DINGLY DELL / Lindisfarne (1972)
ELEKTRA EKS-75043 (US)

A-1. All Fall Down 2. Plankton's Lament    
3. Bring Down The Government    
4. Poor Old Ireland   5. Don't Ask Me    
6. O No Not Again    

B-1. Dingle Regatta  2. Wake Up Little Sister    
3. Go Back   4. Court In The Act    
5. Mandolin King  6. Dingly Dell    

Produced by BOB JOHNSTON

CD : VIRGIN CASCD 1057
We Can Swing Together (Live)
back

Back to Basics / Alan Hull (1994)
Mooncrest CREST CD 017 (E.E.C.)

1. United States of Mind 2. Poor Old Ireland
3. All Fall Down 4. Lady Eleanor
5. Winter Song 6. Walk in the Sea
7. Mother Russia 8. This Heart of Mine
9. Mr. Inbetween 10. January Song
11. Breakfast 12. Day of the Jackal
13. O No Not Again 14. Run for Home
15. Fog on the Tyne 

Produced by Alan Hull




アラン・ハルが亡くなったのが1995年、その前年に"Back To Basics"というソロ・ライブCDが発売されている。アランのギターとヴォーカル、それに(一時期リンディスファーンのメンバーだった)Kenny Craddockがキーボード、アコーディオンその他のサポートをしているだけの大変シンプルな演奏で、タイトル通りリンディスファーン初期の歌を歌って い る内容、'72年のこの3作目からは'Poor Old Ireland', 'All Fall Down', 'O No Not Again' の3曲が歌われている。'Poor Old Ireland' のイントロが始まった時、私は思わずオーという声を上げたのだが、観客は特に反応無し、でライナー・ノーツを見たら、録音場所がロンドンのコンサート・ ホールだったので、ああ成程ね、と納得した訳だ。
"DINGLY DELL"の内容はというと、前2作と同じ様なものだが、B-1.はエレクトリック・トラッドそのもので、後のJack The Ladに連なる布石としては特筆すべきものである。
kettle


rab

RED PUMP SPECIAL / RAB NOAKES (1973)
WARNER BROS. K46284 (UK)
A-1. PASS THE TIME
2. AS BIG AS HIS SIZE
3. TOMORROW IS ANOTHER DAY
4. THE SKETCHER AND THE LAST TRAIN
5. DIAMOND RING

B-1. BRANCH
2. WRONG JOKE AGAIN
3. SITTIN'IN A CORNER BLUES
4. CLEAR DAY
5. FRISCO DEPOT

Produced by ELLIOT MAZER


横浜に芽瑠璃堂が一瞬存在していた時分、そこで買ったレコードです。ナッシュビル録音なのでずっとスワンプをやっているアメリカ人なのかと早合点して聴い ていましたが、本当はスコットランドのフォーク・シンガーだそうで、リンディスファーンの"Turn A Deaf Ear"と"Together Forever"は彼の作品。そういえばアラン・ハルに歌い方が似ているかもしれません。
他の作品を聴いたことがないので比較のしようがないのですが、これはとっても良いです。K. Buttrey, T. Cogbillのリズム隊がカッコいいA-1.やA-5.みたいなスワンピーな曲がありつつも、ギターだけで歌われるラストの曲(アルバム唯一のロンドン 録音)を筆頭に、言われてみれば英国人、端正な語り口が心に残る作品となっています。B-1.なんかリンディスファーンに似合いそう。ハーモニカでRay Jacksonが参加しています。
cup


barbara

DO RIGHT WOMAN & FROM THE BEGGAR'S MANTLE
/BARBARA DICKSON (2006)
VOCALION CDSML 8425 (UK)
1. Easy to be Hard
2. Turn a Deaf Ear
3. Something's Wrong
4. The Garton Mother's Lullaby
5. Dainty Davie
6. Returning
7. Do Right Woman
8. The Long and Lonely Winter
9. A Lover's Ghost
10. The Blacksmith
11. Gloomy Sunday
12. And I Will Sing

13. Witch of the Westmorelands
14. If I never, ever saw you again
15. Recruited Collier
16. The Morning Lies Heavy on Me
17. Fine Flowers in the Valley
18. Lord Thomas of Winesberry and the King's daughter
19. The Climb
20. The Orange and the Blue
21. Winter's Song

Produced by RAY HORRICKS

スコティッシュ・フォーク・シンガーの最高峰、バーバラ・ディクソン( 数年前Pickwickの編集盤で初めて聴いて、いたく感動したのです)の'70年と'72年発表の2枚のアルバムをカップリングしたCD。クセがなく清 涼感の漂う素晴らしい歌声で同時代の歌い手たちの楽曲や伝承曲を披露しています。ストリングスの響きも美しいJTの3.や、ピアノをバック に抑えた歌心が心に響くアラン・ハル作品21.、相性バッチリのアラン・テイラー作品16.など、オリジナルがどんなに素晴らしくてもそれらを軽く凌駕し てしまう程のクォリテイの高さにはただただ驚くばかりです。トラッド曲もこれまた美しく、4.では涙、5.にはウットリといった有様、情感のこもった 17.もいいですね。そんな歌声を支えるのは重鎮アーチー・フィッシャー、2.の作者でもあるラブ・ノークス、はたまたフィドルでニック・ジョーンズと いった人々。後年女優やポピュラー歌手として英国では広く知られることになるそうですが、11.あたりではその片鱗も垣間見えたり、あと何となくカレッ ジ・フォーク的な品の良さも魅力のひとつです。とまぁ、褒めるところしか見当たらないので、これは買うっきゃないでしょう。
cup


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Lindisfarne Live: The Definitive Edition  (2005) 
VIRGIN 0946 3 38081 26 / CHCCD7 (EU)
1. Intro
2. Together Forever
3. No Time To Lose
4. January Song
5. Meet Me On The Corner
6. Alright On The Night
7. Train In G Major
8. Scotch Mist
9. Lady Eleanor
10. Knacker's Yard Blues
11. Fog On The Tyne
12. We Can Swing Together
13. Jackhammer Blues
14. Clear White Light

C0-Produced by ROY THOMAS BAKER / MICKY SWEENEY

'73年発表のライブの拡大版CD。'71年12月、地元ニューカッスルでの録音だそうです。(何故かエレキのイントロで始まる)5.の前置きで、次のシ ングル、みたいな紹介の仕方をしているので、まだそれほどの人気があるという訳でもなかったのでしょう、後年の大盛り上がりのライブと違ってお客さんも最 初はおとなしめ、ゆったりと演奏が進行していきます。エンディングが適当だったり、アランのヴォーカルがヨレヨレになったりと、ラフでルーズな雰囲気がい かにも70年代初頭。そんな中、9.では意外に集中した演奏とヴォーカルが印象的です。圧巻はやはり17分にも及ぶ"We Can Swing Together"ですかね、思いつくままに色んな曲を延々と吹き続けるRay Jacksonのハーモニカ・ソロ、小学校の音楽の時間とか思い出し、何とも楽しく懐かしくなってきます。間にベース音を入れる昔風の吹き方をしています が、これがなかなかできないんですね。
Lindisfarne The Official Web Site
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JACK THE LAD
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