WORKING FOR THE YANKEE DOLLAR


jazz

JAZZ / RY COODER (1978)
Warner Bros. BSK 3197 (US)
A-1. Big Bad Bill Is Sweet William Now
2. Face to Face That I Shall Meet Him
3. Pearls/Tia Juana
4. Dream
5. Happy Meeting in Glory

B-1. In a Mist
2. Flashes
3. Davenport Blues
4. Shine
5. Nobody
6. We Shall Be Happy

Produced by RY COODER and JOSEPH BYRD


演奏自体はとりたてて夏向き、というわけではないようですが、バハマのギタリストであるジョセフ・スペンスの2曲に挟まれたA-2.〜A-5.の流れは正 に極楽音楽、やはり夏に聴きたいと思わせてくれます。名演名曲満載の"Paradise & Lunch"収録曲の中でも、ホーンのアレンジがゴスペル・ムードをひときわ盛り上げていた'Jesus on the Mainline'の発展形でしょうか、スペンスの全3曲はいずれもブラス・バンド風にアレンジされていて、Mandobanjoとか Cymbalumといった聞き慣れない名前の楽器の固めの音色が耳に心地よく響きます。海にプカプカ浮いているような気持ち良いリズムのA-3.、引き摺 るようなセカンド・ライン・ビートが気怠い夏のニューオリンズを思い出させる(行ったこと無いけど^^)A-4.あたりがやはりベスト・トラックでしょう か。 極上のグッド・タイム・ミュージック(いつもながらスライドがカッコいい)に仕上がったA-1.はエメット・ミラーという歌手の曲、あの 'Lovesick Blues'のオリジナルを歌った人でもあるそうです。
A面に比べるとB面の夏向き度は若干下がりますが、ヴァイブの響きが印象的なアレンジの妙が楽しめます。本人は失敗作と断言しているようですが、「ニュー オリンズとカリブの島々をつなぐもう一つのジャズ」、何とロマンティックなコンセプトなのでしょう。
cup


xalypso

GOLDEN YEARS OF CALYPSO 1931 -1945
MCA MVCE-24077 (1998 JP)
1. SWEET PAPA WILLIE - WILMOTH HOUDINI
2. BLACK BUT SWEET - WILMOTH HOUDINI
3. HISTORY OF CARNIVAL - ATTILA THE HUN
4. POMME MAJAIS - ATTILA THE HUN
5. WOMAN WILL RULE THE WORLD - ATTILA THE HUN
6. BODY LINE - KING RADIO
7. MAN SMART, WOMAN SMARTER - KING RADIO
8. ADVANTAGE - MUSSOLINI - THE LION
9. WAR - KING RADIO, THE TIGER and THE LION
10. WE AIN'T 'FRAID NOBODY - KING RADIO and THE LION
11. ZINGUE TALALA - ATTILA THE HUN
12. ROOSEVELT IN TRINIDAD - ATTILA THE HUN
13. OUT THE FIRE - THE LION
14. OLD LADY - THE LION
15. BA BOO LA LA - THE LION
16. THE STRIKE - ATTILA THE HUN
17. ARCHI BOLAY - ATTILA THE HUN
18. MATILDA - KING RADIO
19. WHERE IS MY SISTER THIS MORNING? - THE LION
20. HARLEM NIGHT LIFE - WILMOTH HOUDINI
21. WOOPSIN - THE LION
22. WOMAN IS NOT WEEKER SEX - ATTILA THE HUN
23. THE RED CROSS SOCIETY - ATTILA THE HUN
24. UGLY WOMAN - THE LION
25. RAM AND COCA-COLA - WILMOTH HOUDINI
26. THE CALYPSO WAY - WILMOTH HOUDINI

Produced and Compiled by TOYO NAKAMURA


ニューオリンズに上陸したカリブ海の音楽がアメリカ本土でチャンプルーされた後、カリブ海に還流して行った先の一つがトリニダードのカリプソ、いわゆるダ ン スのリズムではなく、新聞の三面記事(時には政治、社会面)的な内容を歌ったユーモラスで忌憚のない歌詞に特徴があるといわれています。フォークやブルー スと似通った部分もあるようで25.を筆頭にアメリカ本土でも当時から結構人気があったらしく、ライ・クーダーもこのCDの5.や12.を採り上げている 他、ロ バート・パーマーも7.を完全リトル・フィート・スタイルでカヴァーしています。
ちょっと聴くとデキシーランド・ジャズみたいな演奏なのでとっつきやすいのですが、周辺の島々の民謡を流用したり、コーラスがコール・アンド・レスポンス の形式 だったり、時々スティール・ドラムみたいな音が聞こえてきたり、おおらかでごった煮風な雰囲気が心和みます。8.はイタリア軍のエチオピア侵攻に関する 歌、16.は検閲制度に抗議する内容だそうです。
cup

sparrow

THE MIGHTY SPARROW SINGS
TRUE LIFE STORIES OF PASSION, PEOPLE & POLITICS

MACE M10002 (US)
A-1. THE VILLAGE RAM
2. OLD MAN AND DONKEY
3. YOU DON'T LOVE ME
4. HARRY, ELAINE & MAMA
5. CALYPSO TWIST

B-1. KENNEDY & KHURUSCHEV
2. MARTIN LUTHER KING
3. CASTRO EATING BANANA
4. THE SLAVE
5. THE DEATH OF KENNEDY

Produced by NATIONAL RECORD CO. TRINIDAD BRITISH WEST INDIES


カリブの海を背景にした鯔背な立ち姿のジャケだけでもうノックアウトされてしまいますが、名作A-1.を始めとして、まろやかなホーンの音色とスパローの しなやかで幅広いヴォーカル・スタイルが楽しめる最高のアルバムです。曲のタイトルから推測すると60年代前半の録音でしょうか、アレンジや演奏スタイル が随分と洗練されている印象で、多くの曲がダンス・ミュージックのように気持ちよく聴けますが、異色なのは、無国籍風なホーンのメロディとパーカッション が妖し気なマイナーな曲調のB-4.、あとちょっとJBみたいにシャウトしているライブ録音のB-1.かな。「キング牧師を大統領に」と歌われるB-2. など 次の大統領選挙のキャンペーン・ソングにちょうど良いのでは?いかにもカリプソ的、時事的なB-5.では、equality, humanity, charity等の韻の踏み方がちょっとボブ・マーリーに似ていたり。B-3.のタイトルを見ると、かの首相の姿が浮かんで思わずニンマリしちゃいます。
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clang

Clang of the Yankee Reaper / Van Dyke Parks (1975)
Warner Bros. BS 2878 (US)
A-1. Clang of the Yankee Reaper
2. City on the Hill
3. Pass That Stage
4. Another Dream
5. You're a Real Sweetheart

B-1. Love Is the Answer   
2. Iron Man   
3. Tribute to Spree   
4. Soul Train   
5. Cannon in D

Produced by ANDREW WICKHAM and TREVOR LAWRENCE


前作"Discover America"に引き続いてのカリプソ大会。各曲の詳細についてはよくわからないのですが、A-3.はスパロー、B-3.、B-4.はロード・ キチナー の作品のようです。アレンジを他の人にまかせたためでしょうか、ケルトナーやジェシ・デイヴィスなどおなじ みの顔ぶれによる演奏は(前作のネチっこい雰囲気 とは一転して)小ざっぱりとしていて明快なサウンド、特にB面は重厚なホーンの響きと軽快なスティール・ドラムがやたらと賑やかな作風で思わずウキウキし てしまいます。B-3.の歌詞では、スティールバンド誕生のいきさつを解説してくれるというおまけまで付いてたりして。
反面、いつになく真摯な歌声が印象的なA-2. など、今でいう格差社会をテーマにした歌だったりするのでちょっと油断ならなかったりもします。その前のA-1.は唯一のオリジナル曲ですが、この曲だけ はロックな感じ、シンセ、女声コーラスを配して、ゆったりと雄大に 'The good old days are dead'と歌われています。収奪者たちの残響はもう聴こえてこないのかどうかは定かではありませんが、ファンファーレとファンクをくっ付けたようなラス ト 曲の 騒々しさ(有名なパッヘルベルのカノン、ではないらしく、しかもカノンがキャノンになっている)は、もしかしたら冒頭の曲と呼応しているのかもしれませ ん。
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