TIME IS TIGHT


immortal

The Immortal Otis Redding (1968)
ATLANTIC P-6111A (JP)
A-1. I've Got Dreams to Remember
2. You Made a Man Out of Me
3. Nobody's Fault But Mine
4. Hard to Handle
5. Thousand Miles Away
6. Happy Song (Dum-Dum-De-De-De-Dum-Dum)

B-1. Think About It
2. Waste of Time
3. Champagne and Wine
4. Fool for You
5. Amen

PRODUCED BY STEVE CROPPER

オーティスの名前を知ったのは飛行機事故の時、それまでは名前さえ知らず、土曜の午後のテレビ番組(「牛も知ってるカウシルズ」で有名な)「ビート・ポッ プス」で木崎さんが熱心に説 明されていたのを何となく憶えています。しばらく経ってからヒットしたB-5.での何ともいえない歌声とトボケたようなホーンの響きが印象的で、お葬式の 曲か何かかな、などと思っていました。このアルバムに収められた曲の録音は1967年、ソングライターとしても自信を深めたオーティスの歌声と、当時ピー クに 達していたと思われるMG'sの演奏の相乗効果で独特のバネを持った素晴らしい作品が続きます。ドン・コヴェイとの共作B-1.におけるテクニカルなスタ イル や、振幅の大きなヴォーカルが印象的なA-6.、またギター中心のサウンドで迫るA-3.やアコースティック・ギターが隠し味的に使われるB-3.辺りで は 新機軸を模索していたのでしょうか。もちろん従来のサザン・ソウル・スタイルの曲も充実の出来ですが、彼の最高傑作ともいわれるA-1.の前には全てが霞 んでしまうかもしれません。あらゆる情感を内包しているかのようなその歌声は、歌詞の内容を遥かに超えて全ての人に放たれているようです。
cup


soulsister

SOUL SISTER, BROWN SUGAR / SAM & DAVE
ATLANTIC P-11236 (1982 JP)
A-1. GOODNIGHT BABY
2. I GOT EVERYTHING I NEED
3. HOLD ON I'M COMIN'
4. IF YOU GOT THE LOVING
5. WHEN SOMETHING IS WRONG WITH MY BABY
6. I CAN'T STAND UP FOR FALLING DOWN
7. SOUL MAN
8. I THANK YOU

B-1. THIS IS YOUR WORLD
2. CAN'T YOU FIND ANOTHER WAY (OF DOING IT)
3. STILL IS THE NIGHT
4. IF I DIDN'T HAVE GIRL LIKE YOU
5. SOUL SISTER, BROWN SUGAR
6. I,M NOT AN INDIAN GIVER
7. ONE PART LOVE-TWO PARTS PAIN
8. DON'T PULL YOUR LOVE


'60年代後半の洋楽ヒット・チャートはといえば、アイドルやらフレンチ・ポップス、カンツォーネにモータウン、後は各種一発屋や日本だけのヒット曲など 十把一絡 げに 括られておりましたが、そんな中でもひときわ光り輝いていたのがA-3.、サビのリフレインが最強なのと当時GSが頻繁に演奏していた印象がある曲なの で、メンフィス・サウンドと云えばオーティスよりもサム&デイブ、といった雰囲気がありましたね。スタックスがどうしたとか、アル・ジャクソンのドラムス が どうのこうの、などという話は物心ついてからの出来事でした。で、こちらの編集盤はベスト盤というよりも、シングル曲から選曲された名演集といった趣で、 B-5.やB-6.といった懐かしいスマッシュ・ヒットも含ま れて います。それにしてもスタックス時代のA面の充実ぶりは何なのでしょう。典型的なサザン・ソウルからA-3.をはさんで新感覚のサウンドが確立するまでの 流れが良く分かります。バラードはどれも「市営グラウンドの駐車場」にぴったりの名演ですが、ここでは「僕のベイビーに何か」を筆頭に挙げるべきでしょ う。コ ステロさんがアップテンポで演奏していたA-6.も捨て難い名曲です。多くの曲がステレオで聴けるので、リード・シンガーにもう一人の声が後ろからかぶさ るように聴こえる、二人のヴォーカルがより立体的に楽しめる点もグー。
cup


mgs

Booker T. and the MG's Greatest Hits
STAX MPS-8505 (US)
A-1. Hang 'Em High
2. Eleanor Rigby
3. Soul Limbo
4. Over Easy
5. Mrs. Robinson
6. Something

B-1. Time Is Tight
2. Johnny, I Love You
3. Heads or Tails
4. Meditation
5. Hip Hug-Her




中身に似合わず何とも愛想のないジャケットではありますが、これはやはりB面から先に聴くべきアルバムでしょう。「パック・イン・ミュージック」はじめ、 いろんなラジオ番組のテーマになっている事でもお馴染みのB-1.は、多分「グリーン・オニオン」の次に知られているMG'sの代表作。ベースとギターの ユニゾンのリフに続いて響いてくるオルガンのクールな感じにもう完全にヤラれてしまいます。冒頭のオルガンのフレーズを聴くといつも、パーシーフェイスの 「夏の日の恋」'The Theme From "A Summer Place"' を思い出すのですが、別にカヴァーという訳ではないみたいで、未だに謎です。他にもダンス・ミュージックの定番ともいうべきB-3.やB-5.の飄々とし たファンキーさといい、ブルージーに攻めるB-5.といい、全体に漂うクールネスには独特の雰囲気があります。A面に戻るとアル・ジャクソンが珍しくラテ ン・ビートを叩き出す2曲、マリンバも交えて賑やかなB-3.、セルジオ・メンデスを気怠くしたようなB-4.も印象的。メロディをわざとずらしているよ うなB-5.でのオルガンのソロもユーモアを感じさせてくれます。
cup

eric

A Country Dream / Eric Andersen (1969)
VANGUARD VSD-6540 (US)
A-1. (Sitting On) The Dock Of The Bay
2. All I Remember Is You
3. Deborah, I Love You
4. Devon, You Look Like Heaven
5. Eyes Gently Rolling

B-1. Just A Country Dream
2. Lovesick Blues
3. Second Time Around
4. Smashville Jam (instrumental)
5. Waves Of Freedom

PRODUCED BY JACK LOTHROP



このアルバムを友人の所に持っていったら、その友人がジャケットを見て一言、「この目は狂気の眼だな」と言ったのを思い出した。特にジャケット裏の写真は ただならぬ目付きをしていて、ニール・ヤングにも相通ずるものがある。しかしレコードの内容はと言えば、ナッシュビルの強力な面々がバックを務めていて、 ユル〜イ、カントリー・フォークのサウンドに仕上がっている。ただひたすら穏やかな"Blue River"を数年後に出し、そして'88年になって"Ghosts Upon The Road"のジャケット写真で同じような眼をした彼の風貌を見たときに、やっぱり変わっていないな、と感心した。
アルバム最後の'Waves of Freedom'を聴いたら、岡林信康の「自由への長い旅」を思い出した。Weldon Myrickのスティール・ギターがユルユルと鳴っているバックの演奏と共に、「自由」というキーワードがすべてを物語っているのかもしれない。レディン グ、クロッパー共作によるメンフィス産A-1.もナッシュビル流の解釈になっている。
kettle


yumesuke

夢助/忌野清志郎 (2006)
UNIVERSAL J UPCH-1520 (JP)
1.誇り高く生きよう
2.ダンスミュージック☆あいつ
3.激しい雨
4.花びら
5.涙のプリンセス
6.残り香
7.雨の降る日
8.THIS TIME
9.温故知新
10.毎日がブランニューデイ
11.オーティスが教えてくれた
12.NIGHT AND DAY
13.ダイアモンドが呼んでいる
14.あいつの口笛

PRODUCED BY STEVE CROPPER

山下達郎氏が尊敬する音楽家の一人が三波春夫らしいのですが、NHKの復活ライブで金ぴかの衣装で「スローバラード」を歌う忌野清志郎の姿を見た時、一瞬 そ の三波春夫さんを連想しました。後日、完全復活祭のコンサート評に北中正和さんが「日本のロックもずいぶん伝統芸能化してきた」と書いておられたのを読ん で、やっぱりな、と勝手に納得しておりました。で、このアルバム、ナッシュビル録音だろうがスティーブ・クロッパー制作だろうが関係なく、清志郎の音楽観 は微動だにしていない、どころかますます進化しつつ「和製ポップス」の王道を突き進んでいるようです。サウンド自体はドニー・フリッツやボビー・チャール スの近作に近い、典型的な南部の音作 りなのですが、歌っている日本語がはっきりと聴こえるので、メッ セージが明快、清志郎ならではの細かい言い回しやコード進行のクセなど、やはり「初期のRCサクセション」以来不変の立ち位置が見えるようです。「この世 界が平和だった頃の夢 RCサクセションが聴こえる〜〜」と歌 われる「激しい雨」は名曲、ラストを飾る「あいつの口笛」では(作曲者)細野さんの コーラス? と、スティーブ・クロッパーの口笛が深い余韻を残します。
cup

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