BOTH SIDES THE TWEED


nomore

No More Forever / Dick Gaughan (1972)
Trailer LER 2072 (UK)
A-1. Rattlin' Roarin' Willie; The  Friar's Britches
2. MacCrimmon's Lament; Mistress Jamieson's Favourite
3. Jock o' Hazeldean
4. Cam' Ye Ower Frae France   
5. The Bonnie Banks o' Fordie

B-1. The Thatchers o' Glenrae
2. The Fair Flower of Northumberland
3. The Teatotaller; Da Tushker   
4. The  Three Healths
5. The John MacLean March
6. The Green Linnet

produced by Bill Leader
 


ディック・ゴーハンはレコードを沢山出していて、色々なグループ、バンドも作っているのだが、このアルバムが一番、ということは誰もが認めるところだろ う。ほとんどがギター一本の弾き語り、アリー・ベインがフィドルで参加しているのが1曲、フラット・マンドリンが付くのが1曲だけで、後は暗い歌声で歌わ れる、ゴーハンでしか有り得ないような憂鬱な世界が創り出されている。彼の"Handful of Earth"というアルバムも名盤だと言われているのだが、今回聴き返してみてもやはりこのアルバムにはかなわない。かつてブラック・ホークが出していた 「スモール・タウン・トーク」の99選アルバム評で、A-3.〜A-5.を夜更けに酒を浴びる程飲みながら聴いたらさぞかし気持ちがよいだろう、という批 評が載っているが、たしかに一人深夜に上等のスコッチを飲みながら、特にA面を聴けたならもう後は何もいらない、それだけで十分だ。
kettle


archie

  WILL YE GANG, LOVE / ARCHIE FISHER (1976)
TOPIC 12TS277 (UK)
A-1. O Charlie, O Charlie
2. Lindsay
3. The Broom O' The Cowdenknowes
4. Mally Lee
5. Will Ye Gang, Love
6. The Flower Of France And England, O

B-1. The Laird O' Windy Wa's
2. Men O' Worth
3. Looly, Looly
4. Dreg Song
5. Adam Cameron
6. Blackbirds And Thrushes
7. The Gallant Ninety Two
8. The Rovin' Ploughboy

Produced by TONY ENGLE and TONY RUSSELL

バート・ヤンシュと同じくスコットランドはグラスゴーの出身のトラディスト。フィドル、マンドーラ、メロディオンによるシンプルな演奏で、彼のアコース ティック・ギターとヴォーカルは実に小気味のいいものだ。ギターの巧みさではとび抜けているディック・ゴーハンには一歩譲るものの、アーチーの紡ぎ出すテ クニックもなかなか侮れない。最初このアルバムを聴いた時はなんだか頼りなさそうな印象だったのだが、何回か聴くうちにヴォーカルの味わい深さに気付くこ とになり、さらに回を重ねるごとにアルバムの完成度も素晴らしいものだと感じるようになった。このヴォーカル、アタリメのように聴けば聴くほど味が出て中 毒のようになってしまい、何時聴いてもその柔らかさは私を虜にしてしまう。 「チェルー・オ・チェルリー」と始まるA-1.を聴くとそれだけでアルバム全体の雰囲気が伝わってくる。
kettle


barbara

BARBARA DICKSON (1982) 
Pickwick CN 2058 (UK)
A-1. Do Right Woman
2. Easy To Be Hard
3. I Am The Great Sun
4. Lullaby For Father
5. A Lover's Ghost
6. You Like The Sun

B-1. Somebody Counts On Me
2. Something's Wrong
3. Fine Flowers In The Valley
4. The Garton Mother's Lullaby
5. Dainty Davie
6. If I Never Ever Saw You Again


犬の散歩のついでにテキトーに撮られた感じの廉価盤にしてもこれはちょっと・・・と引いてしまうジャケット写真(ラミネート加工してある^^)ではありま すが、中身はちゃんとしていて、DECCAレーベルでの録音を手際良く1枚にまとめた好編集盤。こちらのCDと曲は重複していますが、シンプルなフォー ク・スタイルの演奏とメロディの美しさが際立つB-3.〜B-5.からの3曲のトラッドがアナログで聴けるだけでも大変重宝しています。続くB-6.は アーチー・フィッシャーの作品、これもピアノを中心に据えた簡素な演奏ながら伸びやかな歌声が曲の良さを見事に引き出しています。A-3.、A-4.、A -6.、B-1.の4曲は'70年発表のアーチー・フィッシャーとの共演盤に収録されているそうですが、ラブ・ノークス作のB-1.はストリングスと生ギ ターが絡むソフト・ロックで、サビの部分ではちょっとビージーズの曲調を思い出したりもします。A-1.はもちろんダン・ペンのカヴァー、90年代 になってフォーク/ロック界にカムバックしてからのアルバムでも'Dark End of the Street'を採り上げていました。
cup


caper

Sidewaulk / Capercaillie (1989)
  MSI (Green Linnet)  MSI 30002 (JP)
1. Alasdair Mhic Cholla Ghasda
2. Balindore
3. Fisherman's Dream
4. Sidewaulk Reels
5. Iain Ghlinn' Cuaich
6. Fosgail An Dorus/Nighean Bhuaidh' Ruadh
7. The Turnpike
8. Both Sides The Tweed
9. The Weasel
1. Oh Mo Dhuthaich


PRODUCED BY DONAL LUNNY



先ずはメアリー・ブラック屈指の名唱でも知られる「トゥイード川の岸辺」、カパーケリーの女性シンガー、カレン・マシスンの力強さと繊細さを併せ持つ歌唱 もこれまた素晴らしい。トゥイード川はイングランドとスコットランドの境を流れる川だそうで、ディック・ゴーハン作の物悲しいメロディはこれ以上ないくら いの鮮烈な印象を残しますが、私利私欲にまみれ腐敗した政治を糾弾する歌詞の力も、この歌の価値をさらに高めているようです。さてこのアルバムはメア リー・ブラックを筆頭にクラナドやエンヤなどアイリッシュ・ミュージックが注目を集め始めた時期に発表されたもので、プロデュースはドーナル・ラニーが担 当、スコットランド独特の、というよりヨーロッパ各地に広がるケルト音楽を深堀りする、というような意味合いを持っているようです。メンバーの出身地もス コッ トラン ド北西 部のハイランドということで、ゲール語による伝承曲も多数歌われていて、労働歌である1.などにはどことなく北欧の香りも感じられるよう。フィドル、 アコーディオンを主体とした演奏も素晴らしいものがありますが、このバンドの大きな特徴はそのリズム感覚、チョッパー奏法も交えたエレクトリック・ベース を中心に据えた弾けた躍動感には当時誰もが驚いたものでした。
cup


jsd

Travelling Days / JSD Band (1973)
  Warner Bros. BS 2723 (US)
A-1. Gallway Races
2. Fishin' Blues
3. Sarah Jane
4. Travelling Days
5. King's Favourite

B-1. Cuckoo
2. Dowie Dens of Yarrow
3. Down the Road
4. Young Waters
5. Green Fields (of America)


Produced by RODGER BAIN


JSD Bandは5人組スコティッシュ・フォーク・ロック・バンド、70年代前半に3枚のアルバムをアルバムを発表しているそうですが、メンバーにフルート奏者 がいるのがちょっと変わっている。のどかな木漏れ日ジャケットの印象とは少し違って、酔っ払う前のポーグス、といった趣の楽し気なA-1.で始まる3作目 となるこのアルバム、ほとんどが伝承曲を採り上げていますが、フェアポートやスティーライを初めとする英米の先達の音を継承しつつも、意外に間口の広い演 奏を展開しております。ラヴィン・スプーンフルのヴァージョンを下敷きにしたであろうA-2.とコーラスの面白いA-3.はジャグ・バンド/スキッフル・ スタイル、インスト曲A-5.はフィドル中心の典型的な英国のダンス・チューン、唯一のオリジナルA-4.はなかなかの佳曲ですが、フィドルの使い方等 ロッド・スチュアートのロンドン時代を思わせる演奏・・・とA面だけでも多彩な展開。B面冒頭ではディストーション・ギターにフルートが絡んで、ジェス ロ・タルかよ!、と多少ビックリしますが、フェアポートをワイルドにした感じの演奏や、ハープシコード入りで抑えた曲調のB-4.などが続き、土臭さはあ まり感じられませんがイキのいいバンド・サウンドは好感が持てます。
cup


5

FOR A' THAT / 5 HAND REEL (1977)
  RCA PL 25066 (UK)
A-1. Bratach Bana
2. Pinch Of Snuff
3. Man's A Man For A' That
4. Haughs O'Cromdale
5. Ae Fond Kiss

B-1. P stands for Paddy/Paddy Fahey's Reel
2. The Cruel Brother
3. Carrickfergus
4. Locahanside/The Jig of Slurs/Linda Brechin's/The Marquis of Tullybardine

Produced by GEOFF HESLOP



The Boys of the Loughに続きディック・ゴーハンが作ったバンドの作品、スコットランド系のメンバー、6人編成のバンドである。レコード会社がRCAで、売れ線を狙っ たためかゴーハンがエレクトリック・ギターを弾き、A-2.やB-1.ではまるでフェアポ−トを意識したように、ベース、ドラムにエレキ、フィドルが入っ てのエレクトリック・セット。楽曲は全てトラッドだが、ゴーハンがエレキを弾くというのはあまりない("Handful of Earth"の最後に使われてはいるが)ことだと思う。やっぱりこの人にはアコースティック・ギターの方があっていると思うし、バンド全体としてもそんな に凄いというほどでもないのだが、ゴーハンがヴォーカルをとる曲は流石になかなか落ち着きがあって、他のヴォーカリストよりも彼の声の存在感に自然と注意 が向いてしまう。
kettle
MANDOLIN  WIND
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