FUN TIME


miller

Frankie Miller's High Life (1974)
Chrysalis CHR 1052 (US)
A-1. High Life
2. Play Something Sweet (Brickyard Blues)
3. Trouble
4. A Fool
5. Little Angel
6. With You In Mind

B-1. The Devil Gun
2. Ill Take A Melody
3. Just A Song
4. Shoo-Rah
5. Im Falling In Love Again
   With You In Mind (Filler)

Arranged and Produced by ALLEN TOUSSAINT

トゥーサンがプロデュースした英国勢の作品の中でもひときわ輝くフランキー・ミラーのセカンド・アルバム、ベース・ラインを基調に煽るようなホーン・アレ ンジが重なるA-4. などを聴くと、ミーターズをバックにしたニューオリンズ 録音かと思ってしまいますが、実際はジョージア州アトランタで地元のミュージシャンをバックに作られたものだそうです。ジョージア州といえばオーティス・ レ ディング誕生の地でもありますが、言われてみれば全体にサザン・ソウル・テイストが加味されているようで、くすんだ音像の味わい深い作品に仕上がっていま す。 トゥーサン作品のA-6.は情感のこもった名曲名唱、B-2.はジェリー・ガルシアのアルバムで初めて聴きました。ジェリーのフニャフニャ・ヴォーカルも いいん ですが、ここでは芯の通った溌剌とした歌声が聴かれます。自作曲にも負けない作品が多く、前作の路線をファンキーに展開したようなA-3.なんかオルガン がカッコいいです。時々ヴォーカルがフリーのポール・ロジャースみたいに聴こえる所がありますが、そういえば一時期アンディ・フレイザーと一緒に曲を作っ たりも していま したね。病気で倒れて以来活動は休止状態らしいですが、また元気な歌声を聴かせてもらいたいものです。
cup


smith

A GOOD FEELIN' / WILLIAM D. SMITH (1976)
Warner Bros. BS 2911 (US)
A-1. I'll Be Rolling (With The Punches)
2. Down The Back Stairs (Of My Life)
3. We Flew Away
4. I Feel So Good With You (Baby)
5. Harmony Junction

B-1. We All Wanna Boogie
2. I Apologize
3. What Am I To Do (If You Say Goodbye)
4. Fooled Ya
5. Take Your Pick (Do Your Trick)

Produced by ALLEN TOUSSAINT


Sea-Saint Studioで録音されたレコードの多くは、リズム・セクションの質感にどこか暖かみが感じられるので、聴いていて疲れない。デヴィッド・リンドレーや ライ・クーダー 他様々なレコードに登場するキーボード奏者、スミティ・スミスのソロ作品は、タイトル通りナイスな逸品です。資質がトゥーサンによく似ていること あって演奏陣との相性も問題なし、トゥーサンの作品と自作曲が仲良く半々といった構成で、前半はスローな曲が続きますが、油断すると凡庸になりがちなス トレートなメロディのA-3.など、丁寧なアレンジでただのポップスに終わらせないところは流石です。B面にゆくとリズムものが並びますが、ベース・ライ ンを基 調にコーラス、ホーンが絶妙に絡み合うB-2.なんかは聴きごたえあり、隠し味的に使われるアコースティック・ギターもイイ。ラストは(多分ジェームス・ ブッ カーの)オルガンを中心にした半インスト、ミーターズをよりタイトにしたような演奏が聴かれます。
cup

allen2

MOTION / ALLEN TOUSSAINT (1978)
Warner Bros. K 56473 (UK)
A-1. Night People
2. Just a Kiss Away
3. With You in Mind
4. Lover of Love
5. To Be With You

B-1. Motion
2. Viva la Money
3. Declaration of Love
4. Happiness
5. The Optimism Blues

Produced by JERRY WEXLER

"Southern Nights"に続くアルバムは、ジェリー・ウェクスラーのプロデュース、どういうわけかヴォーカル・パート以外は西海岸での録音。なので、音作りも演奏 陣もハリウッド的、端正で揺れの少ないリズム・セクションのせいか、テンポの速いナンバーは若干ミスマッチかな、とも思いますが、その分ヴォーカルの滑ら かさや楽曲の魅力が引き出されているようにも思います。そんな中でも、A-2.のエレピのシンコペーションとか、スローなAOR風味のB-1.での漂うよ う な微妙な揺れが、ニューオリンズ的ムードを醸し出しています。
"Night People"の出来はやっぱりリー・ドーシの方に軍配が上がるかな。名曲A-3.のセルフ・カヴァーもありますが、フランキー・ミラーのヴァージョンと 比較しても、どちらが白人のシンガーなのか分からないですね。この曲を含め数曲にエッタ・ジェイムスやボニー・レイットが参加していますが、特にボニー姉 さん、声がでかい!
cup


cocker

Luxury You Can Afford / Joe Cocker (1978)
ASYLUM 6E-145 (US)
A-1. Fun Time
2. Watching The River Flow
3. Boogie Baby
4. A Whiter Shade Of Pale
5. I Can't Say No
6. Southern Lady

B-1. I Know (You Don't Want Me No More)
2. What You Did To Me Last Night
3. Lady Put The Lights Out
4. Wasted Years
5. I Heard It Through The Grapevine

Produced by ALLEN TOUSSAINT

トゥーサン制作にしては、マッスルショールズの面々をはじめ、スタッフ、レイ・チャールス関係者、ドクター・ジョン、リック・ダンコ、果てはダニー・ハザ ウェイまで加わったお祭り的アルバム、とはいえ一本筋の通ったクールな作品に仕上がっています。いかにもトゥーサンなイントロでは始まるA-1. はシー・セイントでの録音でしょうか。他の曲はバリー・ベケットがアレンジしていたりするのでちょっとばかり色合いが違いますが、ところどころニヤリとさ せら れるキーボードのフレーズやコーラスなどが挿入されたりします。どの曲もヴォーカルの味わいは格別ですが、パーシー・スレッジをロック・テイストで再演し たようなマッスルショールズでのA-4.とか、サビでグッと盛り上がるB-3.などバラードの出来が特によろしいようで。B-5.でのリック・ダンコ、ロ ジャー・ホーキンスによるリズム・セクションにも注目。
cup


palmer

Sneakin' Sally Through the Alley / Robert Palmer (1974)
ISLAND ILPS 9294 (UK)
A-1. Sailin' Shoes
2. Hey Julia
3. Sneakin' Sally Through the Alley
4. Get Outside
5. Blackmail

B-1. How Much Fun
2. From a Whisper to a Scream
3. Through It All There's You

Produced by STEVE SMITH



ワンマン・リトル・フィートのロバート・パーマーさん、このアルバムでは、トゥーサン作品を2曲カヴァーしております。時々入ってくるホーンのアレンジと かA-1.でのエレピの使い方などはいかにも、と思わせますが、実際はトゥーサン本人の参加はなく、ローウェル・ジョージの仕切りで録音されたものと言 われています。アルバムにクレジットがないのでアレなのですが、確かに多くの曲でスライド・ギターが聴かれますし、ビル・ペインっぽいピアノの入ったA- 4.や、「ディキシー・チキン」的なB-1.は全くのリトル・フィート・スタイル。ただしミーターズ参加のシー・セイント録音も何曲かあるらしく、ベース は もちろん、バスドラ/ハイハットの強烈な長尺ファンクB-3.などは、オルガンも効果的、それらしき匂いを漂わせています。ベース・ギターを使って作曲 していたというパーマーさん、A-3.では英国勢らしい熱いヴォーカルも披露していますが、比較的ストレートなA-5.でも急に変拍子が入ってきたり、 ファンキーというか、妙に耳に残る女声 コーラスのA-2.とか、やっぱりこの人、変わっています。
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claudia

PHEW / Caudia Lennear (1973)
Warner Bros. K 46204 (BS 2654) (UK)
A-1. It Ain't Easy
2. Sing With The Children
3. Sister Angela
4. Not Atall
5. Casey Jones

B-1. Goin' Down
2. From A Whisper To A Scream
3. Everything I Do Gonna Be Funky
4. What'd I Do Wrong
5. Goin' Down


Produced by IAN SAMWELL

ブラウン・シュガーなお姉さん、クラウディアさんのソロ作品は、A面がスワンプ・サイド、B面がトゥーサン・アレンジのファンク・サイド、というように ちょっと変則的。チャック・レイニー、ケルトナーのリズム・セクションにトゥーサンやスミティ・スミスらが絡むという、珍しい取り合わせで聴かせるB面 はメドレー形式となっていますが、彼女の少しハスキーで開放的なヴォーカル・スタイルはどちらかというとロック的です。そんなわけで普段のトゥーサン・ス タイルと は若干手触りが違うとも言えますが、B-2.のピアノの跳ね具合、奥からせり出してくるようなホーン・セクションとベース・ラインの面白さが特色のB- 4.など、 相変わらずツボは外していません。ギターがカッコいいB-3.、タイトル共々グッときます。ちなみにA面の方は、ジム・ディッキンソンを中心にラフ&ワイ ルドなスワンプ・ロックで迫ります。ディッキンソンのアトランティックでのソロ作品の雰囲気に近いかな。A-1.のイントロからすぐにそれと分かるラ イ・クーダーのスライドも前開、全編弾きまくりです。
cup


sandy

SANDY/ Sandy Denny (1972)
A6M SP 4371 (US)
A-1. It'll Take A Long Time
2. Sweet Rosemary
3. For Nobody To Hear
4. Tomorrow Is A Long Time
5. Quiet Joys Of Brotherhood

B-1. Listen, Listen
2. The Lady
3. Bushes And Briars
4. It Suits Me Well
5. The Music Weaver

Produced by TREVOR LUCAS

CD : ISLAND IMCD 314 (EU)

実質的なソロ・デビュー作品である"The North Star Grassman and the Ravens"において、聴く者に対して極北の地に至らしめるような感覚を与えたサンディの2作目がこの作品。これ以後作られた彼女のアルバムは当時は不 評で、私もなかなか買う気になれなかったのだが、何かのきっかけでソロ・アルバムを全部集めることになった。
この作品はスティール・ギターがフィーチャーされたり、ストリングスがバックを埋めたり、A-3.ではトゥーサンがブラス・アレンジで参加しているなど、 アメリカ志向の強いサウンドになっている。ハッキリ言えばこのA-3.は失敗作だと思う。トゥーサンのアレンジはいつものように整ってはいるのだが、サン ディの掠れ声とは水と油のように溶け合っていない。プロデューサーであるトレヴァー・ルーカスのポップに仕上げようという考えが見え見えで、デニーの個性 が埋没しているようにも思える。評判が悪かったのは、この辺りのことが関係しているのだろうと改めて思った次第だ。
kettle

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