HIGH WINDS WHITE SKY


despite

  Despite It All / Brinsley Schwarz (1970)
LIBERTY LBG 83427 (UK)
A-1. Country Girl
2. The Slow One
3. Funk Angel
4. Piece of Home

B-1. Love Song
2. Starship
3. Ebury Down
4. Old Jarrow

Produced by Brinsley Schwarz and Dave Robinson

以前はファースト・アルバムとセットの再発盤で聴いていたものですが、やはりモップ少女の見開きジャケットを眺めながら聴きたいものだと思い、コチラを入 手、改めて良質な内容にも感心してしまいました。特に厚みのあるコーラスを生かしたB面の3曲、ニック・ロウのソロ作品に通じるメロディを持ったフォー ク・ロックのB-1.、カントリー・ワルツ風のB-2.、硬めの音色で奏でられる2本のアコースティック・ギターとコーラスが「ワーキング・マンズ・デッ ド」を連想するB-3.、と続く流れは秀逸といって良いでしょう。デッド的マッタリ感覚はA面の随所にも聴かれますが、ボブ・アンドリュースのハモンドは英 国スワンプ的でもあり、またザ・バンド風でもあり、といったところ。フィドルを従えつつ、ジャケットのイメージ通り楽しげに演奏されるカントリー・ ロックのA-1.、あるいは先のB-2.などでは、UK盤らしい迫力のある音質も楽しむことができます。
cup


high

  High Winds White Sky / Bruce Cockburn (1971)
TRUE NORTH TN3 (CANADA)
A-1. Happy Good Morning Blues
2. Let Us Go Laughing
3. Love Song
4. One Day I Walk
5. Golden Serpent Blues
6. High Winds White Sky

B-7. You Point To The Sky
8. Life's Mistress
9. Ting, The Cauldron
10. Shining Mountain

Produced by EUGENE MARTYNEC

カナダの大自然、雪の積もった冬景色、散立する大きな木々、表ジャケットの左端下には本当に小さな人影、この見開きジャケットを見るだけでも価値 があるこのアルバム。雪景色をジャケットにしたレコードは他にも何枚かあるが、これほど印象に残る風景はこのアルバムが断トツ、ずば抜けている。'71年 に発売されたブルース・コバーンのセカンド・アルバムは、ジャケット共々内容も、彼が トゥルー・ノース・レーベルに残した最高傑作と断言しても良いだろう。毎年雪が降ると、私の部屋の窓から、降り積もる雪を見ながらこのレコードをターン・ テーブルに落として、対流式の石油ストーブに手をかざしながら聴くのが恒例となっているのだが、アコースティック・ギター一本(バックは多少入ってはいる が)で歌われるカナダの自然や生活がまるで別世界のような居心地の良い冬世界をくり広げてくれる、静謐な傑作である。
kettle


arthur

  A SHOT OF RHYTHM AND SOUL / ARTHUR ALEXANDER  (1982)
ACE CH66 (UK)
A-1. Anna (Go To Him) 2. Sally Sue Brown
3. You're The Reason 4. Dream Girl
5. Go Home Girl 6. A Shot of Rhythm & Blues
7. Pretty Girls Everywhere 8. I Wonder Where You Are Tonight

B-1. You Better Move On 2. The Girl That Radiates That harm
3. Black Night 4. Soldier Of Love
5. I Hang My Head And Cry 6. Where Have You Been
7. You Don't Care 8. Old John Amos

Compiled by  ROGER ARMSTRONG and RAY TOPPING


映画『黄金のメロディ、 マッスル・ショールズ』を観るのは少し先になりそうですが、こちらはマッスル・ショールズの原点ともなったアーサー・アレクサンダーの60 年代前半の録音集。バラード、ダン ス・ナンバー、カントリー調と曲調は様々ですが、これらで聴ける黒人シンガーとカントリー・バンド(Pallbearersのことらしい)の組み合わせ が、60年代後半のソウル全盛期の基調と なった、と裏ジャケの解説にあります(ちなみにビートルズのBBCライブVol. 2のライナーでは、アーサーのことをカントリー・ソウル・シンガーと紹介されています)。曲作りに関わっているのはA-1., 2., 5.、B-1., 8の5曲、B-1.はストーンズの他ホリーズもカヴァー、A-1.はもちろんビートルズ、ほの甘いメロディが英国グループ好みなのでしょうか。 ビートルズはA-6.、B-4.もBBCライブで演奏してますが、B-4.のメロディはジョンの声にぴったり、ライ・クーダーで有名なA-5.にはアー サー自身の再録音もありますが、 ちょっとテックス・メック ス風かな、いずれにしろ名曲率は高いです。B-6.はマン/ウェイル作品ですが、昨年末急遽された大滝詠一氏の泣きの名曲、「恋するカレン」の下敷き ともなった逸品です。
cup


veedon

  Veedon Fleece / van morrison (1974)
Warner Bros. BS 2805 (US)
A-1. Fair Play
2. Linden Arden Stole The Highlights
3. Who Was That Masked Man
4. Streets Of Arklow
5. You Don't Pull No Punches, But You Don't Push The River

B-1. Bulbs
2. Cul De Sac
3. Comfort You
4. Come Here My Love
5. Country Fair

Produced by VAN MORRISON

このアルバムは3つのパートに分けることが出来る。A面1曲目から5曲目が「狂気」、A-2.最後のフレーズ「今は銃を片手に暮らしている」、そしてA- 3.の最初「銃を片手の暮らしなんて寂しくないかい」と続く、得体の知れない恐怖を物語る詞が印象深い。B-1.、B-2.は「緊張」、バックの演奏も固 い音のロック・セットでベースの音色はまるで鋼鉄のような音を響かせている。B-2.の最後のシャウトは正にモリスンの真骨頂である。そしてB-3.〜 5.の「桃源郷」、狂気、緊張を乗り越えてやっと到達した癒しの時間、B-5.では広々としたヒースの草むらにいるような、穏やかなメロディが聴くものに 伝わってくる。このアルバムは筆者にとってヴァン・モリスンのマスター・ピースであり、この出会いがなければ今の私はおそらく無かったであろう。今から約30年前、30代の頃に体験した最初で最後の運命的出会いだった。
kettle

FROM THE BEGINNING
HOME