HOLLYWOOD BLUES


moments

Moments / Boz Scaggs (1971)
Columbia C 30454 (US)
A-1. We Were Always Sweethearts
2. Downright Women
3. Painted Bells
4. Alone Alone
5. Near You

B-1. I Will Forever Sing (The Blues)
2. Moments
3. Hollywood Blues
4. We Been Away
5. Can I Make It Last

Produced by GLYN JOHNS

いかにも米国音楽然とした音楽家の作品の中にも、ロンドンに持ち込まれグリン・ジョーンズの手によってリミックス作業が行われている例があることは少々意 外ですが、ボズのこ の作品も録音はシスコ、ミックスはアイランド・スタジオ。
これ、ジョーンズの手がけたアルバムの中では少々傾向を異にするように思われます。B-1.やB-3.などのR&Bテイストはそのままですが、ス トリングスを導入したスウィートで明るいイメージの作風が目立つのが特色。前作の南部的土臭さとは大違いですが、これがまたいいんですねぇ。軽快なリズム が心地よい冒頭曲、ピアノとフルートが活躍する ボサノヴァのA-2.、導入部バロック調のストリングからゆったりと始まるメロディの美しいA-3.、と続く流れは素晴らしい。最後のB-5.は何故かイ ンスト曲なので すが、中国/アジアを連想させる摩訶不思議な曲、芯のあるストリングスの音色が好印象です。当時構想がなかなかまとまらなかったというボズですが、多彩な アイデアを一枚のアルバムに上手くまとめることができたのは、プロデューサーの役割も大きかったのでしょう。
cup


eagles1

Eagles (1972)
ASYLUM SD5054 (US)
A-1. Take It Easy
2. Witchy Woman
3. Chug All Night
4. Most of Us Are Sad
5. Nightingale

B-1. Train Leaves Here This Morning
2. Take the Devil
3. Early Bird
4. Peaceful Easy Feeling
5. Tryin'

Produced and engineered by GLYN JOHNS


「ホテル・カリフォルニア」という曲を、只のチャラチャラしたウェスト・コースト・ミュージックです、と紹介したラジオのアナウンサーの言葉に呆然とした ことがある。その元凶になったのが、やはりA面の1曲目に登場する「テイク・イット・イージー」のイメージによるところ大だと思う。極私的に言って、この ファースト・アルバムはA-1.とB-4.があればそれだけで十分だ。この曲によってジャクソン・ブラウンの存在に到達したA-1.、B-4.は後に出る 'Tequila Sunrise'、'Lyin' Eyes'、'New Kid in Town'などのホノボノ路線的な曲の一番手にあたること。以上の2点だけで事足りる。
グリン・ジョーンズがプロデュースした初期2枚のアルバムがロンドンで録音されていることは一考に値する。もしも米国で録音されたとしたらどうなったろう か、などと考えると面白いね。
kettle


eagles2

Desperado / Eagles (1973)
ASYLUM 7559-60627-2 (GER)
1. Doolin-Dalton
2. Twenty-One
3. Out of Control
4. Tequila Sunrise
5. Desperado
6. Certain Kind of Fool
7. Doolin-Dalton [Instrumental]
8. Outlaw Man
9. Saturday Night
10. Bitter Creek
11. Doolin-Dalton/Desperado (Reprise)

Produced by GLYN JOHNS

USLP : ASYLUM SD5068


再びロンドン、今度はアイランド・スタジオでの録音。アナログ盤ではもや〜っとした感じがどうしても拭えなかったセカンド・アルバムですが、本CDでは、 ステレオ感の強いドラムス、あるいはリヴァーヴを深めに利かせつつ音の隙間を生かして広がりと奥行きを演出する手法など、エンジニアリングの狙いめがより はっきりと感じられるようになっています。ライブ録音のような瑞々しさを湛えた名曲5.での素晴らしいストリングス・アレンジも、より効果的に響いてきま す。3.や6.など音が塊で聞こえてくるようなハード・ロックあり、バーニー・レドン(彼以外のメンバーはジョーンズの方針に不満を持っていたようです) のアコースティックな質感が素晴らしい4.や10.があり、といった具合に、楽曲面でも振り幅が大きくなっています。9.は後年のライブ盤でも収録されて いたドリーミーで、哀愁感漂う隠れ名曲、また初来日の折にも感動的に演奏された11.で「ならず者」のメロディが反復されると、いつもウルウルッときてし まいます。
この後、いかにもマルチ・トラック、産業ロックの手本のような(否定的)扱いを受けてもいるビル・シムジクの音作りに移行してゆくことになるイーグルスで すが、重層構造のギター・サウンドなど、バッファロー・スプリングフィールドの継承者と言う見地から、次作以降の評価も再考の余地があるように思います。 しかし、長く聴き続けられるエヴァーグリーンはやっぱりこちら、陰影に富んだ、英国的ともいえるサウンドでしょう。
cup


nutty

At Home / Lambert & Nuttycombe (1973)
FALLOUT FOCD2058 (US)
1. Morning
2. Time
3. Bird Song
4. My Own Beat
5. Something on My Mind
6. Mouse
7. Ode to Drugan
8. Putting Myself Together Again
9. Mr. Bojangles
10. Country Song
11. Heaven Knows (Where I've Been)
12. Clover


Production: Dave Anderle, Chad Stuart, Glyn Johns


ちょっとキャット・スティーブンスを思い出すワルツ曲1.やハミングがストリングスみたいに聴こえる11.などを聴いて、このデュオが、米国の、それもカ リフォルニアを中心に活動していたグループだ、と言い当てられる人は少ないのではないでしょうか。暖炉の横、ソファでうつむき加減にギターを爪弾く内ジャ ケの二人の写真そのままのホーム・レコーディングだそうで、低体温というべきか、内省的な佇まいがアルバム全体を支配していて、ミステリアスな雰囲気さえ 漂う作品になっています。短めの曲が12曲、中にはラヴィン・スプーンフルを思わせる4.とか有名曲9.のカヴァーなど、まぁフツウな曲もあるにはあるの ですが、アメリカン・ロック最良の時期とも言われる1973年にあって、まるでエアポケットの如く存在感を示しているようです。制作に名を連ねるグ リン・ジョーンズはエンジニアとしてもクレジットされています。ギター2本と二人のヴォーカルだけの演奏、オフ気味に録られているギターの音色は何とも柔 らかい広がりを感じさせます。
cup

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