LAID BACK DAYS


moments

His Band and the Street Choir / Van Morrison (1970)
WARNER BROS. WS 1884 (US)
A-1. Domino
2. Crazy Face
3. Give Me a Kiss (Just One Sweet Kiss)
4. I've Been Working
5. Call Me Up in Dreamland
6. I'll Be Your Lover, Too

B-1. Blue Money
2. Virgo Clowns
3. Gypsy Queen
4. Sweet Jannie
5. If I Ever Needed Someone
6. Street Choir

Produced by VAN MORRISON

ヴァン自身が影響を受けたR&Bを彼なりに消化して、新しく出来たブルー・アイド・ソウルの佳曲が収められたのがこのアルバムだ。R& Bを下地にしたゴキゲンなサウンドが溢れ出している。このアルバムを一聴するとアコースティックな感じをすごく受ける。各曲で響いているアコースティッ ク・ギターの音が大変心地よいのが特徴だろう。B-1.の最初にカッティングされるリズム・ギターなど、ヴァンの楽しそうな気分を盛り上げていることは間 違いない。別のところで採り上げたダーク・ハミルト ンのデヴュー・アルバムにも言えるが、「オレはアコースティック・ギターが好きなんだ」という想いが両者にあると言えると思う。このアルバムや "Moonndance"、"Tupelo Honey"あたりは、ヴァンが本当に楽しんでプレイしていて、穏やかな表情が浮かんできそうだ。
kettle


tupelo

Tupelo Honey / Van Morrison (1972)
WARNER BROS. WS 1950 (US)
A-1. Wild Night
2. (Straight to Your Heart) Like a Cannonball
3. Old Old Woodstock
4. Starting a New Life
5. You're My Woman

B-1. Tupelo Honey
2. I Wanna Roo You (Scottish Derivative)
3. When That Evening Sun Goes Down
4. Moonshine Whiskey

Produced by VAN MORRISON AND TED TEMPLEMAN



「新婚さんいらっしゃい」的な三葉のツーショット・ジャケット写真に若干ムカッとすることはあるんですが、コレ嫌いな人はいないんじゃないの、と思えるほ どに 何とも穏やかで安らぎに満ちた作品集。スティール・ギターとホーン・セクションの絡みが絶妙なヒット曲「ワイルド・ナイト」こそR&B系統です が、 マンドリンも登場するカントリー・ワルツのB-2.とか、ザラッとしたリズム・ギターの音色がイイ感じのA-4.などなど、カントリー、と言い切ってしま えるほど開放的かつ土臭いサウンドの曲が並びます。いかにも西海岸的なテッド・テンプルマンの乾いた音作りが、演奏陣の楽し気な演奏と相俟ってヴァンの情 感のこもったヴォーカルを上手く引き立てています。A-3.もタイトル通り幸せな生活を連想させてくれますが、カントリー・ワルツのA-2.、B-1. (She's an angelのコーラスは思わず口ずさんでしまう)でのフルートのクラシカルな響きは、故郷アイルランドへの憧憬、といえるでしょうか。美人の奥さん、ジャ ネット・ プラネットもバック・コーラスで参加しています。
cup


eagles2

You Can Sing on the Left or Bark on the Right / Dirk Hamilton (1976)
abc ABCD-920  (US)
A-1. Sweet Forever
2. Waterfall
3. Little Big-Time Man
4. She Don't Squash Bugs
5. I Got to Feelin'

B-1. Sweet and Cold
2. Wasn't That One Night Good
3. Grow a Rose
4. When She Kiss Ya' Like She Love (Ya' Know She Do)
5. Ridin' on a Whale

Producer : GARY LATZ



このアルバムを初めて聴いたときには、全てが新鮮に聴こえた。全編を通してのアコースティック感、少ししわがれてしかも高い声も結構出せるヴォーカル、目 立たない程度に使われるベース、ドラムス、エレキギター、どれもが好感を持てるものだった。'76年当時は様々なシンガー・ソングライターが出てきて少し 食傷 気味だったけれど、この人は一歩先に出ていた気がする。その要因はやはり声の質と、アコースティック・ギターの使い方であろう。声質は一筋縄ではいかない タイトでクールな質感があるし、ほとんどの曲で弾いているアコースティック・ギターはテンションの高い緊張したストロークで曲にアクセントをもたらしてい る。今聞き直してみても、ヴォーカルがやはり良いと思う。声の質が私にとってとてもフィットするところが、このアルバムの魅力的な所以であろう。
kettle


nutty

The Wild, the Innocent & the E Street Shuffle / Bruce Springsteen (1973)
columbia PC 32432 (US)
A-1. E Street Shuffle
2. 4th of July, Asbury Park (Sandy)
3. Kitty's Back
4. Wild Billy's Circus Story

B-1. Incident on 57th Street
2. Rosalita (Come Out Tonight)
3. New York City Serenade

Produced by MIKE APPEL amd JIM CRETECOS

'Born to Run'では"Astral Weeks"の中のメロディを流用してみたり、ライブにおいては「ムーンダンス」をインストで演奏したりと、ボスのヴァン・モリソン好きは有名かもしれま せんが、 R&B、ジャズ、フォークの要素を無秩序に注ぎ込んだようなこのセカンド・アルバムでも、そう思って聴くとヴァンの影響が通低音のように響いてい ます。 'E Street Shuffle'ではイントロからして'Domino'を思わせるギター・カッティングで格好良く始まりますが、より直接的な影響といえば「ムーンダン ス」をパンキッシュ に展開したようなA-3.、溢れ出る言葉とメロディを無理矢理封じ込めようとするように変化していくリズムと、オルガンの音色が強く印象に残ります。
ボスの作る歌詞はネイティブの人でも感覚を掴むのがなかなか難しい地域性のようなものがある、とよく言われますが、ストリート・ライフの断面を切り取った ようなB- 1.の気怠い ムードから一転始まる「ロザリータ」、'Domino'とフォーク・ロックの混じり合ったような演奏ですが、こちらのアレンジはしっかりとこなれた印象。 エン ディングが適当だったり、ワーッと集まってガーッと作っちゃった、みたいなやりっ放し的雰囲気のアルバムですが、この時期のスプリングスティーンの混沌と したエネルギーがストレートに伝わってきます。
cup


fools

Astral Weeks / Van Morrison (1968)
WARNER BROS. WS 1768 (US)
Part One : In The beginning
1. Astral Weeks
2. Beside You
3. Sweet Thing
4. Cyprus Avenue

Part Two : Afterwards
1. Way Young Lovers Do
2. Madame George
3. Ballerina
4. Slim Slow Slider

Produced by LEWIS MERENSTEIN

以前このアルバムについて書いたことがあって、そこでは、これがロックと云うものです、と躍起になって持論を展開していた訳だが、後にヴァン自身がこのア ルバムについて一言、「これはジャズだよ」と素っ気なく言ったことで、私は何のためにあんなに労力を尽くしたのか、と頭を抱えてしまったことがあった。
おっしゃる通りこれはジャズ・アルバムで、しかも次から次へと歌詞が飛び出してきて、「意識の流れ」を感じさせる実験的な作品となっている。このホー ムページの編集者と話していた折、これはブルース・スプリングスティーンのデビュー・アルバムに近いものがある、ボスは第二のディランじゃなくて、第二の ヴァン・モリソン?、みたいな話になったのだが、はてさて、どっちも違うような気がする。かといって英語が分からないので歌詞の内容を比較することも出来 ないが、 まぁ三者三様ということにしておきましょうか。
kettle

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