SONGS FROM THE STREET


wiffen

Coast to Coast Fever / David Wiffen (1973)
United Artists UA-LA172-F (US)
A-1. Skybound Station
2. Coast to Coast Fever
3. White Lines
4. Smoke Rings
5. Climb the Stairs


B-1. You Need a New Lover Now
2. We Have Had Some Good Times
3. Lucifer's Blues
4. Up on the Hillside
5. Full Circle

produced by Bruce Cockburn, Brian Ahern

 


J. J. ウォーカーがガイ・クラークを発掘したように、またイアン・マシューズが「ルイーズ」を歌ってポール・シーベルを見い出し、スティーヴ・グッドマンが 「ダッチマン」でマイク・スミスを世に知らしめたと同じく、ウィフィンもエリック・アンダースンの「ブルー・リヴァー」で'More Often Than Not'が採り上げられることで、その存在が認められるようになったアーティストである。このアルバム、1曲を除き全てブルース・コバーンのプロデュース でギターも弾いているのだが、簡素な演奏、アレンジで生ギターの音がよく聴こえてくる、落ち着いたものである。しかし一番の魅力はそのヴォーカルだ。 少し低めでよく響くその声は聴く者をリラックスさせてくれる。全体的に質素な音作りで、何のてらいもギミックもない、歌そのものが生き生きと表現されて いて、コバーンのプロデュースは流石に見事である。
kettle


robbie

  How to Become Clairvoyant / Robbie Robertson (2011)
Macrobiotic FTN17821 (US)
1. Straight Down The Line
2. When The Night Was Young
3. He Don't Live Here No More
4. The Right Mistake
5. This Is Where I Get Off
6. Fear of Falling
7. She's Not Mine
8. Madame X
9. Axman
10. Won't Be Back
11. How To Become
12. Tango for Django

Produced by Marius de Vries and Robbie Robertson

ザ・バンドのフロント3人がいなくなった今、グループの頭脳ともいえるロビー・ロバートソンが再び歌い始めました。一時期リタ・クーリッジ等とネイティ ブ・アメリカン由来の音楽にも挑戦していたロビーでしたが、ここではクラプトンをパートナーに無骨なロックに回帰した印象です。クラプトン色の強い6.や 8.を交えつつも、4.や5.では先の3人、特にリチャード・マニュエル、リック・ダンコの歌声が聴こえるかのような曲作りの妙が味わえます。3.もクラ プトン絡みで彼のスライドも聴けますが、ロビーによる間奏のガット・ギター・ソロが印象深い。ロビーのヴォーカルは少しリチャードに似ていて、なかなか グッとくるものがありますが、ノイジーなギターで始まりアレッと思わせる9.あたりでも歌に入るとザ・バンドの独特のリズム感が現われて、ニヤッとなりま す。で、一番の聴き物は珍しくストレートなミディアム・テンポのソウル・ナンバーの2.でしょうか、'People Get Ready'にちょっと似ていて、歌詞にもメッセージがあるようです。数曲でスティービー・ウィンウッド、ロバート・ランドルフも参加しています。
cup


murray

SONG FROM THE STREET / MURRAY McLAUCHLAN (1971)
True North TN-4 (US)
A-1. I Just Got Older   
2. You Make My Loneliness Fly   
3. Sixteen Lanes of Highway   
4. Jesus Please Don't Save Me (till I die)   
5. I Would Call You My Friend   

B-1. One Night By My Window   
2. Child's Song   
3. Back On The Street   
4. Honky Red   
5. Ranchero's Lament

Produced by Eugene Martynec

1970年代前半トゥルーノース・レーベルの二枚看板といえば、ブルース・コバーンとマレー・マクロクランであろう。この二人の創り出す音楽は好対照で、 コバーンの歌が自然の、森林の中から生まれたような香りを持っているとすると、マクロクランのほうは都会の喧騒から響いてくる人々のざわめきから歌が創り 出されているような感じがするし、ギターの弾き方にしても繊細かつ絶妙なフィンガー・ピッキングのコバーンに対して、マクロクランはフラット・ピックで コードをストロークする、という違いがある。A-3.の「16車線のハイウェイ」が象徴的だが、アルバム・タイトルにしても都会の音楽という意味で思い つ いたのかもしれない。これがマクロクランのデビュー・アルバムとなるが、後に出る"Only the Silence Remains"というLP2枚組ライブ・アルバムも彼の代表作となっている。
kettle


joni

Ladies of the Canyon / Joni Mitchell (1970)
  Reprise RS 6376 (US)
A-1. Morning Morgantown
2. For Free
3. Conversation
4. Ladies Of The Canyon
5. Willy
6. The Arrangement

B--1. Rainy Night House
2. The Priest
3. Blue Boy
4. Big Yellow Taxi
5. Woodstock
6. The Circle Game





カナダ西部出身のジョニ・ミッチェル、この3作目は何時聴いても初めて聴くような感覚に襲われる、新鮮さに溢れる傑作であります。ヒット曲のB-4.、 「いちご白書」のラスト・シーンが頭をよぎるB-6.、あるいはB-5.など有名曲が目立ちますが、アルバムの魅力はむしろ他の楽曲にあるようで、ギター 2本とピアノをバックに歌われる朝露のような瑞々しさに満ちた冒頭曲を筆頭に、マイナー・メロディのB-1.、トラッドっぽいB-2.など、まるで玉手箱 のように クォリティの高い演奏が展開されます。ギター・カッティングのカッコいいA-3.とか、A-1.もそうですがキーボード、コーラス、そして肝となる変則 チューニングのギターなど、ジョニ自身によるこだわりの多重録音がアコースティックな質感をより増幅させている印象です。あと最近知ったのですが、路上で 演奏するストリート・ミュージシャンのことを歌ったA-2.(演奏の最後にクラリネットも登場)は、ロンドンのテムズ川沿いでよく演奏していたLol Coxhillというサックス奏者がモデルになった、という話もあるようです。
cup


ryan

Newfoundland Drinking Songs / Ryan's Fancy (1973)
  Audat 477-9024 (1982 UK)
A-1. Intro
2. The Night Paddy Murphy Died
3. Nancy Whiskey
4. Miss McLeod's Reel
5. The Northern Lights of Old Aberdeen
6. Rocky Road To Dublin
7. I'm A Rover

B-1. The Ryans & The Pittmans
2. Finnegan's Wake
3. Twenty One Years
4. Road to the Isles & The Beggerman
5. Butcher Boy
6. Fare Thee Well Enniskillen

Produced by Ryan's Fancy


テーブルを囲んで黒ビールを飲んでいるむくつけき髭面の3人の男性、これがバンド・メンバー、Denis Ryan、Dermot O'Reilly、Fergus O'Byrneの3人だと思われるが、カナダのトラッド・バンド、ライアンズ・ファンシーのアルバムを紹介しよう。使っている楽器はギター、バンジョー、 フィドル、ウィッスル、アコーディオン等、曲のクレジットはほとんど3人の共同名義だが、どこかで聴いたようなメロディも多くトラッドが原曲なのかもしれ ないような曲がいくつもある。2曲がインストで、後は勇ましい元気の出るような歌で溢れている。ただB-5.の'Butcher Boy'は唯一のバラードでこれが泣かせる良い曲だ。アイリッシュ・バンドのザ・ダブリナーズに共通しているところがあるな、と思わせるのだが、A-3. で「ウィ スキー、ウィスキー、ナンシー、ウィスキー」とオヤジ声で歌われると、ついつい酒を飲みたくなる。
kettle

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