SEASON OF THE WITCH


hits

Donovan's Greatest Hits (1969)
EPIC PE 26439 (US)
A-1. Epistle to Dippy
2. Sunshine Superman
3. There Is a Mountain
4. Jennifer Juniper
5. Wear Your Love Like Heaven
6. Season of the Witch

B-1. Mellow Yellow
2. Colours
3. Hurdy Gurdy Man
4. Catch the Wind
5. Lalena

Produced by MICKIE MOST


「霧のマウンテン」、「西海岸で待っているスーザンに」、「天国の愛に包まれて」、ドノヴァンのシングルの邦題を並べるだけで、60年代後半の独特の雰囲 気が蘇ってくるような気がします。洋楽を聴き始めた頃、ドノヴァンはラジオでも結構人気があって、A-2.やB-1.なんかの少し前のヒット曲もよくか かっていた記憶があります。独特のいでたちや風貌とも相俟ってヒッピーの代表みたいなイメージがありましたが、やり手のプロデューサー、当時は商業主義 の権化みたいな風評もあったミッキー・モストが控えていたせいもあり、多少インチキ臭い雰囲気も漂わせていました。「サンシャイン・スーパーマン」 なんて タイトルも曲調も胡散臭いです。なので当時一番好きだった曲はA-4.、童謡のような覚え易いメロディに室内楽風なサラリとしたアレンジがはまっていまし た。「ラレーニア」はタイガースの演奏で初めて聴いた曲、オリジナル・アルバムには未収録のシングル曲だったみたいです。ありがたいことにこのベスト・ア ルバムは1曲を除いてステレオで収録されていて、発売当時のカラフルな空気感を伝えてくれます。ジミー・ペイジ参加の「サンシャイン・スーパーマン」はロ ング・ヴァージョン、実にカッコいい。B-2.とB-4.はフォーキー時代の曲の再録音ですが、アシッド・フォーク調にアレンジされたB-2.は特に出来 が良い。
cup


summer

  SUMMER OF LOVE (1986)
RHINO RNDA 71106 (US)
LOVE VIBRATIONS
A-1. San Francisco (Be Sure to Wear Flowers in Your Hair) 2. Reach Out of the Darkness
3. Get Together 4. Wear Your Love Like Heaven
5. Flower Children 6. Love Is All Around

MIND EXPANSION
B-1. I Had Too Much to Dream (Last Night) 2. Incense and Peppermints

3. Epistle to Dipp
4. Going Up The Country
5. Renaissance Fair 6. Daily Nightly


GOOD TIMES
C-1. Groovin' 2. Rain, the Park & Other Things
3. Up, Up and Away 4. Lazy Day
5, Happy Together 6. 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)
7. Happy

SIGNS OF THE TIMES
D-1. Beat Goes On 2. Let It Out (Let It All Hang Out)
3. Twelve-Thirty (Young Girls Are Coming to the Canyon) 4. Don't Sleep In The Subway
5. Let's Live for Today 6. For Pete's Sake


1967年の最高にグルーヴィーな25曲、の副題が付けられている、音質もグルーヴィーなライノ編集盤。超有名曲もそうでもない曲も当時のアメリカ西海岸 の ラブ&ピースな雰囲気を伝えていますが、特に気付くのは男女混声のグループが元気良くコーラスする楽曲の割合が凄く多いこと。美しいメロディで始まるD- 3.のママス&パパスやC-3.の5thディメンションの人気からくるのかどうか、当時よく使われたハープシコードも登場するA-2.あたりを典型とし て、こんなに 男女混声グループが注目された時代は他にないかもしれません。B-5.やB-6.といった同傾向のコーラスものを含めると、さながら若い根っこの会状態で す。村上春樹のベストセラーにも登場するソニー&シェールのD-1.はちょっと別系統かな。アングラ・サイケ路線の曲では、「ワイルド・パーティ」という 超いかがわしい映画で演奏シーンを見て以来のお気に入りであるB-2.(実はこの曲が聴きたいがためこの2枚組を入手したのです)が、いかにも一発屋、的 儚さ も含めて印象的、「イチゴの目覚まし時計」というグループ名自体がサイケのイメージ・キャラクターのようでもあります。エレクトリック・プルーンズのB- 1.もテープの逆回転など絵に描いたようなアングラ・サイケ、後にXTCに元ネタとして採用されたのもうなずけるような良作。ここに収められているヒット 曲に少し前の「グッド・ヴァイブレーション」、「サマー・イン・ザ・シティ」、「サニー・アフタヌーン」あたりを加えれば、永遠の「愛と平和の夏」をイ メージできるかも。
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Fairport Convention (1968) 
POLYDOR 835 230-2 (US)
1. Time will show the wiser
2. I don't know where I stand
3. If (Stomp)
4. Decameron
5. Jack O' Diamonds
6. Portfolio
7. Chelsea morning
8. Sun shade
9. Lobster
10. It's alright ma it's only witchcraft
11. One sure thing
12. M.1 breakdown

Produced by JOE BOYD
UKCD : POLYDOR 068-291-2 (2003)

米国の作家、故リチャード・ブローティガンの小説に「西瓜糖の日々」というのがあって、人間(自然)と機械(人工的な世界)との理想的な関係が主題となっ ているのだが、フェアポートのデビュー・アルバムも、彼等が当時米国で流行っていたサイケデリック・サウンドにインスピレーションを得て、自然と人工的な 未来の融合を目指した作品になったと云えるだろう。ザ・バーズ、ジェファーソン・エアプレイン。グレイトフル・デッドなどからの影響は(私の守備範囲では ないので)あまり良くは知らないけれど。このCD、最初に買ったときにはほとんど聴いていなくて、この原稿を書くために2回ほど聴いたのだが、イアン・マ シューズのヴォーカルがこんなにたくさん フィーチャーされているのかと、改めて知った。マシューズとジュディ・ダイブルのハーモニーは後のマシューズ&サンディー・デニーの原点となるような気持 ちの良いものである。
kettle


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The Best of Eric Burdon & The Animals, Vol. II (1967)
polydor 827 916-1 (1986 US)

A-1. When I Was Young 2. A Girl Named Sandoz
3. Don't Bring Me Down 4. She'll Return It
5. See See Rider 6. The Other Side of This Life

B-1. Hey Gyp 2. Help Me Girl
3. That Ain't Where It's At 4. You're on My Mind
5. Inside Looking Out 6. Cheating

Produced by TOM WILSON
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The Greatest Hits of Eric Burdon & The Animals
(1969)
polydor SE-4602 (US)

A-1. River Deep, Mountain High 2. San Franciscan Nights
3. Year Of The Guru 4. Anything
5. Monterey
B-1. White Houses 2. Winds of Change
3. To Love Somebody 4. Sky Pilot

1965年2月アメリカ軍による北爆開始、3月アメリカ海兵隊ダナンに上陸、1967年7月ベトコンによるダナン基地攻撃、1968年1月テト攻勢、3月 ソ ンミ村虐殺事件、4月キング牧師暗殺・・・愛と平和の夏の実態は、悲惨な戦争と暴力が支配する時代でありました。ミッキー・モストと袂を分かち音楽的自由 を得たエリック・バードンの歌の中にはそんな時代の空気を反映した禍々しさが感じられるようです。Vol. IIのA-1.もそんな1曲、内容は忘れましたがキーファー・サザーランドが出ていた「1969」という映画の冒頭で使われたのが印象に残っています。 「スカイ・パイロット」は反戦歌、ジェット・マシンの効いたドラム・サウンドに乗せた切ないヴォーカルが心に染み入ります。間奏では 空中戦の爆音を再現、ストリングスが切なさを倍加する後半、とドラマチックな展開。Vol. IIでは変則ジャングル・ビートのB-1.とかGFRでもお馴染みB-5.(ジョン・リー・フッカーの改作らしい)みたいなブルース/R&Bタッ チの曲が目立ちますが、ヒット曲A-3.はゴフィン/キングの作品、フレッド・ニール作品のA-6.の歌い方はいかにも、といった雰囲気ですが、アレンジ が 洒落ているなと思ったら、フランク・ザッパのクレジットが。一方グレイテスト〜のあたりになるとサイケ・サウンドを導入、ヴォーカルも多彩になります。A -5.は67年6月のモンタレー・フェスティバルのドキュメ ントかな、サウンドはサイケ期バーズ風、 'Renaissance Fair'の一節も引用されています。
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bark

Bark / Jefferson Airplane (1971)
  GRUNT SRA-5529 (JP)
A-1. When the Earth Moves Again
2. Feel So Good
3. Crazy Miranda
4. Pretty as You Feel
5. Wild Turkey

B-1. Lawman
2. Rock & Roll Island
3. Third Week in the Chelsea
4. Never Argue With a German if You're Tired of European Song
5. Thunk
6. War Movie

Produced by Jefferson Airplane

"Leige & Leaf"でのサンディ・デニーのヴォーカル・スタイルはちょっとグレース・スリック的でもあるのですが、こちらはフェアポートからちょっと遅れてヴァイ オリンを導入したジェファーソン・エアプレインのミリオン・セラー・アルバム。ヴァイオリンといってもスタイルが違うのでまぁ偶然でしょうが、特にA- 4.やA-5.などのヨーマ・コーコネン中心の曲でブルージーに活躍しています。A-4.はレイジーなラテン・ロックで、ゲスト参加のサンタナのギターと グレース・スリックの気怠い歌声が良いムード。メンバーも一部入れ替わったためか、個人の作品を持ち寄ったような雰囲気のアルバムで、アコースティックな フォーク・ブルースのB-3.なんかは当時ちょっと意表をつかれたような憶えがあります。「何もかも吹き飛ばすような」と形容されたジェファーソンの ヴォーカル・スタイルはB-2.やB-6.で健在、今聴くとちょっとアジテーションっぽくもあります。B-4.はグレースのソロで歌詞はドイツ語、ガッチ ガチのヴォーカルが楽しめます。
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gentle

  Gentle Soul (1968)
SUNDAZED (ULTRA-VYBE) SC 11123 (2003 US/JP)
1. Overture 2. Marcus
3. Song for Eolia 4. Young Man Blue
5. Renaissance 6. See My Love (Song for Greg)
7. Love Is Always Real 8. Empty Wine
9. Through a Dream 10. Reelin'
11. Dance

12. Tell Me Love 13. Song for Three
14. 2:10 Train 15. Flying Thing
16. God Is Love 17. You Move Me
18. Our National Anthem 19. Tell Me Love[Alternate Take]
20. Love Is Always Real [Alternative Version]

Produced by TERRY MELCHER

この時代、男女混声のコーラス・グループが目立っていましたが、パメラ・ポーランドを中 心としたジェントル・ソウルは少し毛色が違っていたようです。1968年に発表されたアルバム本編は、アコースティック・ギターと室内楽風ス トリングスを中心としたサウンドに男女の抑制的なヴォーカルが心地よく乗っかるという、良くプロデュースされた統一感、個性が感じられます。作曲でも多く の貢献をしているパメラ・ポーランドの歌声には伸びやかさがあり、男性ヴォーカルもしっかりしているためか、ソフト・ロックと云われる他のグループにあり がちなボンヤリ感のようなものはありません。インストの1.をはじめ、2.、3.、9.などではヴァン・ダイク・パークスの奏でるハープシコードの音色が 相当効いていて、サイケというよりバロック・フォークとでも呼びたいような独特の個性を発揮しています。一方4.などでは、ライ・クーダーのスライドとマ ンドリンが活躍、ちょっとペンタングルを思い出すような曲調です。ハープの音色が際立っていてラリー・ネクテルのオルガンがフォーク・ロックぽい6.のタ イトルにあるグレッグとは、後にパメラのパートナーとなるグレッグ・コープランド、13.の共作者でもあります。追加曲はアルバム以前のシングル曲、未発 表曲などですが、15.はパメラの旧友ジャクソン・ブラウンの作品、ママス&パパス風なアレンジで聴き易くなっています。バーズ風なアレンジが施されたサ イケ・ロックな20.と本編7.を聴き比べるのも一興でしょう。
cup

STRAWBERRY ALARM CLOCK
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