MANDOLIN WIND


modern

Modern Times / Al Stewart (1975)
CBS 80477 (UK)
A-1. Carol
2. Sirens Of Titan
3. What's Going On?
4. Not The One
5. Next Time

B-1. Apple Cider Re-Constitution
2. The Dark And The Rolling Sea
3. Modern Times

produced by ALAN PARSONS

 


鼻にかかった軽めの唱法と何となくチャラいジャケ写等のイメージからひょっとして軟弱系シンガー・ソングライター?とか思ってしまうアル・スチュアートさ んですが、実はグラスゴーの出身でバート・ヤンシュやインクレディブル・ストリング・バンドとも交流のある本格派。このアルバムでも2本のアコースティッ ク・ギターがブルージーに絡み合うA-5.や、ミセス・ロビンソンばりのカッティングのリズム感覚が素晴らしいA-3.など、テクニシャンぶりを発揮して います。サイモン・ニコルのクレジットもあるので、この辺の曲に参加しているのかもしれません。タイトルからしてス コットランドをイメージさせるB-2.は落ち着きのある良いメロディだな。一方エレクトリック・セットの曲ではシャープかつメロディアスなティム・レン ウィックのギターがひときわ印象に 残りますが、特に哀愁ロックA-1.のツイン・リードはカッコいい。国内盤の解説を読んでなるほどと思ったのですが、この曲はニール・セダカの「オー・ キャロル」を下敷きにしているらしく、たしかにツイン・リードのフレーズが元歌のコーラス部分を引用していたり、'One Way Ticket'という歌詞が挿入されたりしています。このレコード、当時の国内盤(米国盤も?)はジャケ違いで、ヒプノシスによるクラシカル・エレガン ス、アラン・パーソンズの作る落ち着いた音像ともよくマッチしていました。
cup


la

  L.A. Turnaround/ Bert Jansch (1974)
Charisma (Virgin) CASCDX 1090 (EU)
1. Fresh As A Sweet Sunday Morning
2. Chambertin
3. One For Jo
4. Travelling Man
5. Open Up The Watergate (Let The Sunshine In)
6. Stone Monkey
7. Of Love And Lullaby
8. Needle Of Death
9. Lady Nothing
10. There Comes A Time
11. Cluck Old Hen
12. The Blacksmith

Produced by MIKE NESMITH

冒頭におけるレッド・ローズののどかなスティール・ギターを聴いておったまげた。'Fresh As A Sweet Sunday Morning'というタイトル通りの新鮮さがヤンシュの伸び伸びとした歌声に表れていてとても気持ちがいい。マイケル・ネスミスのプロデュースの元での ロサンゼルス録音、スティールの他フィドル(バイロン・バーライン)、マンドリン、ベース、ドラムスとそれまでには考えられないような編成で、しかもジェ シ・エド・デイヴィスがスライドで1曲参加しているとなれば、これはもうヤンシュの決断が正しかったというしかないだろう。ジャケット写真を見ると右側か ら光が入ってきていて朝の自然光線みたい、これまた気持ちの良いものだ。このアルバムはヤンシュとネスミス双方にとってのマスターピースと言えるかもしれ ない。発売当時日本にはあまり入荷しなかったらしく、この再発CDは誠に嬉しいものだと言えよう。
kettle


sketches

Sketches/ Bert Jansch (1990)
Hypertension HYLP 200 108 (GER)
A-11. Ring-A-Ding Bird
2. One for Jo
3. Poison
4. The Old Routine
5. Needle of Death
6. Oh My Father

B-1. Running, Running From Home
2. Afterwards
3. Can't Hide Love
4. Moonshine
5. A Woman Like You
6. A Windy Day

Produced by DANNY THOMPSON,BERT JANSCH,PETERKIRTLEY

"L.A. Turnaround"が春とすれば、このアルバムの季節は秋、一番最後の曲'A Windy Day'の歌詞に'On arainyafternoon / The autumn leaves red and gold / On a San Francisco windy day'とあって、メロディも良いので、私が一番好きな曲だ。一般にヤンシュといえばトラッド、という見方が強いかもしれないが、私は彼のオリジナル曲に 惹かれ る。"L.A.〜”でもジョン・レンボーン作品とトラッドの2曲以外は全てヤンシュのオリジナルだし、このアルバムでもインストの1曲を除いて全てがオリ ジナ ル、どれもが耳に残る曲ばかりだ。バック陣は、時折エレキ・ギターが入ったり、ブルース・ハープもときどき鳴っていて、ベースはダニー・トンプソン、ア コースティックな音質となっている。A-2.、A-5.、B-4.など昔から歌っている曲も、新しい曲も違和感なく歌われていて、ヤンシュが思った通りの 演奏 が繰り広げられている。
kettle


sutherland

The Sutherland Brothers Band (1972)
  ISLAND SW-9315 (US)
A-1. The Pie
2. Sleeping Dog
3. Hallelujah
4. I Was In Chains
5. Medium Wave
6. Big Brother

B--1. Wars Of The Roses
2. Midnight Avenue
3. Sunny Street, W14
4. Where In The World
5. Long Long Day

PRODUCED BY MUFF WINWOOD



後にクィーヴァーと合体しエレクトリックな音を聴かせるようになるサザーランド・ブラザースですが、こちらのデビュー・アルバムの頃は4ピースの簡素な編 成で、アコースティック・ギター主体の簡潔な演奏を展開していました。ギター2本でゆったり始まりそこはかとない哀愁メロディが心に沁み入るA-1.と か「時代は変わる」を連想させる曲調のA-3.などは後に彼等の「セイリング」をカヴァーすることになるロッド・スチュアートの資質とも重なってきます が、マッギネス・フリ ント風なA-2.、トラッド的なメロディを持つA-4.などとにかく曲の質がどれも高く、シンプルで土臭い演奏とも良くマッチしています。ちなみにプロ デュースはスティーヴィー・ウィンウッドのお兄さん。A-3.やB-5.の甘さ漂う雰囲気とか、珍しくエレクトリックで軽快なB-1.などを聴いて、 誰かに似ているなぁと考えていて思い当たったのが、バッドフィンガー、共に押し付けがましさがなく、すっと入り込める人なつっこさが魅力でした。
cup


rod

Every Picture Tells a Story / Rod Stewart (1971)
  MERCURY PRICE 15 (1982 UK)
A-1. Every Picture Tells A Story
2. Seems Like A Long Time
3. That's All Right
4. Tomorrow Is A Long Time

B-1. Henry
2. Maggie May
3. Mandolin Wind
4. (I Know) I'm Losing You
5. Reason To Believe

Produced by ROD STEWART


ようやく2010年になって聴けるようになったディランのWITMARK DEMO、ロッドはここから'Only A Hobo'も採り上げていますが、A-4.もおそらくこのデモ録音を参考にカヴァーされたと思われます。前半のコード進行をメジャー系に変更した他はほぼ ディラ ンの雰囲気を踏襲した演奏、フィドルの豊かな音色とレイド・バックしたロニーのラップ・スティールが情感をグッと抑えるような仕上がりです。ロッドのソロ として3作目のこのアルバムは前作Gasoline Alleyの続編、というか兄弟のような印象で、例えばA-2.は前作の'Country Comforts'に、A-3.は'It's All Over Now'に対応するといった具合でしょうか。こちらにはロニー・レインとケニー・ジョーンズのクレジットがないようなので、フェイセス色が若干薄め、とい うの が違いと言えるかもしれません。ヴォーカルは言うに及ばずですが、この辺りのロッドの自作曲もとても充実していて、大ヒットしたB-2.やB-3.でのマ ンドリンの使いどころは秀逸、リンディスファーンのマンドリン・プレイヤー、とだけクレジットされていて奏者の名前がないのが笑えます。グラスゴーにセル ティックの応援に来ていたり、『スマイラー』のタータン・チェック・ジャケットもあったりで、ロッドのことを長い間スコットランド出身者だと勘違いしてま した が、実はロンドンの生まれだそうで、いやはや早とちり・・・
cup


dougie

CRAIGIE DHU / DOUGIE MACLEAN (1983)
  Dubkeld DUN001 (UK)
A-1. Gin I Were A Baron's Heir
2. Ready For The Storm
3. It Was A'For Our Rightfu' King
4. High Flying Seagull
5. Edmonton Airbus/Craigie Dhu

B-1. Bonnie Bessie Logan
2. Seanair's Song
3. It Fascinates Me
4. Tullochgorum
5. Caledonia

Produced by DOUGIE MACLEAN,ROY ASHBY



このアルバムの一番最後に入っている曲、「カレドニア」は名曲、古代ローマ人がスコットランドをカレドニアと名付けたのだが、この歌の中に 'Caledonia, you are calling me / Now I'm going home'という一節は泣けてくる。この作品、トラッドとダギーのオリジナルが半々くらいで構成されていて、基本的にギター一本で演奏されている。彼の ヴィデオ・クリップを見ると、一番最初に「カレドニア」のライブ映像が入っているのだが、小さな会場でテーブルにはローソクの明かりが灯り、皆が歌を口ず さんでいる。ローソクの明かりの中で聴く音楽はまた格別であろう。彼のギターはほとんどオープン・チューニングで、しかも訳の分からない不思議な押さえ方 をしているのには参ってしまった。A-1.、B-1.、B-2.など佳作と言える良い曲が入っているが、穏やかなアルペジオ奏法で淡々とギターを奏でる彼 の姿 は、ヴィデオ・クリップにある野山や河の風景にピタリと合っていて、とても癒されるものだ。
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