Bring It All Back Home


someday

Somebody / Connie Dover (1991)
TAYLOR PARK MUSIC TPMD-0101 (US)
1. Somebody
2. The Baron O' Brackley
3. On Castle Rock
4. Lough Erne's Shore
5. Jack of Diamonds
6. Cantus
7. An Air for Mary Tipton
8. O'er the Hills and Far Away
9. Shenandoah
10. Rosemary's Sister



何の予備知識もなく全く知らないレコードを買った場合、失敗することがほとんどだが、"Songs of Scotland, Ireland and Early American"というサブタイトルが動機になり、中古で安価だったためこのCDを手にしたら、何とこれが大当たり、新しい歌姫を発見することとなっ た。アルバムの内容はトラッドが多いのだが、3曲目と7曲目が自作のインスト、彼女自身は楽器を弾いているわけではないが、この2曲の配置がアルバムの統 一感を保っていて、作品の完成度を高めている。私が一番気に入っている曲は5曲目で、彼女の簡素なライナーに依ると、19世紀アメリカ、南ミズーリで生ま れた歌で、メロディはスコットランドの'Farewell to Tatwathie'が使われている、となっている。英国録音なので、彼女もてっきり英国人だと思っていたが、あとで米国人だと分かりビックリしました。
kettle


wishing

The Wishing Well / Cnnie Dover (1994)
TAYLOR PARK MUSIC TPMD-0201 (US)
1. In Aimsir Bhaint an Fhir (At Hay-Cutting Time)
2. Laddie, Lie Near Me
3. Hugh the Graeme
4. Siúil a Rúin
5. Weston
6. Where Shall I Go? (A Cowboy's Hard Times)
7. Ubi Caritas
8. Willie of Winsbury
9. The Colorado Trail
10. The Wishing Well
11. Summer Before the War

Produced by PHIL CUNNINGHAM

経歴をちら見したところに依ると、コニーさんはイングランド、スコットランド/アイルランド、そしてメキシコ、チェロキーの血統を受け継ぐハイブリッドだ そうですが、こちら2枚目のアルバ ムにはフェアポート絡みの曲が2曲、3.は'Sir Patrick Spence'と同じメロディ、スコットランドのトラッドみたいですが、(2002年版CDで聴ける)サンディ・デニーのくぐもったようなヴォーカルとは 対照的に、ここでは伸びやかな歌声が印象に残 ります。8.はリチャード・トンプソン作'Farewell Farewell'の原曲だと思われますが、やはりスコットランド起源、長尺にもかかわらず清涼さを失わない演奏です。またアイリッシュ・トラッドで、 Clannadなども演っている4.は、ご存知PPMの「虹と共に消えた恋」の元ネタとされているもので、伝承曲らしい丁寧な 唱法が感動を呼びます。スコットランドはエジンバラでの録音、米国人女性とは信じられないような選曲、演奏が続きますが、聴き進むうちに、どことなく乾い た感性のようなものが仄かに感じられたりもして、繰り返し聴きたくなる魅力に溢れています。
cup


son

Son of the Wind / Arlo Guthrie (1991)
Rising Son RSR0003 (US)
1. Buffalo Gals
2. Dead or Alive
3. Streets of Laredo
4. Ridin' Down the Canyon
5. South Coast
6. Shenandoah
7. The Gal I Left Behind
8. When the Cactus Is in Bloom
9. Woody's Rag/Hard Work
10. I Ride an Old Paint
11. Utah Carroll
12. Red River Valley

Co-Produced by Arlo Guthrie and David Grover


コニー・ドーバーの"Somebody"で「シェナンドー」という名曲を採り上げていたので、アーロのこのアルバムにもあったな、と思い出し、改めて聴き 直したところ、やっぱりいい曲だと感じ入った次第だ。この2作品は深いところで繋がっているように感じて今回の企画となったわけだが、アーリー・アメリカ の曲といえばアーロの得意技、昔からこの手の曲を各アルバムに散りばめてきたのだが、"Son of the Wind"の場合は特にそれが顕著であり、オリジナル曲は1曲もなく、カントリー的なノリのある演奏と、ミドル・テンポの曲調が中心となっていて、リラッ クスして聴ける曲が多い。内容的にはカウボーイ・ソングが結構入っていて、アメリカの方々を旅しているような気がしてくる。コニーの場合は英国のトラッド が中心の選曲だが、よく聴くとカントリー的な要素も混じっているような気がする。アーロのこの作品、6曲目の「シェナンドー」と12曲目「レッド・リ バー・ヴァレー」を聴くだけで昇天ものだ。
kettle

amigo

Amigo / Arlo Guthrie (1976)
REPRISE MS 2239 (US)
A-1. Guabi, Guabi
2. Darkest Hour
3. Massachusetts
4. Victor Jara
5. Patriot's Dream

B-1. Grocery Blues
2. Walking Song
3. My Love
4. Manzanillo Bay
5. Ocean Crossing
6. Connection

PRODUCED BY JOHN PILLA

先日サッカー日本代表の親善試合、チリ戦を見ながら、アジェンデ政権が倒れてヴィクトル・ハラが処刑されたのはサッカー・スタジアムだったよなぁ、などと 思い出 しました。そのヴィクトル・ハラのことを歌ったA-4.はディラン経由のスパニッシュ・テイストが感じられます。これと続く奥行きのあるストリングスが素 晴らしいA-5.などは、しっとりとした雰囲気ですが、全体はラス・カンケルを中心とするタイトなリズムと南国テイストが交錯する、明るく乾いた雰囲気の 曲が多いようです。ジャック・エリオットもやっているA-1.はレゲェというかカリブ海風、賑やかに始まりますが、B-2.のコーラスなんかもそっち系 統。この曲やA-2.なんかで聴こえるハネる感じのリズムギターが南国ムードを盛り上げます。そして白眉はやはりマリアッチ風のホーンにストリングスが心 地よいB-4.でしょうか。ファン・サービスみたく最後に入っているストーンズ・ナンバーも、リンダ・ロンシュタットをゲストにミックの声色も交え楽し く聴かせます。一皮剥けたアーロ・ガスリーのこれまた逸品であります。
cup


arlo1

Last of the Brooklyn Cowboys / Arlo Guthrie (1973)
REPRISE MS 2142 (US)
A-1. Farrell O'Gara
2. Gypsy Davy
3. This Troubled Mind of Mine
4. Week on the Rag
5. Miss the Mississippi and You
6. Lovesick Blues
7. Uncle Jeff

B-1. Gates of Eden
2. Last Train
3. Cowboy Song
4. Sailor's Bonnett
5. Cooper's Lament
6. Ramblin' Round

PRODUCED BY JOHN PILLA & LENNY WARONKER

CD : Rising Son RSRCD 2124


素晴らしい演奏陣と名曲満載のカントリー・ロックの名盤、という認識で長年聴き続けていた作品であり、まぁ実際そうなのですが、いきなりアイリッシュの フィドル・チュ−ン(しかもスライゴー・スタイルと注釈までつけて)を持ってきて、これもアイルランド起源ともいわれる伝承歌'Blackjack Davy'ゆかりのA-2.(親父さんの作品)へと続くあたり、何らかのストーリーを感じさせるようなはじまり方です。ラグタイム風のインストA-4.、 や は りアーロ自身がピアノを弾いているジミーロジャースのA-5.、ジミーとくればハンク・ウィリアムスというわけでA-6.、というようにつながってくる と、これはもう一つのディスカバー・アメリカ、混血アメリカン・ミュージックの俯瞰図みたいなコンセプトが浮かんでくるようです。B面になっても、B- 3.ではスパニッシュ風のギターがヴォーカルに絡んできますし、再度登場するフィドル・チュ−ンにもライ・クーダーのボトル・ネックが響いてくるという案 配で、そう思って聴くとジェシの素晴らしいギターワークが光るB-5.も何やら違って聴こえるようです。ちなみに、A-1., B-4.のフィドラーは、後にボシィ・バンドに参加することになるKevin Burkeです。
cup


bothy

The Bothy Band (1975)
polydor SUPER 2383 379 (UK)
A-1. Kesh Jig/Give Us a Drink of Water/The Flower of the Flock/Famous Ballym
2. The Green Groves of Erin/The Flowers of Red Hill
3. Do You Love an Apple
4. Julia Delaney
5. Patsey Geary's/Coleman's Cross
6. Is Trua Nach Bhfuil Me in Eirinn
7. The Navvy on the Line/The Rainy Day

B-1. Tar Road to Sligo/Paddy Clancy's
2. Martin Wynne's/The Longford Tinker
3. Pretty Peg/Craig's Pipes
4. Hector the Hero/The Laird of Drumblaire [Strathspey and Reel]
5. The Traveller/The Humours of Lissadell
6. Butterfly
7. The Salamanca/The Banshee/The Sailor's Bonnet

Produced by Donal Lunny and Micheal O'Domhnail

アイルランド音楽に革命をもたらしたとされるボシィ・バンドですが、実はこのレコード、海外旅行のお土産にもらったものでして、歌ものが少なく、またドラ ムレ スだったこともあって当時はイマイチその良さが分か分からなかったのでした。しかし気になるサウンドであったことは間違いなく、時たま引っ張り出して聴く うちに見晴 らしも良くなり手放せなくなりました。
このバンドの特徴はその驚異的なアンサンブルの妙にあるようです。アコースティック楽器のみの編成でこの迫力、フィドルやイーリアン・パイプなどのリード 楽器とギター、 ブズーキの奏でる低音部の響きの絡み具合、ロックの要素を大胆に持ち込んだといわれる所以かもしれません。これ一作でバンドを抜けてしまった初代フィド ラー、トミー・ピープルズのプレイは ちょっと引っかかるような独特の奏法で、B-4.やB-5.などのソロ作品では、ファンキーともいえる野性的なアタック感が感じられます。
A-6.とB-3.ではトリーナのヴォーカルが入りますが、フォーク的な素朴な歌声と、彼女の弾くハープシコードが全体の緊張感を和らげているかのよう で、 アルバムの流れも秀逸。
cup

Boots of Spanish Leather

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