GRAND HOTEL


soap

Soap Opera / THE KINKS (1975)
RCA SF8411 (UK)
A-1. Everybody's A Star (Starmaker)
2. Ordinary People
3. Rush Hour Blues
4. Nine To Five
5. When Work Is Over
6. Have Another Drink

B-1. Underneath The Neon Sign
2. Holiday Romance
3. You Make It All Worthwhile
4. Ducks On The Wall
5. (A) Face In The Crowd
6. You Can't Stop The Music

produced by RAYMOND DOUGLAS DAVIES

 


ヴァン・ダイク・パークスはエッソ・トリニダード・スティール・バンドのアルバムでキンクス作品を採り上げておりますが、B-2.はカリプソ・ファンのレ イ・デイヴィス先生ならではの楽曲、流麗ななストリングス・アレンジにはパークス の『ディスカヴァー・アメリカ』との共通点が感じられます。このアルバムはどうしてもE.T.を思い出してしまうジャケットに飾られたRCA後期の大傑 作、妄想癖のサラリーマンが自分をロック・スターだと思い込み、一般市民の日常生活を 体験するという二重、三重に屈折したストーリーですが、個々の楽曲の品質が高く、ロカ・バラードのA-2.、コミカルなA-5.、レトロ調のB-3.な ど、 コーラスやホーンを交えつつの多彩な演出で、ストーリーを忘れても聴き飽きるということがありません。サウンド的には後のアリスタ期のようなエッジの効い た演奏もときどき顔を出すようになりますが、A-4.、A-6.のようなユルい部分もあって、うまくバランスがとれているようです。暖炉の上に飾られてい る奥さんの選んだアヒルの絵がどうも気に入らない、と歌われるB-4.は聴く度に失笑を禁じ得ません。
cup


kweskin

  Jim Kweskin's America (1971)
REPRISE RS 6464 (US)
A-1. Back in the Saddle
2. Sugar Babe
3. Okie from Muskogee
4. 99 Year Blues
5. Rambling Round Your City
6. . Amelia Earhart's Last Flight

B-1. Stealin'
2. Old Rugged Cross
3. Dark as a Dungeon
4. Old Black Joe

Produced by RICHARD HERBRUCK

ジャケットには、ジェームス・ディーン、J. F. ケネディ、エリザベス・テーラー、ジミー・ロジャース、フランク・シナトラ等20以上のアメリカの顔がコラージュされているが、ポール・サイモンの「アメ リカ」同様、ジム・クウェスキンはどんなアメリカを見ているのだろうか。このアルバムの発表は1971年、全曲がカヴァーなのだが、彼が聴いてきた音楽は やはりカントリー(A-1.のジーン・オートリー、A-3.のマール・ハガード、B-3.のマール・トラヴィス)、ブルース(A-2.のMance. Lipscomb)、そしてフォーク(A-5.のウディ・ガスリー、B-2.のRev. George Bennard)など、ルーツ音楽を通して自分自身を見つめ直し、自分の居場所を確保しようとした非常に パーソナルなものとなっている。演奏はギター、ドブロ、ハーモニカが主で、ミドルからスロー・テンポの淡々とした簡素な音造りとなっている。
kettle


hotel

Grand Hotel / Procol Harum (1973)
Chrysalis CHR 1037 (UK)
A-1. Grand Hotel
2. Toujours L'Amour
3. A Rum Tale
4. TV Caesar

B-1. A Souvenir Of London
2. Bringing Home The Bacon
3. For Liquorice John
4. Fires (Which Burn Brightly)
5. Roberts Box

Produced by CHRIS THOMAS

国内盤のライナー、松本隆氏による「グランド・ホテル宿泊台帳」によれば、重厚なリズム・セクションと優美なストリングスが奏でる名曲A-1.で始まるA 面のテーマは「何処かへ行きたい」。キース・リードの皮肉っぽい歌詞も面白いですが、ヘヴィーなロックA-2.でのオルガンとギターの絡みや、美しいワル ツ曲A-3.のキーボードの響き等、ロビン・トロワーやマシュー・フィッシャーの不在を感じさせない正にプロコル・ハルムの真骨頂といえるでしょう。この アルバムから参加した元コチーズのギタリスト、ミック・グラハムのスタイルはトロワーとよく似ています。(も う誰も憶えていないようなアメリカン・ヒーロー)マイティ・マウスが登場するA-4.は監視社会の恐怖という今日にも通じるテーマををコミカルに描いてい ま す。B面になるとサウンド的にどことなく不吉な感じのリフが目立つようになりますが、こちらのテーマは強欲、不条理が渦巻く「現実に帰って来 た」。昨年の来日ライブでも演奏されたB-2.は緻密なアレンジが秀逸なヘヴィ・ロック、反戦のメッセージの込められたB-4.だけはスイングル・シン ガーズのス キャットがフランス映画のテーマ曲のごとく、美しくも悲し気なメロディが印象に残ります。
cup


jipang

日本少年‐ヂパング・ボーイ / あがた森魚 (1976)
  日本フォノ グラム FW-8001~2 (US)

1. ヂパング・ボーイ 2. 夢みるスクールデイ・1
3. 夢みるスクールデイ・2 4. 薄荷糖の夏
5. 航海・1 6. リラのホテル
7. 航海・2

1. 函館ハーバー猫町ホーボー 2. 函館ハーバーセンチメント
3. 航海・3 4. つめたく冷やして
5. 山田長政 6. 航海・4
7. ウェディングソング 8. ゴーヂャス・ナイト

1. ヴヰクトリアルの夜 2. 沙漠典(さぼてん)ボリボリ
3. 溺れろ伊達野郎(だんでい) 4. 航海・5
5. ラ・クカラーチャ(墨国(メキシコ)民謡) 6. 航海・6
7. 洋蔵爺のこと

1. 最后の航海(7回目の航海) 2. ノオチラス艦長ネモ
3. 採光∞無限 4. 夢みるスクールデイ・3
5. 日本少年 6. 別れの軍楽隊(蛍の光)

PRODUCED BY 細野晴臣・あがた森魚


ひ弱な小学生が夏休み、居眠りしている夢の中で、船乗りになって世界を旅するという北杜夫氏の『船乗りクプクプの冒険』、あがた森魚恐怖の2枚組アルバ ムは、おそらくこの本がベースになっていると思われます。ハリィ・ホウソン氏をプロデューサーに迎え、ムーンライダースの面々(『火の玉ボーイ』は本作と 兄弟 アルバム)を中心に元シュガー・ベイブ、アッコちゃん等が参加しての面白音楽絵巻でありますが、大雑把にいうと、サウン ド的には楽しい夏休みからアジアン・トロピカル、新大陸、カリブ海方面に跳んで、一瞬海底に潜りつつ帰還、という流れが見てとれます。「夢みるスクールデ イ」 はフェアポート風フォーク・ダンス・チューン、歌詞の中に中耳炎が登場しますが、これは昭和30年代の小学生達が最も恐れていた病気のひとつ。A-4.の ヘル プ・ミー・ロン・ロン(笑)、B-4.はプレスリーの爆笑チャンキー版、ゴキブリ・ホイホイの歌C-5.等々、適度な手抜き感覚と、重厚な青春ものB- 2.や、D面のダブ/テクノ感覚が同居する緩急自在な楽しさがあります。C-4.に登場するレティシアはロベール・アンリコ監督の映画『冒険者たち』の中 でジョアン ナ・シムカスが演じたヒロインの名前、カッティング・エンジニアの名前がクレジットされているので、やはりアナログ音盤で聴くべきアルバムでしょう。
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