LONELY AT THE TOP


nilsson

Nilsson Sings Newman / Nilsson  (1970)
RCA LSP-4289 (US)
A-1. Vine Street
2. Love Story
3. Yellow Man
4. Caroline
5. Cowboy

B-1. The Beehive State
2. I'll Be Home
3. Living Without You
4. Dayton Ohio 1903
5. So Long Dad

A NILSSON HOUSE PRODUCTION

 
EUCD: CAMDEN/BMG 74321 757422 (2000)

「ランディ・ニューマンを歌う」と言われても、それ誰?(まぁスリー・ドッグ・ナイトのヒット曲の作者であることはぼんやりとは知っていたような)、とい う頃に入手したアルバム、ニルソンがヴァン・ダイク・パークスとアルバムを作る直前だった気がします。短い曲がクールに10曲並んでいるな、という印象 で、ぼんやりしているとすぐ聴き終わってしまうので、なんか狐につままれたような感覚が今でも残っています。改めて聴くと、多重コーラスやダブル・ヴォー カルを多用した凝りに凝ったサウンドで、こんなに小技を使っていたのかぁ、と驚くばかり。A-3.のコーラスではポール・マッカートニーを思い出したり、 オルガンも印象的なB-2.ではビートルズ風コーラスが一瞬芸的に現われたりします。クレジットにはレニー・ワロンカーの名前があるので、一人ハーパー ス・ビザールといった趣もあるのでしょうか。ランディ本人はピアノで活躍、特にラグタイム風な演奏では実に良い味を出しております。後年のひねくれた歌詞 はほとん ど見られず(A-3.あたりちょっと怪しいですが)、NGDBでも有名なB-3.、後に本人の歌でも聴けるB-2.、B-4.など有名曲が収められていま す。
cup


goodold

  Good Old Boys / Randy Newman (1974)
REPRISE MS 2193 (US)
A-1. Rednecks
2. Birmingham
3. Marie
4. Mr. President (Have Pity on the Working Man)
5. Guilty

B-1. Louisiana 1927
2. Every Man a King
3. Kingfish
4. Naked Man
5. A Wedding in Cherokee County
6. Back On My Feet Again
7. Rollin'


Produced by Lenny Waronker and Russ Titleman
JPLP : REPRISE (WARNER PIONEER) P-8523R

'Good old man'というと、南部男、の意味がある、ということを教えてくれたのはピーター・バラカンさん、グッド・オールド・マンならぬグッド・オールド・ボーイ ズのタイトルがランデイ自身が意図して付けたものかどうかはよく分からないが、最初このLPに針をおろした時には、その英語の発音がそれまで全く聞いたこ とがないような言語に思えて、今は慣れたけれども、それが南部訛りの所以だったことは間違いないだろう。しかし彼はウェスト・コーストで生きてきた人間で はなかったか、という疑問にアルバムの解説が答えてくれている。生まれたのはL.A.だが、それからすぐに母親の故郷であるニューオリンズに移り住み、5 歳 になるまで南部各地で育ったのだという。余計な話をしたが、その音楽は土方焼けのプア・ホワイトの歌A-1.から始まり、貧しい人々にスポット・ライトを 当てた歌でいっぱい。ピアノでしか出来ないような音作り、良いメロディがたくさんある。
kettle


criminals

Little Criminals / Randy Newman (1977) 
Warner Bros. BSK 3709 (US)
A-1. Short People
2. You Can't Fool The Fat Man
3. Little Criminals
4. Texas Girl At The Funeral Of Her Father
5. Jolly Coppers On Parade
6. In Germany Before the War

B-1. Sigmund Freud's Impersonation Of Albert Einstein In America
2. Baltimore
3. I'll Be Home
4. Rider In The Rain
5. Kathleen (Catholicism Made Easier)
6. Old Man On The Farm

Produced by Lenny Waronker and Russ Titleman




当時のワーナーには背の低い社員が多かったところから思いついたらしいA-1.がヒットしたことで有名なアルバムですが、それよりも気になるのがA-6. の歌 詞。1934年のデュッセルドルフが舞台、サビのリフレインは詩的でもあるのですが、どうもこれがストーカーの話のようでもあり、サウンドもナチスの台 頭する重苦しい時代の雰囲気を映しているようで、なかなかに複雑な構造の曲です。B-1.の「フロイトによる、アインシュタインの物真似」という、ひねく れすぎて最早なんだか分からないタイトルの曲にもドイツ人が登場しますが、こちらではアメリカのことが主に歌われているようです。このアルバムはイーグル スの面々やアンディ・ニューマーク/ウィリー・ ウィークスなどが参加して、くっきりとした都会的なサウンドが主体、ストリングスやホーンのクレジットがないのですが、それらしく聴こえる音色はシンセを 大 幅に導入しているのかもしれません。お馴染みケルトナーのドラムのリズム感覚が良い感じのA-5.や、モロにイーグルスなコーラスが心和むB-4.あたり はこの作品ならではの味わいです。
cup


boomer

Boomer's Story / Ry cooder (1972)
  REPRISE MS 2117 (US)
A-1. Boomer's Story
2. Cherry Ball Blues
3. Crow Black Chicken
4. Ax Sweet Mama
5. Maria Elena

B-1. Dark End of the Street
2. Rally Round the Flag
3. Comin' in on a Wing and a Prayer
4. President Kennedy
5. Good Morning Mr. Railroad Man

PRODUCED BY JIM DICKINSON and LENNY WARONKER

JPLP : REPRISE (WARNER PIONEER) P-8297R

レニー・ワロンカーと共にプロデュースを手がけたジム・ディッキンソン(ジェイムス・ルーサー・ディッキンソン)とヴォーカルで参加しているダン・ペ ン、彼等南部の達人はこのアルバムで我々リスナーの間で一躍有名になったのだったが、他にもジョージ・ボハノン、ミルト・ホランド等新鮮なミュージシャン の存在を教えてくれた。そんなバック陣にランディ・ニューマンも加わっていて、ほとんどの曲でピアノを担当している。このピアノがいちばん良く聴けるのは B-2.、ライのアコースティック・ギターとランディだけで、ライのヴォーカルがいかにも頼りなさそうな歌い方だが、このシンプルさが当時気持ちのよいも のだった。歌詞を見ると南北戦争当時の歌のようにも聴こえるが、「自由のための戦いの叫び声をあげながら」というフレーズが印象に残る曲だ。
kettle


songbook

The Randy Newman Songbook Vol.1 / Randy Newman (2003)
  Nonesuch 79689-2 (US)
1. It's Lonely at the Top 2. God's Song (That's Why I Love Mankind)
3. Louisiana 1927 4. Let Me Go
5. Rednecks 6. Avalon
7. Living Without You 8. I Think It's Going to Rain Today
9. You Can Leave Your Hat On 10. It's Money That I Love
11. Marie 12. When She Loved Me
13. Sail Away 14. The World Isn't Fair
15. Political Science 16. The Great Nations of Europe
17. In Germany Before the War 18. Ragtime


Produced by MITCHELL FROOM


これまで作ってきた曲をランディ自身がピアノ1台、ヴォーカル1本でセルフ・カヴァーした作品集がこのアルバムだ。'87年リリースの"Lonely At The Top"と題されたベスト盤の最後の曲が『ロンリー・アット・ザ・トップ』なのだが、このソング・ブックが逆に同曲で始まっているのが面白く、「王座の孤 独」はランディにとってどのような位置を占めているのか、なかなかに考えさせるものがある。余談だが、'99年に出たヴァン・モリソンのアルバム、『バッ ク・オン・トップ』のジャケット写真が彼の背中を写したものなのだけれど、このソング・ブックの外側カヴァーの写真が同じくランディの背中を写していて、 どうも『バック・オン・トップ』の真似をしたのでは、などと考えている。曲間が一、二秒で、次から次へと流れてくるランディのヴォーカルは男の哀愁を漂わ せているが、ギターではなくてピアノを選んだ彼の音楽はいつまでも色褪せない。
kettle

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