LOVELY ON THE WATER


noroses

No Roses / Shirley Collins and The Albion Country Band  (1971)
MOONCREST CREST 11 (1976 UK)

A-1. Claudy Banks
2. Little Gipsy Girl
3. Banks of The Bann
4. Murder of Maria Marten

B-1. Van Dieman's Land
2. Just As The Tide Was A'Flowing
3. White Hare
4. Hal-An-Tow
5. Poor Murdered Woman

Produced by Sandy Robertson

USLP : Antilles  AN-7017 (1973)

シャーリー・コリンズのふくよかで気品のあるヴォーカルとアシュレー・ハッチングスの沈み込むようなベースを中心に、英国エレクトリック・フォーク界を支 える人々総動員で制作された金字塔的なアルバム、ブロードサイド・バラッド隆盛期のヴィクトリア時代に流行したと言われるマーダー・バラッドのひとつ 'Murder of Maria Marten'では、デイブ・マタックスの的確なドラミングを要としてフェアポートの面々、ティム・レンウィック、ニック・ジョーンズらが一大叙事詩とも いえる演奏を奏でます。途中ハーディ・ガーディとシャーリーのヴォーカルのみの演奏に切り替わる部分では、物悲しいメロディをいっそう引き立たせるような 構成。ラストのB-5.も同傾向の曲なので重苦しい印象も強いアルバムですが、メロディオンの音色とダンス曲風なリズムが可愛らしいA-2.とかドリー・ コリンズの独創的なピアノがアイリッシュ・メロディの美しさを際立たせるA-3.、あるいはウォーターソンズやロイ・ウッドの豪快な男声コーラスが聴ける B-3.などヴァラエティにも富んでいます。スティーライと同じように全曲が伝承曲でありながら、ドラムスを再導入、B-2.ではジェット・マシンが使わ れていたり、ハッチングスのロック体質が強く感じられる作品でもあります。
cup


please

  Please to See the King / Steeleve Span (1971)
B&C CAS 1029 (UK)
A-1. The Blacksmith
2. Cold, Haily, Windy Night
3. Jigs: Bryan O'Lynn/The Hag With The Money
4. Prince Charlie Stuart
5. Boys Of Bedlam

B-1. False Knight On The Road
2. The Lark In The Morning
3. Female Drummer
4. The King
5. Lovely On The Water


Produced by Sandy Robertson
JPLP : LIBERTY (TOSHIBA) LLP-80462
USCD : SHANACHIE 79075

このアルバムの価値は私が改めて書く必要がないほど多くの人々に絶賛されているので、今更付け加えることはほとんどない。このアルバムで1曲を挙げろと言 われれば、A面の5曲目、この曲は最初マディ・プライアとマーティン・カーシーのヴォーカルと小太鼓だけでミドル・テンポで始まり、次のヴァースでハッチ ングスのベースが絡まり、次にマーティンのヴォーカルだけでアップ・テンポになり間奏に入る。そして中世の亡霊達が歌うかのようなコーラスに続いてバン ジョーがリフを入れてきて(このバンジョーの入り方が絶妙で昇天しそう〜)ヴォーカルが入ってくるという、ビックリするような構成になっている。バックに はエレキのサイド・ギターが我々を中世のヨーロッパへと誘うようなサウンドで呪文のように鳴り続けるので、私の頭の中にも聴く度に響き続けるようだ。ハッ チング スのベースはどの曲においてもユニークで必要な存在である。
kettle


comp

The Compleat Dancing Master (1973) 
ISLAND HELP-17 (UK)
A-1.The Beginning of the World
2. Geoffrey Chaucer 3. Stantipes / Trotto
4. William Prynne 5. Nonesuch / Cuckolds All Awry
6. The Dashing White Sergeant / The Devil Among the Tailors
7. Beatrice 8. Haste to the Wedding / The Triumph / Off She Goes

B-1. Willam Hogarth 2. Long Odds / Mr. Cosgill's Delight
3. Charles Dickens 4. Bonny Breastknot / Double Lead Through
5. Barley Break / Cushion Dance 6. Arbeau and Capriol
7. The Hare's Maggot 8. Sir Roger De Coverley

Produced by Ashley Hutchings & John Kirkpatrick




原始の昔から踊りと音楽は密接な関係にあった筈だ。音楽はやはり打楽器から始まったのだろう。そして徐々にメロディが生まれたのかもしれない。このアルバ ムはハッチングスとジョン・カークパトリックの共同プロデュースで、シェークスピアの時代からのダンス・ミュージックを集めたもの、様々な形のダンス曲が 楽しめる。使われている楽器も色々でカークパトリックのアコーディオンを始め伝統的なものから、エレクトリック・ギター、ベース、ドラムスまでが入って ヴァラエティに富んだサウンドが繰り広げられている。時折聴こえてくる語りの意味はよく分からないものの、ダンス礼賛の調子の良い響きが何となく伝わって くる。アメリカ映画「シェーン」の中で、村人達がフィドルの伴奏でフォーク・ダンスを踊る場面が今ふと思い出されてきた。背景の音楽は両者異なるが、ダン スの魅力はどんな国、人種であろうとも変わらないのであろう。
kettle


rattlebone

Rattlebone & Ploughjack (1976)
  ISLAND HELP-24 (UK)
          

"Devised and compiled by Ashley Hutchings"(ハッチングスにより工夫、考案され、編集された)という副題が付いたこのアルバム、ダンス三部作として"The Compleat Dancing Master"に続く第二作として作られた。前作は音楽的にも評価できる内容だったが、こちらはより学究的になり、モリス・ダンスの歴史を曲間に語りを入 れながら、アコーディオン、ハーモニカ他による全くシンプルな器楽演奏によるダンス曲が繰り広げられる。英語のヒアリングが出来ないので語りの部分は何を 言っているのかサッパリ分からない。フェアポートのアルバム「リージ&リーフ」のジャケット見開きにはモリス・ダンスの写真が載っていたような気がするけ れ ど、ハッチングスのダンス探究の源は何だったのか、なぜこのような昔のダンス曲にのめり込んでいったのか、直接本人に会って質問したいような気にさせられ る。ともあれ今はマニアックなレコードとしか言えない。
kettle


albion

Battle of the Field / Albion Country Band (1976)
  ISLAND HELP-25 (UK)
A-1. Albion Sunrise
2. Morris Medley: Mouresque / London Pride /
    So Selfish Runs The Hare / Maid Of The Mill / Sheriff's Ride
3. I Was A Young Man
4. New St. George / La Rotta

B-1. Gallant Poacher
2. Cheshire Rounds / The Old Lancashire Hornpipe
3. Hangèd I Shall Be
4. Reaphook And Sickle
5. Battle Of The Somme

Produced by JOHN WOOD


1973年に録音され'76年に発表されたアルビオン・カントリー・バンドのアルバム、原宿にあったメロディ・ハウスで発表の翌年のクリスマスに購入した のが懐かしい。カントリー・バンドとクレジットされているだけあって、ジョン・カークパトリックのアコーディオンとマーティン・カーシーのアコースティッ ク・ギターをメインとしたサウンドで、どちらかといえばレイドバックしたホンワカ・ムードが漂っております。今回はリチャード・トンプソンが不在なためエ レクトリックは控えめですが、その分サイモン・ニコルがユルめのギターで活躍、メドレー曲A-2.のラストではウィッシュボーン・アッシュを思い出させる ようなメロディを奏でています。マーティンのヴォーカルも少しリラックスしているようで、サイモンの資質とも相俟って後期フェアポートの香りも感じられる ようです(ヴォーカルが男性中心ということもあるかな?)。主役のハッチングスはB-2.やB-3.の変化に富んだ演奏で活躍、農作業の時に歌われるよう なB-4.の楽し気な雰囲気も捨て難い味があります。
cup

MORRIS ON
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