SONGS OF YESTERDAY


bryn

Sunny Side of the Street / Bryn Haworth  (1975)
ISLAND ILPS 9332 (UK)

A-1. Good Job
2. Pick Me Up
3. Darlin' Cory
4. Dance
5. Peace of Mind

B-1. Give All You Got to Give
2. Heaven Knows
3. Sunny Side of the Street
4. Used
5. Thank the Lord

Produced by Bryn & Diga


このジャケット、好きです。通りに面したお店のトリコロールのサン・シェイドに初夏を思わせる街路樹の葉影から日射しがこぼれている、そんな感じです。そ してアルバム・タイトルがコレときた日には何ともはや、サニー・サイド、いい響きです。カーター・ファミリーの 'Keep on the Sunny Side (of Life)' などと共に、あるいはS. ワンダーが 'There's a place in the sun〜' と歌っているように、このスタンダード・ナンバー 'Sunny Side of the Street' も良い曲です。しかしビックリ、このアルバムB面に収められているヴァージョンはもとのメロディを相当くずしているので、今回改めて聴いて初めてあのスタ ンダードだったんだと知りました。このアルバム、スッキリ、爽やかなジャケットとは反対に、内容は熱い。特にA-1.の印象的なギター・リフに続きA- 2.でのシンコ ペートの利いたノリ、そしてA-3.はトラッドなアレンジで、フェアポートのリズム隊プラスD.  スウォーブリックのフィドル。この3曲で英国式スワンプのマスター・ピースです。
kettle


therock

  THE ROCK / FRANKIE MILLER (1975)
Chrysalis CHR 1088 (US)
A-1. A Fool In Love
2. The Heartbreak
3. The Rock
4. I Know Why The Sun Dont Shine
5. Hard On The Levee

B-1. Aint Got No Money
2. All My Love To You
3. Im Old Enough
4. Bridgeton
5. Drunken Nights In The City

Produced by ELLIOT MAZER

UKスワンプというカテゴリーが一般的なのかどうか、実は良く知らないのですが、フランキー・ミラーのこのアルバム辺りはその完成型といっても良いかもし れません。前作に続いてのアメリカ録音ということですが、グリース・バンドのヘンリー・マッカロクらを擁した野太いバンド・サウンドと、スコティッシュら しい 豪放さを基調として、ブリティッシュ・ブルース・ロッ クやディラン/ザ・バンド、メンフィス・ソウルからの直接的な影響を総括したような見事な作品です。メンフィス・ホーンズをゲストに迎えたアンディ・フレ イザーとの共作品A-1.はそうした影響が絶妙にブレンドされた1曲、デルバート・マクリントンのカヴァーも思い出されます。迫真のテナー・ソロと切々と したヴォーカルが胸に迫るB-2.はもちろんオーティス・スタイル、B-3.でのリズム・ギターのドライブ感もメンフィス直系でしょう。A-3.やB- 5.にはカントリー・フレイヴァーも感じられますが、フランキー・ミラーの一番の魅力であるディラン風な語り口とソウルフルなヴォーカルが聴けるA-5. やB-1.の潔さは天下一品でしょう。「やせっぽちのバラード」のピアノ・リフをうまく再利用したA-4.など、全編楽曲そのものの魅力も大変充実してお ります。
cup


salty

A SALTY DOG / PROCOL HARUM (1970's) 
MUSIC FOR PLEASURE MFP 5277 (UK)
A-1.Homburg
2. She Wandered Through The Garden Fence
3. The Milk Of Human Kindness
4. The Devil Came From Kansas
5. A Salty Dog
6. Magdalene (My Regal Zonophone)

B-1. Shine On Brightly
2. Boredom
3. Conquistador
4. Your Own Choice
5. Rambling On
6. Pilgrim's Progress






初期の4枚のアルバムとシングルから選曲された英国編集盤、MFPというのはEMIの廉価盤レーベルらしいですが、ジャケットもコーティングされていて安 物っぽくはありません。後にシェルター・レーベルを設立するデニー・コーデルがこのバンドの初期のプロデューサーでしたが、シングル曲のA-1.は2キー ボードのアン サンブルが「青い影」以上に美しい珠玉の逸品といえるでしょう。ここにはステレオ・ヴァージョンで収録されているのでゆったりとした広がりがより強く感 じられますが、テイク違いの再録音のようで、モノ・ヴァージョンよりも若干短い構成です。大海原、航海を想起させるA-5. は 朗々としたブルッカーのヴォーカルと荘厳な弦楽器が印象深いですが、改めて聴くとB.J.ウイルソンの絶妙なドラミングが主役となっている感があります。 A-3.はロビンのファズ・ギターが鳴り響くヘビー・ロック・テイストでもありますが、サビのヴォーカル・スタイルはザ・バンドのそれとよく似ています。 A-6.やB-5.などは、このバンドの十八番であるクラシック・ムード、マシュー・フィッシャーのまったりとしたヴォーカルとアコギに木琴、笛などがあ しらわれた無国籍フォークのB-2.あたりは少し変わり種。1stからの選曲であるA-2.とB-3.の2曲は何故かリアル・ステレオで、他ではあんまり 聴けな いかもしれません。
cup


cochise

Swallow Tales / Cochise (1971)
  UNITED ARTISTS UAS-5518 (US)
A-1 Love's Masde a Fool of You
2 Jed Collder
3 Down Country Girls
4 Home Again
5 Lost Hearts
6 Strange Images
7 Why I Sing the Blues

B-1 Another Day
2. Axiom of Maria
3. Can I Break Your Heart
4. O Come All Ye Faithful

Produced by COCHISE

このグループについてはあまり良く知らないのですが、スティール・ギター奏者として有名なB.J.コールが中心になって結成されたらしく、このアルバム (岩井俊二の映画とは多分無関係)は2枚目、かな。後にプロコル・ハルムに参加するギタリスト、ミック・グラハムが在籍しています。スティール・ギター 中心と聞くと、のどかなカントリー・ロックなんぞを連想してしまいますが、これが大違い、冒頭、変形ジャングル・ビートが炸裂するバディー・ホリーのカ ヴァーからして、ブレイクとコーラスが挿入されるシカケが施されていてタダならぬ雰囲気です。続く3曲のメドレーも確かにカントリー風ではあるのですが、 土臭い中にもリズム隊のハード・ロック的佇まいが妙に印象的。同じくカントリー風のB-3.でのコーラスももったりとしていて、スコーンと抜けきらない感 じ。A-5.とA-6.は一転してちょいサイケなポップ、コーラスがキュートな前者ではXTC、後者では10ccあたりを思わせます。B面前半はプログ レ、というか「原子新母」の頃のピンク・フロイド。B-1.なんかやたらと日本人好みなブリティッシュ・ロックの典型みたいな曲です。こう書くととっちら かった印象を与えるかもしれませんが、中音域を強調した音質で統一されているせいか、意外とそうでもありません。英国ロックの玉手箱、当時よりも今聴くと さらに面白いかも。
cup


rogerunhalf

Unhalfbricking / Fairport Convention (1969)
  ISLAND ILPS 9102 (UK)
A-1. Genesis hall
2. Si tu dois partir
3. Autopsy
4. A Sailor's life

B-1. Cajun woman
2. Who knows where the time goes?
3. Percy's song
4. Million dollar bash

Produced by JOE BOYD, SIMON & FAIRPORT
CD : ISLAND IMCD 61

後のアルバムで定番となるエレクトリック・ギターとフィドルのバトルが展開されるトラッドA-4.、この曲が採り上げられたことはフェアポート・コンベン ションのバンドとしての価値が確立される礎となった。そしてもうひとつ、サンディー・デニーの作になるB-2.がこのアルバムに収めらているということ、 この後デニーの曲作りの才能が開花してゆく原点となったと言っても良いだろう。A-2.、B-3.、B-4.とディランの曲が3曲も採り上げられているこ とも興味深い。特に'Percy's song'は後のブートレッグ・シリーズでディラン本人の歌も聴けるようになったが、フェアポートによる解釈もなかなか印象に残る出来となっていて、改め ていい曲だと思う。米国指向のスワンプではなく、英国土着のスワンプとも言えるような感覚がこのアルバムで表現されているように感じられる。
kettle


welcome

Welcome to the Canteen' (1971)
  UNITED ARTISTS UAS-5550 (US)
A-1. Medicated Goo
2. Sad And Deep As You
3. 40,000 Headmen
4. Shouldn't Have Took More Than You Gave

B-1. Dear Mr. Fantasy
2. Gimme Some Lovin'

Produced by CHRIS BLACKWEL & STEVIE WINWOOD

トラフィックの初期メンバー4人にリック・グレッチ、KWAKU BAAHA、ジム・ゴードンが加わって連名で発表されたライブ・アルバム。トラフィックの元々の音楽性といえばサイケデリックなヘッド・ミュージック、脱 退したデイブ・メイソンがデラニー&ボニーに触発されつつLAスワンプに傾倒していく中で、一方のウィンウッドはトラディショナルなフォークなどを採り上 げるなど新たな道を模索していた70年代初頭、デイブ・メイソン、そしてLAスワンプの立役者ともいえるジム・ゴードンと共に起ち上げた拡大版トラフィッ クともいえるかもしれません。そういえばウィンウッドのこの後の活動には米国のリズム・セクションが欠かせない存在になっていきます。演奏はどれも素晴ら しくB面の長尺曲でも全く飽きることはありません。メイソン中心の曲ではA-4.のおおらかなヴォーカルが印象的、A-2.では普段と違う英国的な翳りも 垣間見えます。A-1.はクールなブルー・アイド・ソウルでウィンウッドの真骨頂、B-1.ではギターでも大活躍です。録音状態が悪いとの評価もあるよう ですが、ちょっとドジった部分もそのまま収録しているので当時の雰囲気を伝えるには必要にして十分かと思われます。
cup


highway

Highway / Free (1970)
  ISLAND ILPS9138 (UK)
A-1. The Highway Song
2. The Stealer
3. On My Way
4. Be My Friend

B-1. Sunny Day
2. Ride On A Pony
3. Love You So.
4. Bodie
5. Soon I Will Be Gone

Produced by FREE

永遠のロック・グループ、4thアルバムにして4人が揃った最後の作品。ベースが主導して全員がウネるようなリズムを繰り出すA-2.とか哀感漂う泣きの メロディの超名曲A-4.といった「これぞFREE!」的な演奏もありますが、70年代初頭の空気感とでもいうのか、全体の印象はとても落ち着いた感じに まとめられていて、最初に聴いたときには(当時はベスト盤しか聴いていなかった)ちょっと狐につままれたような不思議な感じのアルバムでした。キーボード のひな びた音色がロニー・レインなどを思わせるA-3.、アコースティック・ギターのリズムにカントリー風リード・ギター(これがなかなか良い)が絡むB-4. など土臭さを感じさせる雰囲気を持った曲のイメージが強く、ポール・ロジャースがじっくり聴かせるB-1.やB-3.なんかはちょっとシンガー・ソングラ イター的な雰囲気もあります。B-2.あたりはタメのあるリズムとマッタリ感が程よく調和した溌剌とした演奏。それにしても抜群のソング・ライティングの センスと共に演奏面でも全員を引っ張っていた感のあるアンディ・フレイザーがこの後抜けてしまったのは、かえすがえすも残念至極であります。
cup

GREASE BAND

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